中国・ロシアは参加?アルテミス合意の現状と課題

アルテミス合意とは

アルテミス合意は、2020年10月にアメリカ、イギリス、日本など8か国が署名した、月や火星などの宇宙探査や宇宙利用に関する基本原則を定めた国際的な合意です。1967年発効の宇宙条約を踏まえ、宇宙の平和利用やスペースデブリの削減、歴史的遺産の保護、国家間の干渉の防止などを求めています。

合意の内容

アルテミス合意は、以下の10の原則から構成されています。

  1. 平和的利用: 宇宙探査は平和的かつ科学的目的のためにのみ行う。

  2. 透明性: 探査活動に関する情報を公開する。

  3. 互換性: 国際的な標準や慣行を遵守する。

  4. 緊急時支援: 緊急時には相互に支援する。

  5. 登録: 宇宙探査機を国連に登録する。

  6. 遺産保護: 宇宙空間における歴史的遺産を保護する。

  7. 科学データの共有: 科学データを共有する。

  8. 資源利用: 月や火星の資源を公平かつ持続可能な方法で利用する。

  9. 民間部門との協力: 民間部門との協力を行う。

  10. 国際協力: 国際的な協力を行う。

合意の意義

アルテミス合意は、宇宙探査の新たな時代を築くための重要な指針となるものです。従来の宇宙探査は、国家主導で行われることが多かったのですが、アルテミス合意は、国際的な協力に基づいた宇宙探査を推進することを目指しています。

また、アルテミス合意は、宇宙資源の利用に関する初の国際的な合意でもあります。月や火星には、水や希少金属など、豊富な資源が存在すると考えられています。アルテミス合意は、これらの資源を公平かつ持続可能な方法で利用するためのルール作りを始めるための第一歩となるでしょう。

合意の課題

アルテミス合意は、宇宙探査の新たな時代を築くための重要な指針となる一方で、いくつかの課題も存在します。

まず、アルテミス合意は、法的拘束力を持たない宣言であるという点です。そのため、合意の内容を遵守するかどうかは、各国の自主性に委ねられています。

また、アルテミス合意には、中国やロシアなど、主要な宇宙開発国が署名していないという点も課題です。これらの国がアルテミス合意に参加しない場合、宇宙探査における国際的な協力が実現しにくくなる可能性があります。

今後の展望

アルテミス合意は、宇宙探査の新たな時代を築くための重要な指針となるものです。今後、アルテミス合意に基づいて、月や火星の探査がさらに活発化していくことが期待されます。

また、アルテミス合意は、宇宙資源の利用に関する初の国際的な合意でもあります。今後、アルテミス合意を基に、宇宙資源の利用に関するルール作りが進められていくでしょう。

アルテミス合意は、宇宙探査の新たな時代を築くための重要な指針となる一方で、いくつかの課題も存在します。今後、これらの課題を克服し、アルテミス合意が宇宙探査の国際的な協力の促進に貢献していくことが期待されます。

参考文献

  • NASA: The Artemis Accords (PDF)

  • 内閣府: アルテミス合意

  • JAXA: アルテミス計画

中国はアルテミス合意に賛成ですか

中国はアルテミス合意に正式には賛成していません。2020年10月に合意が発表された際に、中国外交部は「一部の国が主導する排他的なグループを作り、宇宙開発の国際協力を分断する動きには反対する」と声明を出しています。


中国は、アルテミス合意が以下の点で問題があると主張しています。

  • アメリカ主導で、中国やロシアなどの主要国が排除されている。

  • 合意の内容が透明性に欠ける。

  • 月や火星の資源の利用に関するルール作りが不公平である。

中国は、宇宙開発は全人類に共通する利益であり、国際的な協力に基づいて進められるべきだと主張しています。そのため、アルテミス合意のような排他的な合意には参加できないという立場を取っています。

一方で、中国は月探査計画を独自に推進しており、将来的には国際的な協力にもオープンであるという姿勢も見せています。今後、中国がアルテミス合意に賛成するかどうかは、合意の内容や国際情勢などのさまざまな要因によって左右されるでしょう。

参考資料

  • 中国外交部: 外交部发言人就美英澳等国签署“阿尔忒弥斯”协定发表谈话

  • JAXA: アルテミス計画

  • SpaceNews: China says it won’t join Artemis Accords, cites U.S. leadership, lack of transparency

ロシアも合意していますか

ロシアはアルテミス合意には署名していません。ロシア宇宙局のロ戈ジン前局長は、アルテミス合意は「アメリカの利益に偏っている」と批判していました。


しかし、2023年7月、ロシアは中国主導の国際月面研究ステーション(ILRS)計画への参加を表明しました。ILRS計画は、アルテミス合意と競合する月探査計画です。

ロシアがアルテミス合意に署名するかどうかは、今後の国際情勢や宇宙開発における各国の戦略によって左右されるでしょう。

参考資料

  • ロイター: ロシア、米主導の月探査計画「アルテミス合意」に署名せず

  • 産経ニュース: ロシア、中国の月探査計画に参加へ 米主導「アルテミス」に対抗

  • SpaceNews: Russia signs agreement to join China’s lunar exploration program

インドは合意してますか

はい、インドはアルテミス合意に署名しています。2023年6月24日に、タランジット・シン・サンドゥ駐米インド大使がNASAのビル・ネルソン長官と署名式を行いました。


インドは、月探査計画「チャンドラヤーン計画」を推進しており、アルテミス合意への署名は、インドの宇宙開発における国際的な存在感を高めるものと期待されています。

参考資料

  • NASA: NASA Welcomes India as 27th Artemis Accords Signatory

  • インド宇宙研究機関: ISRO Signs Artemis Accords with NASA

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