696岸田総理が中国に的外れの内政干渉
都合が悪い指摘を受けると「内政干渉をするな」と逆切れするのが独裁国の通弊。その代表格が習近平独裁を強化する中国であることは衆目が一致するところ。
だからといって必要なことは指摘し続けなければ「中国の主張が正当なものとして受け入れられている」と勝手に思い込むから、始末に悪い。
カナダのトルドー首相は中国がカナダの総選挙に干渉したことについて公式対談で苦言を呈した。そのことをカナダ政府は明らかにした。民主主義国の選挙に他国が干渉するのは許されないことだ。まったくもって当然のことなのだが、中国政府はおもしろくなかったようだ。翌日会った際に文句を言った場面がカメラに撮られている。さすがに「他国の選挙に干渉するのは中国の内政事項である」とは言わなかったようだ。
わが日本は「内政干渉」をどう捉えているのか。今日の新聞にこうあった。「岸田首相が今月17日、タイの首都バンコクで中国の習近平国家主席と会談した際、中国の新型コロナウイルス感染対策について「防疫措置が厳しすぎる」との見解を伝え、事実上、緩和を要請していたことが分かった。日中関係筋が明らかにした」。(読売新聞11月23日)。
国内の防疫体制をどうするかは純粋な国内問題。中国の措置が甘すぎて、日本にコロナウイルスが乳流する危険があるということであれば、苦言を呈するのはありだろう。数年前、武漢発ウイルスが世界に広がっているとされていた時点で日本政府が言うべきことだった。だがそのときはなにも言わなかった。
では今はその時か。違うだろう。中国の防疫体制は日本よりも格段に厳しい。無論それは日本が甘すぎるということではない。“ウイズ・コロナ”に舵を切り替えたわが国での政策だ。日本から見れば中国はいつまで〝ゼロ・コロナ“の幻影を追っているのかということだが、中国にも考えがある。それをあからさまに間違っているといわんばかりの言い方は、まさに内政干渉。よこぞ習近平氏が目を向いて怒り出さなかったものだ。でも考えてみれば当然だ。耳に痛い事項の方を岸田総理は触れなかったのだかろ。
この会談で岸田総理はほかに何を言ったのか。「尖閣諸島に用もないのに海警船を出すな」。「領海に反してガス開発するな」。「日本の回りを爆撃機で周回するな」。「日本の九州領海の海底を探査するな」。「日本人を根拠もなしにスパイ容疑で拘束するな」。「在日中国人にスパイもどきの行動をさせるな」。「北朝鮮のミサイル発射を擁護するような態度を国連安保理で取るな」。「台湾で緊張を高めるな」。「南シナ海で国際法違反の行動をするな」。「沖ノ鳥島は単なる岩礁だなどと喧嘩をするような発言をするな」。まだまだいくらでも挙げられる。
「中国に対して言うべきことは言う」が政権の基本方針。以上挙げた最低限のことだけでも会談時間に納まるかどうか。どこまで言ったのか詳細には公表されていない。
会談時間は1時間もなかったはず。言うことがなくなったっから時間つなぎにゼロ・コロナ政策に触れたということはあり得ない。ゼロ・コロナ発言が事実とすれば、言うべきことなのに差し替えで取り下げた事項があることになる。それはどれか。
中国のゼロ・コロナ継続で困るのは工場等を進出させている特定企業。その社長連にいい顔をするのと、日本の対中外交で筋を通せずに会談を終えたことと、そのいずれが大きいか。
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