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491 新聞セールスに上手に乗せられた顛末

「新聞読者の投票率は90%超え」。新聞にそんなニュースが載っていた。新聞16社の共同調査の結果だそうだ。30歳未満の若者も84.6%だったという。ほんまかいな。
 有権者総数での投票率は55.93%と報告されており、戦後三番目の低さだった。90%と56%の落差はとてつもなく大きい。衆院戦後に松野官房長官は、「国政選挙において投票率が低いことは残念で、総選挙によって示される国民の意思は今後の政府の方向性を決めるものであることから、できるだけ多くの有権者の皆様に投票に参画していただくことが重要だと考えて」おり、その手法として「総務省や選挙管理委員会において、ショッピングセンターや駅構内に期日前投票所を設置するなど、有権者の投票しやすい環境を確保するとともに、若者などへの啓発に努めている」と述べていた。
 新聞社の調査は、投票率上昇のためだけならば、ショッピングセンターや駅に投票書を設けるなどのカネと人手が必要な手段よりも効果的手法があることを示している。国民が新聞を読めばいいのだ。たしかフランスでは、若者に新聞を割引だったかで提供する施策を政府が講じている。でも日本政府には財政余裕はない(はずだ)。

チャイムが鳴り、新聞社名を名乗る若者が玄関先に現れた。箱根マラソンの応募に当選したので景品を持ってきたという。そう言われれば応募はがきを出した記憶がある。目当ての観戦用防寒着は外れたが、品数に余裕があるのでお渡ししたいと言いにくそうにしている。彼の体つきはマラソン選手のようにも見えたから、大会協賛寄付金集めに部員が動員されているのかと軽率にも疑った。(ごめんなさい)。
そうではなく彼は正真正銘の新聞社営業社員。かつて洗剤などと交換に試験購読を持ち掛ける訪問があったが、その発展形だった。断る手もあったが、彼は運がよかった。ボクはちょうど冒頭の記事を読んだところだったから、3か月の期間限定で試し読みをすることにした。それだけでもよかったのだが、さらにビール一箱も置いていった。彼は何度も礼を言って帰っていったが、こちらもこの冬の家族の集まり用のビールを買わずに済んだ。
では3か月間、2紙を読み比べてみるか。だが、即座に家計を心配する別のボクの声がする。購読紙をその期間お休みすれば、出費は変わらないよと。ただこの場合、新聞社サイドはどうか。読者総数は増えず、各社が食い合っている構図にほかならない。官房長官の国民の投票率を上げたい視点では、購読総数を増やさなければならないのだ。
投票所数を増やす、政府が新聞代の一部を肩代わりする、新聞消費税を下げるなどは、いずれも費用対効果の点で問題含みだろう。いっそ新聞読者向け宝くじをしてはどうか。新聞を通じてのアンケート回答に豪華景品を用意する。新聞購読者は新たにくじを買う必要がないのだから、当選率は低くてかまわないだろう。購読していない者が抽選に応募するために、図書館に通うこともあろうが、新聞購読者数を増やす点での効果はあるはずだ。要は新聞を丹念に読まなければ応募できないアンケートを工夫することだだ。
アンケート回答率も上がるから調査費用は減り、景品代に回すこともできる。新聞各社がすでに研究していることかもしれないが…・

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