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Vol.011 色にはいろいろある! 〜色温度とホワイトバランスの話〜

今回のお話は、地味ですがとても重要な「ホワイトバランス」のお話です。これを理解するにはまず、「色温度」というものを理解しなくてはいけません。さて、「色温度」とはいったいなんでしょうか?

色温度とは?


むかしむかし、小学校の頃だったかと思います。
理科の授業で、
「ろうそくの青い炎と赤い炎では、どちらが温度が高いですか?」
という問題が出たと思います。覚えていますか?
正解は、「青い炎」です。
温度の高低で、色も 赤⇔青の変化をしていく。
「色温度」をざっくり説明するとき、ろうそくやガスコンロの炎のことを
思い出すとわかりやすいです。

引用のこの写真、青い炎と赤い炎の差がよくわかりますね。

もう少し詳しくお話すると、色温度とは
「光源が発している光の色を温度表記で表現したもの」です。
単位はK(ケルビン)です。
(実際に光源自体がそれだけの温度を発しているのではなく、わかりやすく置き換えた数値です。)
このように数値化することで、ざっくりとその光がどのような性質で、どのような色をしているのかを、判断することが可能なのです。
その違いですが

色温度が低い         赤くなる(温かみがある)
色温度が高い         青くなる(冷たい印象)

となります。そして、昼間の太陽光は5000Kから5500Kの間となっています。このあたりの色温度が、赤みや青みが少ない光なのでストロボや昼白色蛍光灯、LEDライトの基準となっています。

引用元はこちら

上の図をみると、光源によって赤くなったり青くなったりしているのがわかります。
(これに加え、緑⇔紫の性質が混ざるので、実際は同じ色温度でも様々なバリエーションがあります。)

人間の目とカメラの目

人間の目は、どの光源の下においてもなんとなく、照らされている物の色味は正しく見えています。(認識しています。)

たとえば、昼間の外、夜の蛍光灯の下、おしゃれなお店の白熱灯の下で、新聞を読んでいるとしましょう。
意識していなくても、その新聞紙の色はおそらくどこにいても、なんとなく薄いグレーに見えている(認識している)はずです。わたしたち人間は、眼球から入ってきた光の情報を、脳内で変換して「どのような光源の下でも色味にばらつきがないように」補正してくれているからなのです。実に優秀ですね!

このように人間の眼を通すと、『白い物は白いはずだ』と自動的に補正をかけてくれるのですが、カメラは所詮機械です。正しく設定してあげないと、白いものが白に写らず、極端に黄色や赤っぽかったり、青かったりしてしまいます。
カメラで設定した色温度と、実際の光源の色温度に差があるとその差に応じて、赤くなったり青くなったりしてしまいます。なので

「カメラさん、あなたは今こんな光のもとで写真を撮ろうとしています。
  色温度はこれくらいなので、きちんと認識してください。」

というふうに、カメラ側に教えてあげること。
どのような光の下でも適切な白色を再現するための機能、「白いものを白く写す」それが「ホワイトバランス」を設定することなのです。

青っぽい光の下なら、赤みがかるように補正。
赤っぽい光の下なら、青みがかるように補正。

なんとなくですが、カメラの内部ではこういった補正がなされています。

実際とカメラで撮影したものとの色が、かけ離れるのは面倒ですよね。
白いものは白く。当たり前ですが、きちんと設定してあげないと難しいのです。


ホワイトバランスを設定しよう。

おそらく、市販されているカメラのすべてに「ホワイトバランス」の調整ができる機能は備わっていると思います。
カメラの種類や新旧によって、ホワイトバランスで設定できる光源の種類は実に様々です。
(最近のミラーレスカメラは、細部の細かなところまで調整できるので便利です。)

曇り・日陰・太陽・白熱電球・ストロボ・蛍光灯・オート・プリセット…

自分のカメラの設定を見てみると、このような項目が文字とイラストで書かれています。色々あって、最初は悩むと思います。
ただ、実際に使用するものは個人差はあると思いますがなんとなく限られてくると思います。ホワイトバランスで迷ったら、まずは太陽光モードで撮りましょう。

迷ったら「太陽光」で撮りましょう!


