見出し画像

750少子化はバラマキで解決しない

 岸田総理の年頭記者会見。2022年の出生数が80万人を割り込み、「これ以上放置できない課題だ。出生数を反転させなければならない」と強い危機感を示した(読売新聞1月5日)。①児童手当などの経済的支援の強化、②学童保育や病院保育、産後ケアなどの支援強化、③働き方改革の推進を三本柱として具体策を進めることを少子化担当大臣に指示したという。言っては悪いが、新規性もなければ、反省もない。耳達者が売りの岸田さんだったはず。「自分の処方箋はこうだ」という練りに練った独自プランを示してはどうか。
 先の三つでは出生数は反転増加しない。政策を通しての社会的実験で実証ずみである。これまでこれら三つにどれだけ公的資金か投じられたか。そして出生数の減少速度は比例して高まった。方法が間違っていたからであり、間違った方法を強化すれば、結果はより悲惨になる。
 結果が芳しくなければ方法をゼロから見直すのが兵法の常道。しかるにである。自治体首長も創意がないことでは負けていない。
 東京都知事の小池由利子氏から18歳以下の子ども一人月額5千円を支給すると発表したとある。内容的は児童手当の増額。少子化対策を国に先駆けて実施すると都知事は力んでいるが、これで出生数は増えるのか。。ユーチューバーからは「一桁違うだろう。最低でも月5万円は必要だ」と批判されている。ドブガネにならないか。都税納付者に予測数値を示すべきだろう
 同時期、都内北区の花川与惣太区長が新年賀詞交換会で「学校給食費の全面無料化」を打ち出した。「(北区の)子育てナンバーワン(の地位)をより確かなものにしていく」と述べた由(東京新聞)。家庭の食費負担を減らすことで出生数が増える計算式があるのか。
 共通するのは少子化に名を借りたバラマキ。効果が見えないのに資金を注ぎ込む。自分のカネであれば、決してしない投資である。政治家として国難の一つである少子化反転を目指すのであれば、これまでとは違う方法を模索すべきであるし、また財政窮迫の折であるから、投資効率をしっかり見定めなければならないはずだ。
 これらバラマキはいったん始めると後戻りできない。出生数が反転増加し、例えば地球環境問題などで出生数抑制が求められることになったときにすんなり廃止できるのか。「そんな先まで政治家をしていないもん」を許すのか。ポピュリズムの危険を常日頃論じるマスメディアが手放し賞賛しているかのような報道ぶりなのもどうしたことか。
 子どもを作る、作らないは国民の選択。民主主義社会の原作。子どもがいた方がいいなと考える国民が増え、いない方が楽でよいと考える国民が減れば出生数は勝手に増えていく。
そして国民の関心事は自身の老後。であればこういう政策はどうか。「有名無名の映画監督を100人集める。そして2億円ずつ渡して『日本人の老後』というドキュメンタリー映画を自由に作らせる。ポイントはわが子のあるなしの比較を織り込むこと。作品は全品、政府のホームページで国民に提供する」。
 2億円かける100編で200億円かかるが、少子化を国民全体で考えるスタートになるはずだ。あとは民主主義のルールで出産育児の障害になっている事項の撤廃政策を進めれば結老い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?