846 NIE県内コンクール 「家族の会話」育む契機に 福井新聞社説 2023年6月22日
地味だけど共感できる論説。注釈は不要だろう。
ところでNIEという外来語の意味。「Newspaper in Education」の略称で日本語では「教育に新聞活用」だそうだ。社説でもそう説明すればいいのに。
社説本文
教育現場で新聞を活用する「NIE活動」を側面から盛り上げる二つのコンクールがある。本年度も応募が始まった。タブレット端末利用など新しい潮流の中でも、確かな情報を読み解き自分の考えを育む力は今後ますます重視されよう。新聞を使った活動に期待したい。
コンクールは、県中学校教育研究会社会科部会などが主催する「県中学生郷土新聞コンクール」と、日本新聞協会が全国の小中高校生から募集する「いっしょに読もう!新聞コンクール」である。いずれも夏休み明けの9月に作品を締め切る。例年、秀作が出そろうだけに、児童生徒たちの作品が待ち遠しい。
郷土新聞コンクールは28年目を迎え、昨年は県内43校から3700点を超す作品が集まった。県内NIEを支える事業といっていいだろう。ふるさと福井の地理的、歴史的な事象をテーマに生徒自らが記者となって調査し、現場を取材。新聞づくりを通じて、福井への誇りや愛着が育まれると同時に、古里が抱える問題点や将来の課題を考えるようになる。
「いっしょに読もう!新聞」は、児童生徒が読んで気になった記事や感動した記事を台紙に貼り、意見や感想をつづる「記事から社会を考える」作文の作品だ。自分の考えだけでなく、子どもの意見に対して「どう思うか」を家族らに書いてもらう。それを踏まえ再度自分の考えを書く。単に「記事を読んだ感想」で終わるのではなく、幅広い意見を取り入れて、一つの記事で「思考を深める」狙いがある。昨年は小中高43校から計3105点の応募があった。
この二つのコンクールは新聞や活字に親しんでもらうのが目的の一つだ。しかし、作品を読むと、その奥に親子の会話や家族との協力が感じられるのが特徴である。「いっしょに読もう!新聞」作品は、子どもたちの考えが一歩深まっていくのが読み取れる。授業では得られない、親子の深い学びがある。
NIE県内実践指定校の多くは、学校全体で参加している。例えば、テーマを絞った記事を基にグループ学習で取り組み、自分の考えを他の生徒と比較し振り返る中で、刺激し合う学校もある。
NIEは学校現場を中心に進められるが、コンクールを通し児童生徒たちは親や家族と対話し、主体的、対話的で深い学びを実現しているようだ。授業や学校生活の中でも積極的に新聞を活用し、思考するきっかけになればと願う。
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