藻澄川 2

慶次は川に沿って家路を進んでいた
 
長々と続くアスファルトの道路は、
真夏の昼の太陽の光を浴びて
空気すら燃えつくさんとばかりの熱を放っていた
 
 
熱せられて湯だつ空気は、ゆらめきの中にうつろい
蜃気楼よろしく都会の建物や人々を幻かのように演出する
 
 
溢れ出る汗をぬぐいつつ、慶次は毒づいた
 
こんな酷暑の中に自分を買い物に行かせた姉への侮辱もそこにはあったが、
まずなにより彼にまとわりつく汗で湿った服と刺すような日差しが
彼を苛立たせたからだ
 
 
なんでこんなバカみたいに暑い中を外出せねばならんのだ
自分を買い物に行かせた姉は、エアコンの効いた部屋で涼んでいるというのに
 
 
猛暑で苛立つけいじの横を、浴衣姿の少女が何人か通り過ぎていった
 
 
そうか、、、、
そういえばそろそろ祭りの時期、、
 
 
街のいたるところにちょうちんが吊るされ
公園にはおどりの舞台が立てられ
店には焙烙とおからが並べられ
灯篭の準備が進む
 
 
お盆が近づいてきた

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