短編小説 30年

今から30年前のある日、母は僕に言った

「いいこと、
お前はここに囚われて過ごしている

それでもここはかえって空に近いではないか


だからここは、、、、」

そう言うと母は、しばらく虚無を見つめていた

今から見ても、あの時の母は
ただ絶望に中にかろうじて希望を見出そうとしていたのだろう

そしてそれから30年、
私はずっとこの監獄の中で暮らしている

この外の世界のことなど、私は何一つ知らない

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