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603あおり運転撲滅には車載カメラで対応

東名あおり運転男に懲役18年の判決が下された。その事件の発生は2017年6月5日の夜。家族4人が乗ったワゴン車を追い越し車線上に、走行妨害する位置で停車させた。そこに高速走行の大型トラックがぶつかり、ワゴン車は炎上。両親が死亡し、子ども二人も負傷した。
判決はちょうど5年後の6月6日だった。処罰の根拠となった「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」は2013年に制定されている。危険運転が絶えないことから制定された法律で、立法府(国会)もさぼってばかりではないと認識した。その2条では、「危険運転致死傷行為」を列挙し、それによって人を負傷させた者は15年以下の懲役、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役と規定している。その中には「高速自動車国道において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行をさせる行為」などとなっている。
被告は後続のトラックが急停止すべきであったと主張して控訴する方針のようだが、往生際が悪いとかえって世論の怒りを買うのではないか。

この事件で論評したいのは2点。一つは刑法の殺人罪の適用について。検察官はこの併合適用についてまったく検討しなかったのだろうか。というのは判決の懲役18年が軽すぎると思うから。殺人罪では「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役」である。
高速道路の追い越し車線に停車していればどうなるか。一般道ではなく、高速道であるから、起きうる事態はだれでも想定できる。後続車を道具に使っての殺人行為と考えるのが普通人の感覚だ。いわゆる「未必の故意」による一家皆殺しを企図した行為である。
二つが車載カメラ。あおり行為をしたかどうかは、目撃情報よりも車載カメラの映像解析の方が正確に判断できるはず。さほど高い機器ではない。既存の車にも取り付けられる。なぜこれを義務化しないのだろう。チャイルドシートはぶつかったときの安全対策だが、車載カメラは事後処理だけでなく、あおり運転抑止効果も期待できる。ついでにいえば、スピード違反での判定にも有効のはず。余計なことかもしれないが、コロナ対策のマスクよりも切実姓は高い。
そんなことをかんがえていたらテレビのコメンテーターが「経済的に車載カメラを搭載できない者がいるので国が助成すべきだ」と述べていた。こうしたバカな発想が問題だ。車載カメラが有効なのであれば、単純に義務づければよい。わが国では2年ないし3年ごとに車検を受ける規則になっており、その際に車載カメラを検査項目に加えるだけで3年後には行き渡る。なぜ公費での助成が必要という発想になるのか。装着の資力がない人への対策はと問う者がいれば、「車を手放せば」と説くのがまともなコメンテーターの役割のはず。
ただ車載カメラの設置義務化はプライバシーの侵害という意見はありそうだ。その点はどうなのか。コメンテーター同士での議論を聞いてみたい。

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