ネタジャージの作り方

☆始めに目的(Object)を定める
2chジャージの場合は、

誰の手垢も付いていない
いつまでも愛せられるもの。

初代の2chジャージはシルクスクリーン印刷で10人前が揃わないと生産進行ができないという厳しい縛りが付いたので、色を選ぶ人権を損ねていました。
本当は白が欲しいけど青が生産進行まであと2人でとなれば白は諦めて青を取るということになり、色に対する人気が少ない色はずっと生産進行できない不満はありましたが既製品に頼らず自分なりのジャージが欲しいので我慢。辛抱。正座待機。

同じデザインを一種類だけ用意して色違いで展開しているとどうしても飽きが来ることは避けられなくて、パンツも作ろうとパンツも用意して生産進行を待ちますが、なぜか上着は欲しいけど下着も揃えるつもりが全くないのか5着という縛りを達成できず最長で数年かかった色が出る始末。

ある程度の散財を厭わないお金持ちさんがいないと物事は停滞してしまう実例となりました。

objectを決めたら変更は絶対にできなくなります。
注文を出す企業が差し変わるようなことはあったとしても例えば猫を題材にしてジャージを出すならずっと猫を描いてジャージをお出しするべきです。

☆お題目(Propety)を決めよう

ジャージの正面に一番大きな面積を占めて、注目される対象を置きます。
プロサイクリングでは競技者が所属する陣営を指し示すものとして企業の商標や文字列を用いますが、ネタではネタと認識される絵柄を挿入します。
2chらしくギゴ猫、しぃがありましたが二代目となるジャージはたすく氏が作ったのでたすく氏ジャージと呼ばれます。上から読んでも下から読んでも違う読み方になるというわけではないですが、遠目から見ても2chジャージとは認識されない不思議なパンダ柄が好評を博します。このたすく氏によってジャージとしての寿命が飛躍的に伸ばされたと言っても過言ではありません。

2chジャージなら なんだこれは?と近寄って貰える契機を与えることから
たすく氏 2chジャージだとは思わせないかっこよさ
パロディライン お腹の底からこみあげてくる笑いを押し殺すことができない完成度
Enlightend 緑陣営です。と判りやすく存分に緑色の成分を配置すること

☆ツッコミを入れる要素(Method)を添えます

ツッコミを入れる要素はデザインを見てあれこれと検図をする購入希望者が出すものではなくて、デザインを担当する絵師の個性がそのまま出てきます。

彩色への拘りもありますが、デザインをした時節にプロサイクリングのジャージで取り入れている要素を横目に見ながら採用していると検図をしたい人たちからの反応を得られやすいです。

インターネットでの広報が始まりつつある時にはURLを入れてみたり、文字列を好んで差し入れる時節もありました。

彩色の形式もより多くの色を用いる時節もあれば古い時代のレースカーのように素朴で解り易い二階調であったりします。

プロサイクリングでは協賛金を出資して頂ける企業が出したお金に見合う返しを要求するのでテレビのカメラに見栄えしやすいような色の選び方と文字の大きさを要求します。
アマチュアでのジャージで同じことをやりたいならそれなりの競技成績が伴わないと企業との契約を締結できないのでネタでしか実現できない架空の企業名を載せることもできます。

日本語の漢字が珍重されることから熟語が載っていることを見出して模倣してるジャージもありました。

★デザインができたら下書きを始めます。
一旦絵師またはウエイブワンの担当デザイナーへ送ります。
下書きからAI(イラストレータ形式とPDF形式の閲覧用)ファイルを生成します。
掲示板へ提出
2chではまだクラウドもなかったし、デザインに興味のある人が閲覧出来た順番にあれこれと注文を付けていいことになっていました。注文通りの結果を反映してから再度上げ直しで、注文が無くなった後に絵師の都合による細かな手直しを経て正式の図案が完成されます。

