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スマホいじるな、賄賂は取るな

タイもついに、5月1日からホテルでの強制検疫隔離が不要になりました。

ワクチン接種証明書と一定金額のコロナ補償保険に加入していれば、タイ到着時から自由に行動できます。なお、事前のPCR検査による陰性証明書取得もすでに不要となっています(4月1日から)。

この水際対策緩和措置により、タイを訪れるガイコク人が急増しそう。タイ政府は、コロナ禍前の水準に戻るのは2025年以降と予測しているようですが、それでも昨年と比較したら、今年の訪タイ客の伸びは、たいへん大きいものとなりましょう。

そうなると、ホテルやレストランなどで働く労働力の需要も高まります。すなわち、タイの隣国から多くの労働者もやってくるようになるわけです。

国を開く。
私のように、タイをベースに各地に出張するガイコク人にとっては朗報なのですが、このタイミングで、タイ警察庁が面白い動きをしています。

首相直轄の組織であるタイ警察庁。入出国を管理する移民局も、タイでは同庁の内部組織です。

そして、タイ警察庁が移民局職員に対し、9か条からなる「心得」を伝達しました。さらにこの「心得」伝達に際し、警察庁副長官クラス(Deputy Commissioner of Police)や同長官補クラス(Assistant Commissioner of Police)をチョンブリ県とチャンタブリー県の支局に派遣。職場を視察しながら、職員に直接訓示をしたそうです。

注目を集めているのが、この「心得9か条」。

(1) 法や規則に準拠すること。
(2) 入国許可を与えるに際し、旅券を入念にチェックすること。
(3) 出国に際し、オーバースティ、指名手配などの情報を入念にチェックすること。
(4) タイ警察ないしインターポールから逮捕状が出ている場合は、最寄りの警察と連携し適切な対応をすること。
(5) (ミャンマーなど隣国から労働者として入国してくる場合)雇用主、タイ政府労働省などが発行した証明書などを入念にチェックすること。
(6) 新型コロナ感染対策を徹底し、入国者を安心させること。
(7) 審査待ちの列が長くなった場合、サービス精神を発揮して審査官を増員するなど適宜対応すること。入国者の心象をよくするよう心掛け、改善点があると気付いたら、すぐに上司に相談すること。
(8) SNSにばかり気を取られることなく、かつ賄賂の要求は厳正に慎むこと。(9) 上司は、部下だけでなく部下の家族の生活状況(特に借金など)にも気配りをし、適切な福利厚生制度の活用を推奨すること。

いやこれ、わざわざ訓示が必要なレベルですか…と疑問に持たれることなかれ。タイのメディアが特に注目しているのが、第8条です。

「SNSばかりに気を取られることなく、かつ賄賂の要求は厳正に慎むこと」。

これ、私のように空路で入国してくるガイコク人に対してはまだいいのですが、陸路タイに入国してくるミャンマー人、カンボジア人、ラオス人らに対しては、入国審査官のマナーがかなり悪いらしいのです。また、パタヤやプーケットなどナイトライフが盛んな地域を包括する移民局では、オーバースティなど違法に滞在しているガイコク人を、賄賂と引き換えに目をつぶることも横行している、と耳にします。

それゆえ、パタヤを包括しているチョンブリ県の移民局と、カンボジア人労働者が入国してくるチャンタブリー県の移民局にトップ幹部が派遣されのでしょう(下の写真はチャンタブリー県の移民局)。

これまでは、何かというと「組織的な汚職はない」と堂々と主張していた移民局。今回の「心得」は、その主張を少し後退させ、収賄の横行を素直に認め、職員を戒めたものなのかも知れません。タイ移民局も、クリーン化に向けて(小さな)一歩前進、といったところでしょうか。まぁ、あまり期待はしていませんが、希望は捨てずにおきましょう。

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