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676 あなたが産めば 雌雄同体が理想社会か?

喜多村悦史

 アメリカの中間選挙では勢力伯仲。上院、下院、州知事選、その他もろもろの地方選挙が行われましたが、トランプ前大統領の津波的大波予想ははずれて、共和党優勢はさざなみにおわったようです。
 この選挙で大きな争点の一つになったのが「中絶問題」。妊婦が自身の身体をコントロールする権利に属する事項か、それとも髪や爪を切るのとは次元が違う胎児に対する殺人行為なのか。
 もっぱら母体と胎児のどちらの人権を重視するかという点で、賛否が分かれて双方が大音声で張り合っています。日本でも意見が割れています。
 
一石を投じる投書がありました。読売新聞(2022.11.12)の「人生案内」です。読んでいない人のために要約すると、投書者は夫、つまり男性。
「自分は子ども好きだが、妻は“要らない”派。夫婦間で自然妊娠したので自分は大喜びしたが、妻は『出産を強要するなら自殺する』と泣きわめき、やむなく自分は中絶に同意した。妻は悪性腫瘍を取り除いたかの如くせいせいしているが、殺人罪で告発したい気持ちである」
 妻の主張が載ってないのでどうとも言えませんが、妻の言い分を想像すれば、「痛い目をして生むのは自分である。無痛で産めるなら、また出産に伴う身体上の負担がいっさいないなら、生まれた後の子育てを拒否するものではない。二人の間の子どもなのだから、夫であるあなたが産むのであれば、私は賛成し、応援する」ということではないでしょうか。
 
 性別による差異はいっさい許されないという主張を前提にするならば、こうした主張はつけ入る隙がない正論です。
 でも誰もが感じるように、現実的ではありません。理由は、今の科学技術では、男性には妊娠し、出産する機能がないからです。
 ではどうすればいいのでしょう。今の人類は雌雄別ですが、カタツムリのように雌雄同体の種もあります。人類が雌雄同体であれば、好き合ったAとBの二人がセックスのたびに「今回はAが精子を提供し、Bは受胎後の妊娠と出産引き受ける」などと契約を交わせばよいことになります。
 では人類を雌雄同体に改造することは可能か。またそれは論理的に正しいことか。
 
「プロチョイス=民主党」と「プロライフ=共和党」とスローガンを掲げて争っていますが、論点を突き詰めれば「人類は雌雄同体を目指すべきなのか」。
 
 こうした深遠な議論をする政治家はいないようです。なぜでしょうね。

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