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361男は要らない

子どもを産めるのは女だけ。これは不条理ではないか。男も子どもを産めるようにすべきだ。そういう主張をしたら認められるのだろうか。
医学の進歩は目覚ましい。子宮を臓器移植して、その中に自らの精子を用いた受精卵を生着させて10月後に出産すれば、父親であり、かつ母親(代理母)になれる。問題は卵子を提供した生物学上の母親の存在だが、そこは法律的な手立てを講じて母親の権利を主張できないように措置する。
以上を政治家が公約で主張したら大騒ぎになるのは必至だろう。
だが、逆だったら容認される。むしろ評価される。なぜ?

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新聞コラムでフランスの状況が紹介されていた(「父親はいなくてもいい?」、『産経新聞』2021.7.22)。同国は最先進的な人権国家というのが、わが国民の一般的な認識。概要は次のとおり。
フランスで法改正があり、成人女性は誰でも、精子提供で人工授精が受けられるようになる。不妊の夫婦が利用するのが精子バンク。これを女性同士のカップル、さらに独身女性一人だけでの利用も認めることになった。その結果、「男のタネをもらって生まれたが、父親はいらない」と子どもたちが語るのが通常の姿になるという。
「子どもに『父親は選択制』と意識させること」で、父権を失墜させ、母系社会が到達目標になるとの指摘もあるようだ。今回の法改正で、女性は将来の出産に備え、卵子を冷凍保存することになり、男性との恋愛や結婚は必要なくなる。

半世紀以上も昔、高校に入ったばかりの頃、クラス仲間に誘われて見た映画。完全な女社会だが、人工授精技術がなかいので、子を作るにはセックスが欠かせない。そのためタネ男が飼われていて、子が欲しくなった女性が一晩いくらで買う。生まれた子が男の場合、タネ候補を残して処分される。
「男性が政治権力を持たないから世界各国は平和主義」というテーマだったかどうか。
でもねえ。生物を作った造物主がいるとすれば、「人間という種は、男と女の両性で子を成して繁殖すべきもの」と定義したはず。その基本を勝手に変えていいのかなあ。
フランスと同様の制度が、北欧、スペインで実施済みと記事は言う。なにごとも「過ぎたるは及ばざるがごとし」のはず。父親、母親そろった家庭が基本。そのうえで片親を余儀なくされた子どもに不足感を感じさせない手立てを考えるのが福祉施策だと思う。原則と例外を倒錯させることの重大性を一歩下がって考えることが必要だ。

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