見出し画像

「決算書をざっくり見る」ってどういうこと??

銀行で融資の仕事をしていてよく見た光景

社外社員計画 代表のKumiです。
わたしは地方銀行の支店の融資係として、7年ほど働きました。自分自身も含めてなのですが、銀行でよく見た光景は、新人の担当者が上司や先輩から「決算書はまずざっくり見ればいいんだよ」と、指導されている光景です。同時に「ざっくりって言っても何を見ればよいんだ??」と、戸惑いを浮かべる新人の姿もたくさん見ました。
そこで今回は、そんな???を解消するために役立つ、比例縮尺財務諸表の考え方について書きたいと思います。
バンカーでなくても、業務で自社や取引先の決算書をみる方や、決算書の見方を勉強中だけど、とっつきにくくて、なかなか学習が進まないという方にも、役立ててもらえるのではないかと思います。

比例縮尺財務諸表とは

比例縮尺財務諸表とは、決算書の数字を図で分かりやすく示したものです。「比例縮尺図」と呼ばれていることもあります。
わたしが比例縮尺財務諸表をはじめて知ったのは、MBAを取得するため、ビジネススクールに通っている時でした。M&Aを繰り返して規模を急成長させた2社の決算書を、比例縮尺財務諸表で見比べてディスカッションするという授業でした。数字をパッと見ただけでは理解しずらかった2社の決算書の特徴が、比例縮尺財務諸表にした途端に一目瞭然となり、ディスカッションがとても盛り上がりました。
それ以来、比例縮尺財務諸表の考え方が決算書をざっくり理解するのにとても役立つということを知り、企業の決算書を見るときは、はじめは比例縮尺財務諸表をイメージしながら、全体感をつかむようにしています。

比例縮尺財務諸表を使ってみよう!

ここからは、比例縮尺財務諸表を実際に使って、解説していきます。
まずは、決算書の数字を抜粋したこちらの表を見てください。(中小企業庁の中小企業実態調査をもとに作成した「製造業」と「卸売業」の業界平均です)

決算書


どうでしょうか?それぞれの業界の特徴がつかめたでしょうか。「うーん、わかったような、わからないような」という方も多いのではないでしょうか。
ここで、比例縮尺財務諸表の出番です。この決算書の数字を比例縮尺財務諸表であらわすとこうなります。

決算書 業界平均2

どうでしょうか??

●  製造業と卸売業を比べると、貸借対照表は同じくらいだけど、売上高は卸売業の方がかなり大きい

● 製造業は卸売業よりも固定資産が大きい。これは機械や設備をたくさん持ってるからかな?

● 卸売業は製造業よりも流動資産が大きい。これは在庫をたくさん持っているからかな?

● 卸売業は売上に対する売上原価の割合が大きい。薄利多売だからかな?

などなど、随分と具体的に考えやすくなったのではないかと思います。

数字が分かると、その企業のことをより深く知ったり、分析したり、改善策を考えたりできるようになります。企業の「数字」や「決算書」に苦手意識がある方も、比例縮尺財務諸表をつかうと、ぐっと理解のハードルが下がると思うので、ぜひ、活用してみてください。(Excelで簡単に作成できます。作成方法は割愛しますが、ネットで検索するとたくさん情報が出てくるかと思いますので、興味がある方はしらべてみてください。)

「バンクビジネス」への執筆

比例縮尺財務諸表をつかった決算書の分析を、経営学の基礎知識を交えながら解説する連載「MBAホルダーが教える!業種別に比べて読み解く中小企業の決算書」を、バンカー向けの情報誌「バンクビジネス」に、2021年4月号から、1年にわたって連載で書かせていただいています。気になった方は、読んでみていただけるとうれしいです。(銀行業務に関連する記事がたくさん掲載されています。バンカーの世界を垣間見ることもできるかも!?)

バンクビジネス

社外社員計画では、飛騨地域で経営コンサルティングの仕事に携わっていただける社員の方を募集しています。数字の見方も勉強しながら企業のサポートに関わりたいと思った方、ぜひご連絡いただけるとうれしいです!
HP:社外社員計画株式会社
e-mail: info@shagai-shain.com

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?