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506心臓破りの石段 外国人に歳を聞かれる

 好天気に誘われ房総半島にドライブした。写真は保田(ほた)海岸から東京湾越しの富士山さん。その後、鋸山日本寺へ。断崖絶壁を見てみたいと思ったのだ。岩に彫られた大仏を参拝し、いざ頂上へというところでロープウエーが山の反対側であることに気づくが、今さら間違えたとも言えない。「事前勉強が足りない」と責められるのは必定。意を決し石段を登り始める。すぐに息が切れた。ゼ~ゼ~、ハ~ハ~、休み休みでよじ登る。家内はちょっと若いだけなのに、快調に登っている。引っ張ってほしいと哀願したいが、そこは意地で頑張る。

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 追いついた東南アジア系の外国人カップルが家内に話しかけていた。「奥さん、何歳ですか」。歳を聞いてびっくり顔。「自分の母親は58歳です。それよりずっと元気ですね」。家内は後方のボクを指さし、「あの人は70歳なのですよ」と余計な説明をしている。カップルはボクの姿を「歳相応」と納得したようで、「心臓をお大事に」とにっこり笑い、先に行った。
 ようやく頂上にたどり着いた。その先にさらに岩があり、地獄のぞきができるとある。家内はすぐに行列に並んだ。登る順番になり、いっしょに登ろうとボクを手招きする。ボクは座り込んだままだった。岩山を降りてきて理由を詰問された。列に割り込むのはよくないことだからと答えたが、ほんとうのところはその岩場で足の踏ん張りが効かず、滑り落ちる予感がしたからだ。年齢による衰えを自覚したのが正直なところ。
 地獄のぞきはできなかったけれど、頂上広場から下を見下ろすだけでもスリルは十分。絶壁はほぼ垂直。大仏から700の石段を登ったが、高さも100メートル以上は優にあったのではないか。下りは傾斜が緩い回り道を選択したことは言うまでもない。その途上にロープウエーがあった。それで降りてタクシーで駐車場に車を取りに戻る選択肢もあり得たが、それでは親戚中の笑いものになるのが必定。自分の足で駐車場までたどり着いた時の達成感は体験者でしか味わえない。

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でかけたのは連休中日の1月8日。連休とあってかアクアラインは渋滞していた。千葉県側に渡り終えたところの料金所前でカーナビが3千円台の通行料を告げている。エッと一瞬驚くが、これはボクの車載ナビが古いだけのこと。料金所通過時にはちゃんと800円徴収と告げ直していた。
 完成時の通行料はずっと高かった。それでも千葉市回りよりは時間の節約だから、以前はゴルフの集合時間に遅れないように利用したものだ。しばらくして4千円に下がった。それでも高いと森田健作千葉県知事が走り回って800円になって現在に至る。
 この道路の建設費用は通行料で償還する前提で計画された。通行料から逆算すると1万円近い料金にしなければ合わないのではないかしら。それを800円にしたということは、工事費回収を諦めて税金投入に変えたということだ。考え方としては一般道路と同じにしたということだと思われる。でもその説明をしないから、「800円でもけっこう高いよな」とドライバーはブツブツ言うことになる。
 改めて確認するとアクアラインの総工事費用は1兆2千億円ですって。ずいぶん巨額だなと思うだろうが、国民一人当たりで割ると1万円だ。1昨年に実施されたコロナの特別給付金は一人10万円だった。不謹慎と批判されるだろうが、特別給付金を振り替えればアクアライン級の道路がいっきょに何本も作れた。下北半島と北海道、渥美半島と三重県、淡路島と和歌山、伊予半島と大分、大隅半島と薩摩半島…。
国防が危ない。仮に対抗上空母を建造するのにいくらかかるか。ネット情報では1隻5千億円程度という。これまで巨額過ぎて考えられなかったが、コロナの給付金10兆円と比べ、どちらの緊急性が優るか。
 公共事業や防衛関連の整備資金を兆円単位でどうやって工面するか。要は本気度の問題だろう。50兆円の税収の1%分の冗費節減で5千億円、2%を剰余とすることで1兆円を生み出せる。緊急時に備えて予備費をしっかり組み、財政に余裕を持たせておく。これが国家財政の運営ではないか。緊急事態が生じれば使用するが、それがなければ将来の危機に備えて積み立てる。
企業と違い政府は営利事業を営まないのだから、借金が常態での運営にはなじまない。政府財政の健全化は必須事項なのだ。しかるに現実では、財政均衡すら“禁句”に等しい扱い。無益なバラマキが優先され、赤字借金をいかに増やすかのバカ知恵比べになっている。常識と非常識が逆転したのはいつからだろう。

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