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460ムダのばらまき、マイナポイント

マイナンバー事業は失敗している。そのことをまず認めようではないか。
マイナンバーとは国民背番号制度である。氏名や住所で個人を管理するのは効率が悪い。結婚すれば氏名が変わるし、住所なんて引っ越しで変わる。性別変更だって裁判所が認める時代。生涯変わらないものを要求する方が無理。ならば一生変わらない番号をつけて管理するのが合理的。行政の効率化とサービス向上のうえでは当然の要請なのだ。
だが、わが国では反対が強くて進まない。それはマイナンバーの前身である「住民基本台帳コード」の導入時にさんざん指摘されていた。手あかにまみれた経緯を引きずっているのがマイナンバー。看板をかけ直しても、国民の不信感は変わらない。
有効な仕組みであれば、だまっていても普及する。国民に番号をつけたいのは政府である。一方、マイナンバーは市町村に住所登録した住民票がベースになっている。マイナンバーはこの出発点で、根本的矛盾が生じているのだ。
「政府が全国民を統一番号で管理するのです」。最初からそう言うべきなのだ。国民は問うだろう。「政府が管理したい情報は何か。人権にかかわるような個人情報を政府が無断で収集、利用するのは嫌ですよ」と。
あらかたの国民が政府による情報の一元管理に賛同する項目は何かと、正面から問いかけるべきなのだ。そうすると公的年金保険や医療保険での加入記録、保険料納付、給付のベースになる従前報酬額、給付履歴などが挙がるだろう。そうした情報を個人が覚えておくなど非効率。政府のコンピューターでの一元管理がふさわしい。
国民全員加入の公的年金分野では、とっくに基礎年金番号制度が導入、運用されている。この基礎年金番号をそのままマイナンバーに発展させれば、追加費用はゼロで済む。しかるに政府は自治体情報を基とする新規番号にこだわり、巨費を無駄に投下し、基礎年金番号をことさらに無視してきた。それはなぜか。明らかにすべきはその点だ。国民情報は安全保障につながる。ドロドロの思惑や利権ではなく、純粋に効率性や安全性で選択されなければならない。
 巨費を投じての失敗に懲りず、マイナンバーで新たなばらまきが予定されている。取得者に5000円、医療保険証併用者に7500円、口座紐づけに7500円。まるで民間クレジットカード事業者に新規顧客勧誘サービスだ。賢い国民はそうした撒き餌に乗らない。おまけ分はどこかで、事業者に取り返されるからだ。
 政府がマイナカードでばらまく経費も同じで、必ず取り返される。その手段は先行きの増税である。バラマキの代償は孫や子を苦しめる。ゆめ忘れてはならない。

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