正式な図案が完成するとAI形式でのファイルを提出すると共にPDF形式のファイルを添えてウエイブワンの担当デザイナーへ送付します。

この提出段階で絵師としての基礎を見られているようで、修正なくそのまま本生産に耐えられる品質を持つデータであると認められるのが担当デザイナーとしても手が掛からないので望ましいようです。

この図案に対して承認を得られるといよいよ注文が受付されます。
ところがデザインに関心があっても実際にお買い上げを頂けるのかはまた別の問題となります。

口を出すのは無償でもお買い上げするのは有償だからです。

□妥当性チェック
誰か他に実在する著作権を侵害しているような図案ではないこと
著作権に対して二次使用許可を正式に認可されていること

ここまでが2chジャージに課せられていた縛りであり、ウエイブワンを利用する他のジャージにも同様に精査を受けていたはずです。

パロディラインとして梅丹本舗、Discoery 2ch、山岳賞ジャージを展開していました。
パロディについては展開を開始する前に著作権についてポケット6法の本を参照して問題が存在しない、または他に問題となりうる条件に抵触しないことを日本国内とフランスを対象としてwikiで確認してから運用を開始しました。

それから何か月か経った後でパロディラインの頒布を停止することになりました。
問題となったのは商標権です。
2chで問題とされたのは優良誤認です。よく似たデザインなんだけど良く見つめてみると本物じゃないから不快だと物言いがつき、頒布は辞めてくれまいか?とお願いが掛かりました。

本物のジャージが欲しかったのに2chを買ってしまったとなることはありません。あくまでも巨大掲示板のなかにあるひとつのスレッドが存在していることを認知しないと図案を見ることすらできないからです。

ウエイブワンが更に企業としての飛躍する立ち位置を獲得する節目を迎えた時に2chは良くも悪くも2chに対して好ましい印象を持たせなかった2chの先人の振る舞いによる反応から自らの立ち位置を悪くしてしまったと思われます。ウエイブワンさんには本当に申し訳ない想いもありますが、自らが進んでトリップと固定ハンドルを携えた一人一人が敬意を以て各地に顔を出し、実名を出したうえで自転車連盟登録まで実行したとしても、掲示板に書き込む発言に一切の責任を取らないでも見逃される名無しさんであることを利して文句ばかり垂れて敬意の欠片も感じない誹謗中傷に明け繰られていたら打てる手もなくなってしまいます。

このお願いが担当していた絵師のやる気を損ねることはありませんでしたが今後に期待された活躍の場所を奪うのには十分な理由となります。

■絵師の交代
取りまとめ人は退任の意思表示を行うまで降板することはありませんが絵師の交代はあります。
本職の絵師さんが展開しているネタジャージであれば自分の名前がそのままブランド(銘柄)として認識される都合で取りまとめ人と絵師を一人で兼ねて運用しているとも言えます。

ネタジャージを作る時は誰がお店の人で誰が客なのかという意識はありません。
ウエイブワンを統べる中田社長も含めて掲示板をみている全員が参加者であるという意識を持ち続けないとよりいいものをまとめて作り上げることは困難となります。

寝ても覚めてもどうしたらいいものかと図案を思い浮かべる日々を過ごしたり、毎日のお仕事を終えて原宿に帰ってきてからPCを立ち上げて製図をがんばるとかひとりずつが少しでもいいので自分の出せる出力を合わせていってはじめて時間はかかるけど一枚でも多くの売り上げを立てられる定番商品が繰り返し育まれていくのでした。

絵心がないとか割とどうでもいい話なのです。
自分が好きになれるジャージが欲しくてどのような形にしたいのかを言葉にまとめてウエイブワンの担当デザイナーに投げてみて帰ってきた反応を見てからできる限り修正にかかる手間と時間を減らすために自分から伝えられる言葉を上手にまとめてお返ししていくやり取りをぜひ楽しんでいただけたら幸いに存じます。

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