昔と変わった選手気質について

先日You Tubeの朝倉海チャンネルにREBELS女子チャンピオンのぱんちゃん璃奈が出演し、RIZIN榊原社長と会話するシーンがありました。

その中でRIZINに是非出たい、MMAには行かずにキックで世界最強になりたいという二つの発言がありました。

聞いた瞬間に違和感を覚えて、それが何なのか考えてみるとぱんちゃんに限らず最近の選手と昔の選手は格闘技業界の構造変化に影響されたのか気質が変わってきていると感じたのでまとめようと思いました。

まず前述したぱんちゃんの発言になぜ違和感があったのか説明します。

まずRIZINに出たいという発言について説明すると、ぱんちゃん璃奈は先日シュートボクシングの強豪MISAKIに勝利しチャンピオンになりました。

これから開催される女子キックの一大イベントはRISEの女子トーナメントです。

かつてのRISEクイーンである神村エリカがイベントを仕切り、RISEチャンピオンを含む複数の団体の女子王者が集結し本当の最強を決めるがコンセプトの8名によるトーナメントです。

しかも優勝賞金は300万、女子キックとしては注目度も高いトーナメントであると思います

このトーナメントにぱんちゃん、MISAKIの勝者も参戦が期待されましたが、ぱんちゃんはREBELSにこのトーナメントの優勝者が来てほしいと拒みました。

これはぱんちゃんのREBELS愛とも言えますが、そこに来てRIZINには出たいという発言です。

RISEで注目を浴びて最強も奪い取れるトーナメントは拒否してRIZINには出たいと言うのは違和感がありました。

また、RISEのトーナメント優勝者にREBELSに来てほしいと言っていましたが、今のRISEとREBELSを比較したときにRISEの女王がわざわざ自分の今いる団体よりも小さいところに出向いて試合をするなんて考えにくいです。

大げさに例えるなら魔裟斗がMAXでバリバリ活躍しているときに当時の全日本キックや新日本キック、あるいはシュートボクシングに出場して試合をするかと言ったら間違いなくやらないでしょう。

RIZINに出たい理由はわかります。

大きい会場で地上波でテレビに映る可能性もある、しかも今をときめく朝倉海推薦選手となれば間違いなく「ぱんちゃんの試合」を組んでもらえます。

RISEトーナメントはそうはいきません。

メンツを見渡してもぱんちゃんよりも実績のある選手がいてしかも主役になるには3試合勝たないといけないわけです。

RIZINなら1試合で良くて自分のための試合でなおかつ知名度も上げられる美味しい試合なのです。

しかし、ただでさえキックルールはRIZINファンには期待されていないのであまり歓迎されない可能性もあるというかそっちの可能性のが高いと思います。

次に世界最強になりたいという発言です。

この発言の後に榊原社長から世界最強って具体的に何をやって証明するのか聞かれ、日本に外国人の強豪を呼んでもらって試合をしたいと言っていました。

正直この発言は作ったなと思いました。

なぜなら具体的な選手名や団体名が出てこないのはありえません。

例えばサッカーで世界最高の選手になりたいといえば具体的にはバロンドールを取るとか言えるでしょう。

女子キックで言えば昨年K-1のKANAがトーナメント優勝後にGLORYの元女子王者アニッサの名前をあげていました。

これはアニッサからKANAが挑発されてのものですがかつて練習を共にしたこともあるようでKANAは女子キックの世界最高峰がどこにあるか知って発言、行動していると思います。

日本で誰か外国の強い人呼んでもらいたいというのは具体性がなさすぎてその目標は正直その場で咄嗟に言ったのだろうなと感じました。

似たような発言だと感じたのが朝倉未来の引退試合の構想で、自分の引退試合は自分でイベントを主催し、そこでベラトールのパトリシオとやりたいと言っていたようです。

最近の選手の気質として自分が主役の物語をファンに見せたいという姿勢が以前より強くなっていると思います。

その要素の一部がYou Tubeチャンネルであると思います。

自分が主役の物語というと真っ先に思い浮かぶのが魔裟斗です。

当時MAXを放送していたTBSも魔裟斗が唯一無二の主役で魔裟斗が勝つか負けるかにしかスポットライトを当てておらず、その手法はヘビー級を放送していたフジテレビとは対象的でした。

さらに最近では青木真也も自分の試合を自分の物語としてプロモーションする姿勢の大切さを説いています。

しかし、魔裟斗や青木真也とぱんちゃん璃奈、朝倉未来は一つだけ圧倒的に違うものがあります。

それは格闘技で文句を言わせない実績を作ってからの行動か否かです。

魔裟斗は現役時代そのルックスも相まってテレビ出演も数多くしていたし、写真集も何冊か出しています。

ただ、その活動の殆どはMAXで優勝した後です。

魔裟斗は先日Instagramで村田諒太の動画を役に立つと言う一方くだらないYou Tubeが多い中とコメントしていました。(ちょっと炎上して今はその部分は消されています)

このくだらないYou Tubeというのはヒカキンやはじめしゃちょーの動画でないことは明らかで不良とスパーリングしたとかそういった動画のことを指していると考えるのが自然です。

魔裟斗の時代はYou Tubeで再生数を稼いで知名度を上げるなんて方法はありませんでした。

ただ、それでも魔裟斗はもし現役時代にYou Tubeがあってもやらなかったと思います。

現役時代の魔裟斗はなんだかんだ試合で格闘家として魅せていたと感じます。

例えば魔裟斗の格闘家以外の素顔をなにか知っているでしょうか?

歌がうまいとか、どんな家に住んでいるとか、好きな芸能人など全くわからず、彼の個人情報は六本木で遊んでいたことくらいしか私は知りません。

下手な冗談は言えないピリピリ感もあり、今となっては反逆のカリスマというあだ名もそのとおりだなと思います。

選手の気質に話を戻すと今のファイターは一部のトップを別としてわかりやすい実績をちょっと作ったらそれを利用して知名度をあげていくという選手が多いように思えます。

かつての選手は先に格闘技で誰にも文句を言わせない実績を作ってからスタート地点に立つケースが多かったように思えます。

魔裟斗もそうですし、ボクシング業界の人達ですがYou Tubeの渡嘉敷、竹原、畑山チャンネルなんかを見ていると本当にそう感じます。

チャンピオンになって格闘技以外の仕事が入ったり、人生変わったというのが以前の格闘技での成り上がりの順番だったのですが、今はチャンピオンになる前にYou Tubeなどで知名度をあげてその人が今度タイトルを取りに行くという流れになっており順番が逆です。

確かに近年実績がなくても自分をさらけ出せ、そこからストーリーを作れというのは格闘技業界でなくてもよく目にします。

ただ、RIZINのエース堀口、キックボクシング業界の2大トップスター天心、武尊は格闘技でしっかり実績を作ってから支持を得て、知名度をあげています。

格闘技は芸事という風潮が強くなってきているのも感じますが、リングの上では勝敗を競っている以上勝った者がしっかり受け取れるものを受け取って欲しい気持ちがありますね。

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