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Vol.016 「中心構図」で整えてみましょう。〜構図の話 前編〜

撮影が立て込んでいて、更新が遅れました。
申し訳ありません。間が空いてしまいましたが、今回と次回で、「構図」のお話をしたいと思います。
本講座の第一回でも紹介しましたが、「写真を構成する3要素」のラストピースになります。

構図なんているのかな?

構図というものを知っていなくても、いい写真は撮ることができると思います。
ですが、商業写真や商業デザインの世界だと、単に見た目が良い写真や素敵なグラフィックを作ればいいと言うわけでもありません。
ありきたりの表現であっても、必要な情報、必要な要素が的確に素早く視覚伝達できるのなら、それは良い写真であり良いグラフィックですよね。 
このことをおろそかにしてはいけません。
いかに、主題と副題を切り分けて、的確に視線誘導できるか?
その近道となるのが「構図」であると思います。

主題と副題、構図もそうですが背景を白とすることで、自然に主題の色が引き立ちます。「それが何であるか?」がわかることは表現において重要なことです。


構図って覚えなくてはいけないものなのか?

構図は、調べると実に様々なネーミングがあり、細分化されています。種類も豊富です。それらを全部覚えなくてはいけないのでしょうか?いえ、そんなことはありません。
僕個人も、全部は知らないです。(笑)
そして、現場でいちいち「このシチュエーションにあうのは、この構図!」と思い返しているわけでもありません。

黄金分割って、使うことありますか?個人的には全く意識してないです。こじつけなんじゃないかなと思うのですが、いかがですかね?(笑)

整えるか?外すか?


たくさんある構図も、分類すればおおよそ2つに集約できると思います。

  • 整える構図

  • 外す構図

整える構図の代表例が今回ご紹介する「中心構図」、他には「シンメトリー」「三角構図」などです。

外す構図の代表格が「3分割構図」「対角構図」
となります。

「日の丸構図」という呼び名はやめよう!


「中心構図」(英語だとCentered composition)は、日本だと何故か「日の丸構図」と呼ばれます。
個人的にこの言い方が嫌いなので、これからは「中心構図」と書きます。

この構図のポイントは、とにもかくにも主題を真ん中に持ってくるということです。


線を引いてみるとわかります。中心に配置されていますね。

主題を中心に大きく配置することで、

  1. 安定感が生まれます。

  2. 見る人の視線は真ん中に集まります。

  3. 主題に強い印象をもたせることができます。


一番見せたいもの・訴求したいものをシンプルに見せるなら、この中心構図を使うのがベターです。


シンプルに真ん中に配置する。そうすることで、見る人の視線の流れはシンプルになります。


料理写真と中心構図との相性は抜群です。「美味しそう!」がストレートに伝わります。

「中心構図」を馬鹿にしてはいけません

この中心構図ですが、他のWEBページなどを見ると

「つまらない」
「単調になりやすい」
「初心者向け」

と、あまり良くない書かれ方をしています。
ですが、僕はこの考えには賛成できません。
中心構図こそ、写真を始めたビギナーがマスターすべき構図であり、構図の基本となるからです。
中心構図は実に奥が深く、難しいのです。
初心者向けだなんて、とんでもない!

。いい被写体に巡り会えたら、まずは中心で撮ってみることです。中心構図の良さと被写体の面白さが中心でリンクします。それが中心構図の真骨頂です。

「モノの中心を捉える」ことの重要性


例えば建築物を撮るとき、製品写真を撮るとき。
完全な真正面〜「正対」で撮ろうとする場合、その中心がどこにあるのかを探さなくてはいけません。
そして、探し当てた中心にレンズの中心が重ならなくてはいけません。
簡単に思えますが、すごく難しいです。
中心がずれると、歪んで見えたり、傾いていたり、パースがついたように見えたりします。
正確に正対を表現したい、シンメトリーを表現したい時に、歪みや傾き、パースは邪魔な要素です。
「シンメトリー」すなわち左右対称も、対象となる線を中心に配置する構図であり、中心構図の派生系であると言えます。
シンメトリーが少しでも歪んで見えると、せっかくの調和や静寂な印象が損なわれてしまいます。
カメラマンによっては、レーザーポインタなどを利用して、厳密に中心を図る人もいます。
それほど、中心を捉えるということは難しいのです。

シンメトリーに設計された建造物は、シンメトリーに捉える必要があります。すなわち、中心はどこか?それを正確に探し出して配置する必要があります。後で補正することは困難です。
水平線を真ん中に配置する「2分割構図」とも呼ばれる構図です。これも中心構図の仲間です。安定感とハーモニーが生まれます。
製品写真も、真正面のカットは難しいです。少し傾いていたり、正面を向いていないだけで、台無しになります。撮影現場では、モニタを見ながら細かくチェックをします。

中心構図でまずは撮る。それが上達の近道!


「良い写真を撮りたい!エモいのを写したい!」
誰しもそう思って、カメラを構えていますよね。
そこで、やれ空間だ、間の表現だと、ずらしてみたり余白を大きくしてみたりと、試行錯誤しがちです。

ですが、それもまず「中心をきちんと捉えられること」ができてからの芸当なのかなと思います。
アシスタント時代、絵画やポスターの複写の練習を
たくさんしました。
あれも「中心をきちんと把握して配置する」という商業写真の基本をマスターすることに大変役立ちました。

写真って、雰囲気よく撮ることが全てではありません。
物事を正確に伝えること」
 
これも非常に重要なことであり、企業の広報で撮影するときには、かなり頻繁に出くわすことだと思います。
まずは、きちんと真ん中に配置してみることです。
そうすると、自然にカメラの傾きや水平が狂っているなと気づきます。では、どのポジションで構えれば、それが解決するのか?後ろの余白がシンメトリーに見えるにはどう修正したらよいか?
いろいろな問題点が見えてきます。
それをひとつひとつ解決することで、中心構図の良さが見えてくると思います。

バチッと中心で捉えらえるのは、プロでも難しいです。ぜひ、中心構図を基本にしてみましょう!







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