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756出生数ランキング バラマキ派には不都合な数値にも注目する必要がある

 岸田総理が「異次元のバラマキ」で出生数を反転増加させると意気込み、これを奇貨と当てこむ輩がそれ行けドンドンの具体策をぶち上げることになりそうだ。だけどその財源は赤字国債。返済義務はこれから生まれる子どもたちにかかっている。希望どおりに出生数が増えても返済はおぼつかないのに、バラマキでかえって出生数が減りでもしたらだれがどう責任を取るのか。
「子どもを産めばカネを与える」ということは「カネをくれるまで子どもを産まない」に等しく、カネの要求水準は次第に吊り上がっていく。景気対策もそうだったし、マイナカード普及でも共通した。間違ったバラマキは効果をもたらさず、カネだけがドブに流れていく。 
 出生数を増やすことにつながるかもしれないと“有識者”や“専門家”を名乗る人たちが並べるバラマキ政策の数々。日本よりも“福祉施策”が進んでいると彼らが主張する国があることは否定しないでおこう。しかし公平を期すならば日本より進んでいない国々もあるし、それが大半だ。そもそも社会保障が政策課題にも挙げられない国の方が多い。そうした国では出生数はゼロに等しいとでも言うのだろうか。
 マスメディアも避けるのか、国内でほとんど紹介されない「不都合な」数値を紹介しよう。いずれも権威ある国際統計による最新の国、地域別の出生数である。比較しやすいよう人口千人あたりの年間出生数である。
 まず世界銀行の調査(2012年)では対象国・地域は200あり、平均は21.56人になっている。人口千人の村では21人、1万人の町では210人、1000万人のメガシティでは21万人、1億人の国では210万人の出生数が見込まれ、10億人の人口大国ではなんと2100万人も生まれる計算になる。そこで日本だが、千人あたりで8.20人と平均の半分にも及ばない。そして順位だがなんとビリの200位なのだ。1位はニジェールというアフリカサハラ砂漠の南にある国で49.81。日本の6倍の出生率である。
 日本が世界最低というのは納得し難いという人にはWHOの数値を見てもらおう。OECD諸国では2015年までの新しい数値が含まれている。この統計では世界平均は22人。対象国・地域は限定されて193。1位は同じくニジェールで50人だが、ビリは日本ではなくモナコで7人。日本はドイツと並んでブービーで8人となっている。ただしトップの6分の1にも達していない。
 最後はCIAのワールドファクトブック。2014年時点で224国・地域ともっとも対象が多い。平均は19.66人。トップはやはりニジェールで46.21人。日本の位置だがビリから3位の222位と少し地位アップするが数値は8.07人と超低位。下に位置するのは223位のサンピエール島・ミクロン島(どこにあるのだろう)7.70人と224位モナコ6.72人。
 参考までにG7に属する国の人口千人あたり出生数は10人から12人。8人の日本がその水準になるには25%から50%の増率が必要。バラマキでそれが達成されるとする根拠は何か。子を産むか、さらに根源的に家族を持つかは集団心理的な要素にかかっているのだ。ちなみに北朝鮮、ロシア、中国といった専政国家の出生数は先進民主主義国並みか少し高い。北朝鮮は韓国よりもずっと高い。バラマキと出生数が敏感に比例していないことは一目瞭然である。

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