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「復讐のピノキオ」企画書

キャッチコピー
おとぎの国一番の正直者と呼ばれた男による、嘘と愛の壮絶な復讐劇

あらすじ
 おとぎの国で行われたピノキオと白雪姫の結婚式。これはピノキオになりすました男による復讐計画の始まりであった。
 男は亡き親友ピノキオとその父ゼペットのためにピノキオになりすまし、白雪一族内部へと潜り込む。全ては白雪一族が行ってきた悪行を世に知らしめ、一族を転覆させるためであった。
 男は『ピノキオは嘘がつけない』という特徴を利用して言葉巧みに、時に暴力を使って一族内部を掌握していく。
 おとぎの国を舞台に、忠誠と裏切り、権力とお金、そして愛と憎しみを描いた一大絵巻。

第1話のストーリー
 舞台はおとぎの国。その日はある結婚式が盛大に行われていた。
 新婦はおとぎの国において『五大貴族』と呼ばれる名家の娘、白雪姫。新郎は平民の息子、ピノキオであった。
 名家の結婚式とあって列席者も名だたる貴族や著名人ばかり。出席者の話題はもっぱらピノキオと白雪姫の身分格差に関することだった。

 式の始まる前、控室で緊張するピノキオとそれを身守る白雪姫。
 平民であるピノキオは今回の結婚に引け目を感じているが、白雪姫は堂々した面持ちでピノキオを励ます。
白雪姫「あなたには貴族達にはない誠実さがある。そこに私は惹かれたのよ」
 白雪姫は初めて二人が出会った日のことを語り始める。

 二人の出会いは白雪姫が裏町に迷い込んだ時のこと。
 ゴロツキが白雪姫を恐喝しているところに、偶然通りがかったピノキオが白雪姫を守ろうと立ち向かう。
 結果としてコテンパンに倒されてしまうピノキオだったが、白雪姫はピノキオの勇気と「怪我は全然痛くない」と嘘を言った時に伸びる鼻を見て、そのチャーミングさに心惹かれる。

ピノキオ「あの日は調子悪かっただけさ。いつもならあんな連中、簡単に撃退できた」
 そう言った後、鼻が伸びる様を見て笑う二人。

 控室に白雪一族の相談役を務める七人の小人の一人が現れる。小人は、ピノキオと話がしたいと言って部屋からピノキオを連れ出す。
 小人はピノキオに対して、本物のピノキオが死亡している事実を突きつけ、結婚式を取り止めようとする。
 ピノキオは先程とは打って変わって残忍な目で小人を睨みつけ、堂々とした態度で語り始める。
ピノキオ「俺はピノキオではない。俺はピノキオになりすました偽者だ。出会いも結婚も全て俺が計画したことだ」
 小人はピノキオが事実を告白する度に伸びる鼻を見て困惑する。ピノキオはわざとおどけたように長くなった鼻を触り、それを自ら折って小人の脳天に振り下ろす。

 結婚式の終盤、ピノキオは出席者へのスピーチ中、心では別のことを考える。
ピノキオの心の声「貴族たちよ、笑えばいい。笑えるのは今日までだ。明日からお前達が味わうのは、恐怖と悲しみだけだ。俺の親友ピノキオがそれを抱いて死んでいったように。お前達にも生きる喜びなど微塵も思い出せないような絶望をプレゼントしてやる」
 スピーチを終え、ピノキオが高砂席に戻る頃、警備員が会場裏手でグチャグチャになった小人の死体を見つける。

第2話以降のストーリー
 結婚式の翌日、ピノキオは小人殺害事件に関して警察から事情聴取を受ける。しかし『嘘がつけない』という特徴から大して疑われることのなく聴取は終わる。
 家路についたピノキオは傷心の白雪姫を労りつつ、親友のコオロギを呼び寄せ次の計画を練り始める。

 ピノキオは白雪姫の父に対して、亡くなった小人の穴を埋める人員に立候補し、その結果、新たな職務を任される。
 これを機にピノキオは白雪一族が行う『毒リンゴ』ビジネスの聞き込みを始める。
 ピノキオが白雪一族に潜り込んだ目的は、白雪一族が手がける、中毒性のある危険な食品『毒リンゴ』の流通ルートと製造方法を手に入れ、それを殲滅するためであった。

 一方、警察では小人殺害事件に関して、外部の犯行で捜査方針が固まる。
 しかし長靴を履いた猫だけが、小人の死体から少量の木屑が付着していたことに着目し、ピノキオを調べ始める。

今後の作品の展開案

●男の正体と過去
 男は昔、貴族に土地を追われ別の大陸に移動する最中、巨大鯨に飲み込まれるという海難事故に合った。男は鯨の腹の中で死を覚悟したがピノキオとゼペットに助けられ、三人で暮らすようになる。
 三人の生活は決して裕福でなかったが、とても幸せであった。
 しかしピノキオは皆にもっと裕福な生活をさせたいと考え、白雪一族の経営する工場に出稼ぎにいくのだが、身体を壊して死んでしまう。
 ゼペットはピノキオの死を不審に思い、工場を調べに行くのだが、ゼペットも帰らぬ人となる。男はピノキオとゼペットが死んだことに絶望する。
 二人が死んだ数日後、男は工場で作られているものが、中毒性のある食品『毒リンゴ』であり、ピノキオは劣悪な製造環境による毒物の過剰摂取によって死亡、ゼペットはその秘密を知ったことで殺されたことを知る。
 男は二人の死の真相に怒りの炎をたぎらせ、ピノキオ達の仇をとるために魔女の魔法によってピノキオになりすまし、白雪一族への復讐計画を立てる。

