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488 財政危機を語るのは頭がおかしい証拠?

来年度の政府財政規模が107兆円を超える見込みとか。税収は60円兆円なので47兆円を新規に借金するつもりらしい。ただしこれは当初予算での話。近時は補正予算での歳出規模拡大が恒例化し、しかも中身よりも大盤振る舞いの大きさを競う傾向にある。決算段階では借金依存度はさらにさらに大きくなるはずだ。
「まともな財政運営ではない」。ただしそれを口に出すには勇気がいる。国の借金は大きければ大きいほどいいとの説が圧倒的で、異を唱える者には「理論が分からないバカ」とのレッテルが待っている。財政法の原則(歳出は税収の範囲内であるべし)は死語のようなのだ。
財政赤字は国際潮流、日本だけではないから安心せよ。そういう声も聞く。だけどみんなが常に正しいとは限らない。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」と信じていたら、とんでもないことになることは少なくない。
歳入>歳出が本来の財政の姿。余った分を将来に備えて積み立てておくか、減税するか。そういう議論を聞きたいものだ。東京都でも財政積立金があったはずだが、小池知事の派手な大盤振る舞いで跡形もないという。
歳出が大きいほどよいとの考えに支配されている。バラマキを続ければ、その波及効果が民間に及び、景気がよくなって税収が倍増、3倍増するはずというのだ。これを30年続けている。そして成果であるはずの経済成長はいまだに得られず、世界に珍しいゼロ成長の記録を更新している。
おもしろいデータがあった。アメリカのCIAがまとめた財政規模が大きい国の歳入、歳出比較。
日本だけじゃない! 先進国のほとんどが大赤字! みんな大丈夫なの? | 社会人生活・ライフ | 社会人ライフ | フレッシャーズ マイナビ 学生の窓口 (mynavi.jp)
これをもとに財政自立度(歳出÷歳入)を計算する。
●第1位......アメリカ
歳入:2兆8,490億ドル(307兆6,920億円)
歳出:3兆5,170億ドル(379兆8,360億円)
⇒財政自立度 81%

●第2位......中国
歳入:2兆1,180億ドル(228兆7,440億円)
歳出:2兆2,920億ドル(247兆5,360億円)
⇒財政自立度 92%
●第3位......日本
歳入:1兆7,390億ドル(187兆8,120億円)
歳出:2兆1,490億ドル(232兆920億円)
⇒財政自立度 80%
●第4位......ドイツ
歳入:1兆6,260億ドル(175兆6,080億円)
歳出:1兆6,240億ドル(175兆3,920億円)
⇒財政自立度 100%
●第5位......フランス
歳入:1兆4,100億ドル(152兆2,800億円)
歳出:1兆5,220億ドル(164兆3,760億円)
⇒財政自立度 92%
●第6位......イギリス
歳入:1兆230億ドル(110兆4,840億円)
歳出:1兆1,120億ドル(120兆960億円)
⇒財政自立度 92%
●第7位......イタリア
歳入:9,840億ドル(106兆2,720億円)
歳出:1兆520億ドル(113兆6,160億円)
⇒財政自立度 93%
●第8位......ブラジル
歳入:8,511億ドル(91兆9,188億円)
歳出:8,156億ドル(88兆848億円)
⇒財政自立度 104%
●第9位......カナダ
歳入:6,878億ドル(74兆2,824億円)
歳出:7,408億ドル(80兆64億円)
⇒財政自立度 93%
●第10位......オーストラリア
歳入:4,943億ドル(53兆3,844億円)
歳出:5,144億ドル(55兆5,552億円)
⇒財政自立度 96%

財政自立度の低さでは日本は飛びぬけての1位。そして経済成長率ゼロということでも抜きんでている。(結果からみるかぎり)財政自立度と経済成長は相関しており、歳出削減すれば経済には好影響という逆説が成り立つ。

思い切った歳出削減で財政自立度を高めること、そして財政黒字に戻ことが、長い目で見ても経済成長への正しい道である。19世紀以前の(古臭いとされる)健全財政論の方が、実は正しいのではないか。
では歳出のどこを中心に削るのか。○○は聖域などと争っている場合ではない。クーポン券配布に1千億円の事務費などのバカバカしさはだれもがわかっているはずだ。マイナンバー取得に交付金も意味不明。後世から「国を誤った政治家」と言われないためにも、議員先生には予算削減を競って欲しいものだ。議会の本来使命は国王の無駄遣いを止めさせるためだったのだから。

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