太陽光は基本のき!

太陽光モードは、昼の太陽の色温度(およそ5000〜5500K)の色温度設定です。
これは外での撮影に加え、室内の昼光色蛍光灯や照明用のLEDライトの色温度のも、昼の太陽光の色温度に近くなるよう設計されているものが多いので、日中のおおよその撮影シーンで汎用的に使えるので常用できるモードです。
そして、このモードで撮ったときに、青かったり赤みがかったりした時には、光源がどのくらいの色温度なのかを判断できますので、ホワイトバランス機能の基準となるモードです。

同じ太陽光といっても朝夕と昼、晴天と曇天では色温度も異なってくるので、太陽光モードで撮影をしても、色味にばらつきが出ます。そのあたりを厳密に切り分けたい人は、それに応じたモード(例えば晴天日陰とか曇天モード)にするか、判断に迷ったらAWB(オートホワイトバランス)にします。

AWB(オートホワイトバランス)は便利だけれど・・・

AWBで撮影をすると、カメラがその環境光の色温度を測色して自動的に補正してくれます。なので、変な色に転ぶことはありません。また、最近のカメラはAWBの性能が飛躍的に上がりましたので、太陽光モードでうまく行かない時にはこちらを使いましょう。いろいろなの成分がミックスされた(自然光と白熱電球が混ざり合うような環境)の場合は、積極的に使いたいです。
問題は、AWBなので同じカットを何枚も撮りたいときに、1枚ごとにAWBがかかるので、カメラのアングルや光源の具合によってはばらつきが発生してしまうことです。
同じシーンなのに、色味がコロコロと変わってしますと色々と不便です。
天気が安定しない時などは、AWBで撮ると微妙にばらつくのでそういうデメリットもあるということを理解しておきましょう。

ここまでばらつくことはないでしょうが、1枚ずつがこうだとやはり不便です。

タングステンモードは使うこともあるけれど・・・

居酒屋や雰囲気のあるレストランなどは、照明も白色電球という昔の電球の色を使用しています。太陽光モードで撮影をすると、そのままではオレンジっぽく写ってしまします。それを補正して、白をきちんと写してくれるのが白熱電球モード(タングステンモードとも呼ばれます。)

ただ、白色電球のもとで撮影するときは見た目の雰囲気も温かみのある色(アンバーな色といいます)に見えているはずです。
白は白で正しく見える、これも一つの正解ですが

「その場の雰囲気を損なわないようにする」

これも正解です。なので、太陽光と白熱電球を両方撮ってみて、使用する用途にマッチしたものを使う。これも一つのテクニックです。

白熱電球の光源下でそれに適したモードで撮影。白も白に写っていますね。
太陽光モードで撮影。白は赤く転んでいますが、温かみといい情景にはマッチしていますね。

きっちりしたいならプリセットモードだ!


カメラ側の設定にない状況や色温度の撮影条件で、白を白として写したい場合はどうしたらいいのでしょう?AWBだと、おおよそは合わせてくれますが、厳密にきちんと合わせたい場合です。その時には、「プリセットモード」でを使いまししょう。これは、本番撮影の前に白い紙や白い壁など、白くて彩度のないものを撮影して、それをカメラ内部で「きちんとした白」として認識させるモードです。なので、その状況に応じた追い込んだWBが調整できるのです。カメラによっては、ケルビンの数値を直接指定することができる「色温度指定モード」というものもあります。こちらは、各モードの色温度設定の中間などを使用したいときなどに利用します。

こういう無彩色のカードなどを準備しておくと、プリセットがその場で撮りやすいです。なければ、白い紙でもOK!

WBを重要と考えるなら「RAW」で撮りましょう!

