見出し画像

668カルト集団と闘った政治家

『日本が自滅する日』。ショッキングな題名の本をアマゾン無料版でゲット。サブタイトルは『「官製経済体制」が国民のおカネを食い尽くす』。著者欄を見ていなかった。
 多くの国民が感じていることだと思う。目次をめくって、ボクと考えが似ているじゃん。
 改めて著者名を見た。石井紘基とある。ずいぶん前に暗殺された政治家ではないか。奥付で出版時期を確認。平成13(2001)年、20年以上も前の本だ。そのときと今のわが国で、彼が訴えた事象で何が変わったか。これからじっくり読んでみるけれど、基本的には変わっていないはずだ。病巣がより深く、大きくなっているだけで、いよいよ危機ラインに近づいている。

 ところでこの政治家、なぜ殺されたのか。記憶をたどると、政府の経済運営について厳しく追及していた。経済活動への政府機関による恣意的な見えざる統制が強化されており、これが成長力を削ぎ、政府支出の増大を招き、国力低下と国民意識の弛緩につながっているという指摘であったと思う。民主主義は論争によって強化される。政府の担当部署に恥じるところがなければ、情報公開して政策手法の是非を国民に問えばよい。当時内閣府のマクロ社会経済政策研究部署にいたボクは、この種の議論の活発化を期待していた。
 そうしたら突然の政治舞台からの退場。2002年10月に自宅前で刺殺されてしまったのだ。「金銭トラブルで仕返しした」と自主出頭した者がいて幕引きになったが、当時から裏があるとの憶測があったと思う。石井議員は準備万端の資料を整えて国会で議論をしかけることになっていてだけにタイミングが良すぎた。裁判所も有罪判決を下すに際し、金銭トラブル犯行説に疑問を呈している。では黒幕は???
 改めてウィキペディアを見てみた。石井議員は、経済政策批判だけでなく、むしろ統一教会やオウムをカネ儲けの社会悪組織と認識して、弾劾市民運動を主導していた側面で注目されていたとある。そちらサイドの面々から目の上のコブとにらまれる理由は十分にあった。現実に「お前の子どもを見な殺す」などの匿名脅迫を受けていた。

 日本社会の問題を切開し、膿を出し切るべしとの声が充満している。石井紘基元衆院議員殺害事件の再調査をすべきではないか。国会主導で超党派の特別委員会を設置するなどは、アメリカなど議会活動が活発な民主主義国ではよく見られる手法だし、わが国国会の国政調査権限にも該当すると思える。
 石井さんが属していた民主党の系譜を継ぐ立憲民主党などの現在議員はどういう認識か。週刊誌を材料にゴシップ的に汚く口攻撃をするのではなく、「政治言論保障」「カルト集団排撃」「社会秩序維持」など国民の自由と民主主義の基盤を維持する観点からの、国民の代表者らしい活動を期待したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?