格闘家がアピールするポイントについて感じること

私は旧K-1のヘビー級を見て格闘技が好きになり今に至る人間です。

だから自分の中での格闘技はすべて石井館長時代の旧K-1ヘビー級が基になっています。

その前提で今の格闘技業界に思うところがあります。

今の格闘技業界とかつての格闘技業界との違いとして①中量級以下の日本人中心②インターネットの発達による変化が挙げられると思います。

①について例えば昔であればオランダ人のアーネスト・ホーストとフランス人のジェロム・レ・バンナが戦い方を巡って対立することなどがありましたが、今はそこらへんも日本人同士のいざこざになります。

②についてはかつてはフジテレビやTBSの特番や専門雑誌など宣伝する媒体が限られていましたが、今はTwitterやYou Tubeで団体のみならず選手が自ら広い範囲に宣伝できます。

昔よりも色んな部分で日本人格闘家はやりやすくなったと思いますが、団体そのものはかつてのK-1、PRIDEに比べて世界的な威厳はなくなっています。

そんな状態だからだと思いますが、こんな発言をする選手が増えたように思います。

「オレのほうが数字を持っている」

「オレのほうが客を会場に呼べる」

「このトーナメントで自分が一番華がある」

昔からこういう発言にはなんかしっくりこないものがありました。

なぜそんなことを思うのか考えてみます。

格闘技を見に来る人は何に関心があるか。それは誰が強いのかということと面白い試合(殴り合い)が見れるという点が大きいのではないかと思います。

そして試合の場になったらファンが一人もいない選手がいたとしても相手を打ちのめせばそいつが勝者です。

これは格闘技に限った話ではなく、すべてのスポーツ、競技に共通することです。

だから格闘家の本業はリングで戦うことであってプロモーションはあくまで試合までの事務作業みたいなものだと思っています。もちろんただやればいいという意味ではなく、どうすれば人が食いつくか工夫することは大事です。

プロモーション活動を選手が積極的に行うことが重要であるという風潮はここ5年くらいの格闘技業界でだんだん浸透してきたと思います。

それは悪いことではないし、むしろ団体がかつてのような規模を持たない以上、自分で稼ぐ、有名になる意識を持つことは格闘家として生きるなら考えておかないといけない部分だと思っています。

しかし、格闘家がプロモーションで競い合っちゃいけないだろというのが私の意見です。

プロモーションを頑張ることは結構。You TubeでもTwitterでも手売りでも過去より数字を伸ばすこと、そのための活動を行うことは否定しません。

ただ、それは過去の自分との比較であるべきで対戦相手とやることじゃないだろと思うのです。

相手とバチバチになる競い合うのはあくまでリング上での勝敗のみであるべきです。

「オレのほうが強い」

「ぶっ壊してやる」

こういった発言は逆に非常に乗れます。

大晦日の平本蓮がまさにこんな感じだったのかなと思いますね。

さらに付け加えるとK-1のスター武尊は格闘技を広めるためにテレビやAbemaTVなど芸能界的な仕事をおそらく今の現役の選手の中では誰よりも早く多く行ってきたと思います。

しかし、彼が華とか数字という発言を対戦相手に向けてしている姿は私は見たことはありません。

対戦相手に対してはリング上でぶっ飛ばす旨の発言しか聞いたことがない。ここらへんはさすがだなと感じます。


今回なんでこんなことを考えたのかというと大晦日の堀口恭司、先日の青木真也の勝利がきっかけです。

彼らの勝利は実力でファンを説き伏せるものだったと思います。

青木真也は試合前のプロモーション活動に力を入れているファイターだと思いますが、彼も武尊同様プロモーションは対戦相手との競り合いではなく、自分あるいはファンとの戦いをしている印象です。

こういうことが起きている現状をもう少し掘り下げると結局格闘技人気は復活したと言われていますが、団体に力はまだないということなんだろうと思います。

団体に力がないから自分の営業が団体の金儲けに何処まで貢献できたかなんて選手が考えるのです。

こういった数字を選手が意識することは悪いとは思いません。ただ、それを他の選手との競り合いに使うな、リングの上の実力で競り合えというのが今の格闘技業界で散見される事象に対する私の意見です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?