普段の撮影で、どんなファイルモードで撮影をしているかを意識していますか?あとで、色を加工したりする必要がないなら「JPG」で撮影してください。「JPG」モードはカメラメーカー各社とも、総力を上げて「きれいな画像」と作り出そうと頑張っているので、撮りっぱなしでも十分綺麗です。
ただ、カメラ内部で、色再現を追い込んでからデータ化するので、撮影後にphotoshopなどで加工しようとすると、その余裕がないのでうまく行かないことがあります。
WBも、撮影のときに間違えて撮ってしまったときに「JPGモード」だとあとから治すのは至難の業です。
そのときに便利なのが「RAW」で撮っておくことです。

「raw」とは、英語で「生」という意味です。「rawデータ」とはそのまま同じく「生データ」という意味です。
「JPG」はカメラ内部でカメラが演算をして、美しいデータを作ってくれますが、「RAW」はその色づくりは、あとのパソコンなどで専用ソフトを用いてしなくてはいけません。なので、撮りっぱなしの「RAW」データは、コントラストもなく、彩度もないパット見ると締りのない画像です。
つまり、「あとから加工する前提のデータ」となります。
そのかわり、あとからの加工の自由度とその幅は「JPG」モードよりもかなり広いです。
WBも、実は撮影時に適当にしていても「RAW」で撮っていれば、あとからなんとでもなるのです!(笑)

ですが、書いたように自分で色調整をしなくてはいけないので、その自信がない場合は「JPG」で撮ったほうが遥かに綺麗です。
あと「RAW」は非圧縮なので、1枚のデータ量が遥かに大きいので、注意してください。
もし、カメラで「RAW+JPG」の2種類同時保存できるのなら、それが一番効率がよいでしょう。

RAWで撮っておくと、現像時にこうして簡単に切り替えられます。失敗が許されないならRAWで撮っておきましょう。

あえて崩すのも「ホワイトバランス」です

ホワイトバランスの基本はまず
「見た目と同じ雰囲気の再現を目指す」
ということです。 
たとえば製品撮影などでは重要です。
白い製品が、変に青く写ったり赤く写っていたりしては大問題です。
また、自身の作品を写真で記録しようとするときもやはり、きちんと色は正しくしないといけません。
その場合はやはり、その光源に適したWBを設定することが肝要です。

商品撮影などでは、こうしたカラーチャートを一緒に写し込んでおくと、あとで正確な色再現を追い込むときに役立ちます。

タングステンモードのときにもお話しましたが、色再現は「正確」であることが全てではありません。
自分が撮りたかったイメージに近づけるため、あえて崩すことも立派な「写真表現」です。

例えば、料理写真などは少しアンバー(暖かみがある)ほうが美味しそうに写ります。スーパーで、お肉が陳列されている場所のライトも、昼光色から少し、赤みが増すようなライトを使用してます。
逆に、少しクールな表現をしたい時には、少しくらいブルーな色になってたとしても、より良い表現になると思います。
下記の写真、適正な色温度で撮ったものと、あえて崩したもの。
どちらも正解です。これは、使用する用途、自身のイメージに合わせて切り替えていきましょう。
このときも、「RAW」で撮っておけば後で様々な色温度に切り替えられるので、検討しやすいです。

自身が見たままの色味
WBを崩して青い世界にしてみました
右は、少し赤く崩した写真です。でも、イメージにマッチしているのなら問題ないです!

まとめ

普段、どれくらいWBを意識しているかは人それぞれです。
スマホで撮影の場合、WBはほぼほぼ「AWB(オートホワイトバランス)」 になっています。それほど、今のカメラの進化はすごいのでWBは、カメラの他の機能に比べて軽視されがちです。
ですが、写真を利用して表現活動をしようとする際は、カメラ任せでもいいですが、やはり「自身が好む色」で撮りたいと思うはずです。

そのときに、一番重要な要素となるのがこの「ホワイトバランス」です。
人肌も、料理の美味しさも、風景の空気感も、色温度の差でがらっと変化します。
これからは、WBもちょっとだけ意識してみると、写真はグッと上達します!




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