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まとめ 納税義務者の範囲の意味③

こんにちは。SSKC会計グループの岩田です。

今回は制限納税義務者について書いていきます。

今まで書いてきた無制限納税義務者は国内、国外関係なくすべての資産が課税対象ですが、今回の制限納税義務者は国内の資産のみが課税対象となりますよ~。

制限納税義務者

まずは定義を抜粋。

2 制限納税義務者
相続又は遺贈により日本国内にある財産を取得した個人で、その財産を取得した時において、①日本国内に住所を有するもの(居住無制限納税義務者を除きます。)、又は②日本国内に住所を有しないもの(非居住無制限納税義務者を除きます。)。

No.4138 相続人が外国に居住しているとき 国税庁

居住無制限納税義務者と非居住無制限納税義務者に該当せず、国内にある財産を取得した個人が制限納税義務者ということですね。制限納税義務者の場合は、国内にある財産のみ課税対象となります。

国内の財産を取得した個人は、制限納税義務者か無制限納税義務者には必ず該当する形となっています。

制限納税義務者の範囲の意味

制限納税義務者の所有する国外資産は不当なものではない、と認められた人ということですよね。

・過去10年以内に日本に住んでいたことはありませんか?
・日本国籍だったことはないですか?
などなど、様々な厳しい条件をクリア出来た人が制限納税義務者となれる訳で、租税回避の思惑が無いと認められたということです。

居住無制限納税義務者の範囲の意味(追記)

前々回の記事で、居住無制限納税義務者の範囲の意味は、
”相続した財産が全て国内にあるとは限らないから”
と書きましたが、これだと誤りがあるので書き直します。

まず居住無制限納税義務者というのは、相続時に国内に住所がある人を指しますが、一時居住者である個人は被相続人によってはこの区分から除かれることとなります。

国内に住所がある人全員が居住無制限納税義務者とならないのはなぜなのでしょうか。

それは、外国人労働者の負担を緩和するため、です。

平成29年度の改正で租税回避の防止のため納税義務者の要件を厳しく強化しましたが、一方で高度外国人材等の受入れと長期間の滞在をさらに促進する観点から、外国人が出国した後の相続については、原則として国外財産には課税しないといった見直しが行われてきました。

それでも10年以上日本に住んでいた外国人は課税対象とされてしまうため、平成30年、令和3年と納税義務者に関する改正が行われ、10年を超えて日本で就労する者から相続により財産を取得した場合であっても国外財産にまで課税されないこととなりました。これが「外国人被相続人」が出来た訳ですね。
※改正の経緯について、詳細はこちらをご覧ください。

外国人就労者に対して、国外資産まで課税するというルールがあると確かに働きにくいですよね。

ちなみに、一時居住者出ない個人は外国人被相続人であっても国外資産は課税対象となります。これは租税回避の防止のため、ってことでしょうね。

まとめ

全ての区分(特定納税義務者以外)を確認出来たので、ここで一旦まとめてみます。
※自己流のまとめであり正式な定義ではありませんので、確認する際はお気を付けください。

①居住無制限納税義務者
・相続時、国内に住所がある個人。
・ただし、一時居住者は被相続人が外国人被相続人、非居住被相続人の場合は除く。(外国人就労者に対する緩和措置)
⇒すべての資産が課税対象

②非居住無制限納税義務者
・相続時、国内に住所がない個人。(租税回避防止のため)
・ただし、相続前の10年間日本に住んでいない人は被相続人が外国人被相続人、非居住被相続人の場合は除く。(外国人就労者に対する緩和措置)
・また、外国国籍の人も被相続人が外国人被相続人、非居住被相続人の場合は除く。(外国人就労者に対する緩和措置)
⇒すべての資産が課税対象

③制限納税義務者
・国内の財産を相続した、①②以外の個人。
⇒国内財産のみ課税対象

おわりに

結構な頻度で改正が行われていることを知りました。
今覚えていることは近々変わってしまうのかもしれないという不安がありますが、社会生活上の問題点をそのままにしないというのは大切ですよね。

次は一体どんな脱税を試みられるのか、それに対してどう対策するのか、今後が気になります(笑)



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