●ピノキオの変化
 ピノキオは白雪一族への復讐計画を実行していく中で、白雪姫への愛情を募らせていく。
 復讐のための駒でしかなかった白雪姫に対して罪悪感を募らせ、復讐を完遂させる時、白雪姫も亡き者にするという当初の計画に対して葛藤する。
 またピノキオは魔女にかけられた魔法の副作用で、徐々に本物のピノキオの精神に心を蝕まれていく。心優しいピノキオは、男の良心に訴えかけ、復讐を辞めさせようとする。ピノキオのための復讐であるが、それをピノキオが思い留まらせるというパラドクスに男は悩み、苦しむ。

●白雪姫の行動
 ピノキオの異変に気づいた白雪姫は、義母の持つ『真実の鏡』を使ってピノキオの正体を知る。またその最中一族が手がける『毒リンゴ』ビジネスの全貌も知ってしまう。
 白雪姫は周りの人間全てを信じられなくなり屋敷を去る。異国の地でシスターになろうとするが、迷い込んだ先で猿、河童、豚の妖怪に出会うこととなる。

●『毒リンゴ』の誕生の秘密
 『毒リンゴ』は元々、白雪姫の父が、妻への医療用として開発したものだった。
 その昔二人は愛し合っていたが、子宝に恵まれなかった。二人は魔女の魔法によって白雪姫を授かるのだが、充分な恩返しをしなかったため妻は魔女に呪いをかけられてしまう。呪いの激痛に叫ぶ妻の声に耐えられなくなった父は、妻を地下室に閉じ込める。
 妻への罪滅ぼしとして、痛み止めの薬用に『毒リンゴ』を作成するのだが、妻は衰弱し亡くなってしまう。
 父は妻の死によって心を壊し、『毒リンゴ』が中毒性のある危険なものだと知りながらも、「彼女のいないこの世界など全てなくなればいい」と言って、国全体に『毒リンゴ』をばら撒く。

●白雪一族崩壊からおとぎの国全体の騒乱へ
 ピノキオが計画を進めていく中、事態は次第に白雪一族内だけに止まらなくなる。
 これを機に『毒リンゴ』ビジネスの覇権を獲得するため、ハートの女王や人魚姫など他の五大貴族が動き出し、おとぎの国全てを巻き込んだ大戦争へと物語は進んでいく。

●テーマと展望
 この物語のテーマは、『愛の力の怖さ』。
 主人公の男は、愛するピノキオとゼペットのために全てを傷つけ、蹂躙しようとする。
 男は憎しみに囚われ、憎しみの根源にある愛を見失ってしまい、次第に自分の行動を制御出来なくなっていく。
 主人公の男に限らず、この物語の登場人物の多くは、行動目的の根源が愛にもかかわらず、どこかで歪曲してしまった状態で生きている。
 男の使命の先に救いあるのか、それとも破滅でしかないのかを、叙情的に描く。

●おとぎの国の住人の登場
 赤ずきん:密偵。
 ピノキオによって起こりだす白雪一族の不審な出来事にいち早く気づいた小人の一人が、事態の把握と収拾のために雇った人物。
 普段は少女の姿で人懐っこく情報収集をしたりするが、拷問や暗殺時には狼に変身して凶暴になる。

 ブレーメンの音楽隊:ギャング団。『毒リンゴ』の流通ルートや面倒ごとを処理する白雪一族のビジネスパートナー。
 白雪一族の内部騒動をチャンスと捉え、『毒リンゴ』ビジネスを強奪しようとする。『音楽と共に豊かな人生を』をコンセプトに活動している。

 三匹の子豚:白雪姫の屋敷で働く庭師。
 元々三人兄弟であったが、兄達が狼に殺されてしまった末っ子豚が、その事件のトラウマから兄達を心に宿し三重人格になった。
 穏和な性格で問題なく仕事に従事していたが、兄達を殺した狼が『毒リンゴ』の中毒者で、かつその『毒リンゴ』を生産していたのが白雪一族だと知って心のバランスを失い、三重人格が暴走し始める。

 美女と野獣:二人組の何でも屋。野獣に呪いをかけた魔女を探して旅をしている。
 野獣は主に揉め事の仲裁や交渉など頭脳を担当し、美女は主に用心棒や害獣駆除など、腕力を使った仕事を担当する。
 野獣は魔女に自分の呪いを解いてもらおうと考えているが、美女は野獣を愛するあまり、自分にも同じ野獣になる魔法をかけてもらおうと考えている。
 ブレーメンの音楽隊に雇われ、『毒リンゴ』ビジネス強奪計画を手伝う。



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