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589落選議員の星 杉村太蔵元衆院議員の自賛

議員は落選したらタダの人。ではなくてタダの人以下のケースも。
山下八洲夫元参院議員が不正乗車で逮捕された事件。その内容がお粗末すぎた。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/20220510/3080008805.html
― 国会議員には政務調査に必要としてJRの無料乗車パスが交付されている。被疑者は落選して議員でなくなった以降も返却しないで保持していて、常態的に無賃を繰り返していた。使用時には現職議員の名を語っていた。駅員が間違えて切符を渡し、議員事務所に問い合わせたことから発覚した。 ―
 
 この事件からくみ取るべき教訓はなにか。
 議員でなくなったのに、タダの人に戻れない者がいる。
無賃乗車は悪いことに決まっている。子ども会で海水浴に行った折、集めた資金では帰路の交通費が足りなくなり、世話役から「小学1年生は幼稚園児と言い張れ」と指示されて渡船料をゴマかしたことがあったが、緊張の動悸は60年以上経ても覚えている。山下元議員には罪悪感がなかったか。議員の特権意識が勝ったか。
テレビ番組でキャスターの辛坊治郎さんが「元国会議員で、生活保護で暮らしている方が結構いる。選挙に落ちた後は借金取りしかこない。だから生活保護」と語ると、コメンテーターで元衆院議員の杉村太蔵さんが「自己破産する方結構います。やっぱり現実は厳しいです」と他の元国会議員の苦しい台所事情を明かした。
なお杉村自身は落選後、テレビタレントに転身。250年暮らせる資産を築いており、「落選議員の星」を自認している。
https://www.daily.co.jp/gossip/2020/10/10/0013771869.shtml?pg=2
 
民主主義国の国会議員は「正当に選挙された国会における代表者であり、国政の権力を行使するが、その福利を享受するのは国民」である(憲法前文)。政治的権限を行使するのは国民のためであって、私腹を肥やすことではない。
専制主義国とはこの点が違う。ロシアのプーチン大統領の個人資産は20兆円以上とも言われるが、どうやって稼げたのか。中国共産党の大幹部連も事情は同じ。政治家としての権力と個人資産が連動している。
これが専制主義国とすれば、民主主義国では政治家になってもならなくても個人資産は変わらないのが、あるべき姿のはず。
政治家に経済特権を持たせるべきではない。特権を得れば、それを失うことを怖れるようになり、議員であり続けることが目的化する。
政治家を志すのは実現したい政策があってのこと。それに同調する人が押し出して誕生させるのが民主主義国の政治家。それでも選挙は水物。落選することはある。当選して政治活動に没頭すれば、本業を一時規模縮小しなければならないかもしれない。政治家の生活費支援のために同志が寄付し、それを非課税として国家が支援する。これが民主主義国の政治のあり方ではないのか。
そう考えれば高額の歳費など有害無益。憲法(49条)も「国庫から相当額の歳費」としており、平均サラリーマン並みが妥当なはずだ。年間3千万円も支給するから、勘違いして立候補するバカ者が現われる。そして票を買うために借金し、その返済のためによからぬたくらみに加担することになる。
 
選挙の前も後も生活は変わらないのが民主主義国の政治家像。有権者と等身大であるべきなのだ。
毎年公表される議員の個人資産に「預貯金ゼロ、所有住宅なし、有価証券なし」と記載する者が少なくない。経済的信用度ゼロの“無産者”に政治を任せて大丈夫なのか。「資産を隠しているだけ」という議員がいたら、もっと危ない。“嘘つき”を信用していいのか。
民主主義国の議員は無給のボランティアなのか。そのとおりだ。町会役員だって、マンションの理事長だって原則無報酬である。PTA役員もそうだ。
ただし国会議員には勉強し、行動してもらわなければならない。そこで政治活動に必要な費用は、理由を細かく聞かずに領収証と引き換えに実費全額を支給する。山下元参院議員が悪用した顔パスはダメだ。いったんは自分で支払うことだ。ただし公務なので、それを国家が補填するのである。
政治家になるのはカネのためではない。やりたい政策のためだ。カネ儲けの手段として政治家になるのは民主主義国では御法度。これが原理原則だ。

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