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220525鏡に向かって言え 中国共産党がQUADを恫喝

東京でQUAD(クアッド)会議が開かれた。自由や民主主義、法の支配といった基本的価値を共有する日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4か国の枠組みで、今回の議長はわが岸田総理。政権交代があったばかりのオーストラリアの新首相も駆け付けた。素晴らしいことではないか。
 と思っていたら中国共産党政府の報道官が強硬な反対声明を出した。その要旨をあるテレビ局がまとめていた(BSフジの5月24日「プライムニュース」)。
①台湾問題は一貫して中国の核心的利益
②中国は釣魚島(尖閣諸島)など島しょに反論の余地のない主権を有する
③日本は米国の核の傘の下に隠れ、非核三原則に反する行為が連続している
④中国は終始、世界平和の建設者であり、世界の発展の貢献者。これからもアジア太平洋地域の平和と安定と継続的な繁栄を守っていく
 
感想を求められた元外交官の平林博さんは「彼ら自身がやっていることへの批判であれば当たっている。日本に対しての批判としては的外れでナンセンス。コメントするならば、鏡に映っている自分の顔を殴りつけているような滑稽」といった趣旨の発言をしていた。ボクは日本人のほぼすべて、正邪を判断するだけの情報に接している世界人類の大多数が同じ感想であったと思う。
 
まず①の台湾問題。台湾を独立国としてしまえば簡単に解決する。それをなぜか「中国は一つ」という国際的合意のようなものがあるらしい。そこで中国は一つという仮定で考えてみよう。その場合、両岸を含む統一政府を作ることになったとして、その政府はなぜ共産党支配であることが当然視されるのか。思い上がりもはなはだしい。真に自由な国民投票が行なわれれば、共産党支配が否定される公算がかなり高い。それは香港の行政長官選出のやり方を見ていても分かることだ。
②は東シナ海、南シナ海の領有権問題。反論余地のない主権というが、南シナ海の領有権は国際司法裁判所で判断されている。反論の余地がないのは「北京政府に領有権を主張する根拠はない」ということだ。尖閣でも同様であり、史実を積み重ねれば日本に領有権があるのは明らか。にもかかわらずウソでも声高に繰り返せば真実になるという論法であり、ナチスのゲッペルス宣伝相にも匹敵する心違いである。
③非核三原則の最終目標は世界から核兵器を廃絶すること。北京政府が核兵器を廃棄すれば非核三原則は現実に近づく。しかるに世界の中で核を増強している双璧が、北京とその支持を受けているらしい北朝鮮。日本の非核三原則を難しくさせているのは自分たちであるという認識がないのか、とぼけているのか。兵器バランスの著しい不均衡が戦争の原因になるのが歴史の教訓。非核にこだわっているとウクライナのようになるぞとの日本人への親切な警告としてならば意味が通じる。
④世界平和の敵はロシア。そのロシアを擁護しているのが北京政府。この一事だけでも彼らが世界平和の建設者であるわけがない。国内でもウイグル、チベット、モンゴルなど悪辣な人権侵害を続けている。諸国の憲法はいざ知らず、日本国憲法が説くところの「人類普遍の原理」※に反した体制の政府であることは疑いようがない。
 
日本政府の報道官による格調高く、北京の思い違いを諄々と諭すような格調高い反論声明をいつ聞けるのだろうか。
 
※日本国憲法前文では「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり…」としている。

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