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465公約に殉じて議員辞職

地元江東区の議員が辞職しました。それを知ったのは議会映像を見てのこと。本会議(2021年9月21日)で一般質問していたのが若手の室達康宏議員。教育問題に絡めながら、かなり格調高く、区政の基本認識を質していたのですが、最後部分を次のように締めくくりました。
「デルタ株による猛威は戦後最大の危機であり、こうした極めて特殊な状況下にあっては、報酬審議会の定例会開催を待たずに直ちに臨時会を開催し、公選職の報酬2割削減を諮問し、最低でも本年度4月分から遡って報酬を削減すべきです。区の考えを伺います。 報酬削減は私の公約でもあり、何より区民の意思です。コロナ禍でも高い住民税を払い、公選職の高い報酬を負担することは納得できません。区民の思いを伝えるために反対票を投じたとしても、可決されることになる身を切らない予算や決算を承認する議決機関の一員であり続けることを、私は受け入れることはできません。仮にあくまで身を切らないとのことであれば、その姿勢に抗議し、本定例会終了後、速やかに辞職することといたします。」
江東区議会インターネット中継-録画中継 (jfit.co.jp)

理事者側の答弁はそつないものでしたが、議員報酬削減等に関しては明確に拒否するものでした。
それだけならよくある風景で終わったでしょう。ところが室達議員はほんとうに辞職届を出してしまいました(10月25日。江東区HP)。
議員自身が議員報酬は高すぎるのではないかと問題提起しているのに、まったく相手にされない。お手盛りでの引き上げには熱心だが、いったん得た報酬は既得権益化する。そんなことでいいのでしょうか。代議制民主主義における議員とは何か。室達さんの憤懣を感じ、考え込んでしまいます。

国会では10月31日の衆院選で当選した議員に、わずか1日の在籍に対して10月分全額の文書交通費が支給され、問題になっています。文書交通費は使途自由で領収証も不要。一般人から見れば、給与報酬と変わりません。要は、月々の議員報酬は129万4000円と公表されていますが、ほんとうは文書交通費の100万円を加えた約230万円(ほかに年額635万円が加わります)が実報酬であるということではないでしょうか。

元衆院議員の杉村太蔵さんが昨日のモーニングショーで、「議員当選したときにあまりの報酬の多さに驚いて感想を言ったら、猛烈なバッシングを受けた」と語っていました。「自分から報酬を下げてくれとは言いにくいんですよ」と付け加えていました。

都議会では、無免許運転で交通事故を起こした議員が、辞めろ、辞めないで応酬を続けています。議会に出にくいだろうに、なぜ議員でいたいのでしょう。
議員は労働者ではありません。国民、住民の負託を受けて、政策を論じ、決定する立場です。会社でいえば取締役。また住民レベルでは町内会やマンション管理組合の理事に当たります。
そもそも報酬を支払うのが間違いなのではないか。経費や交通費の実費補填をメインに、それに日当的な謝礼でよいのではないかと思えます。そのほうがお金目当てではなく、ほんとうに政策策定に関わりたい、そのために私案を温めている。そういう人を活用するのが、本来の代議制ではないかと思います。学校時代、みんなから押されて面倒だなと思いながらも、クラス役員などを引き受けた経験を思い出し、その発展形が自治体や国の議会なのだという発想ではいけないのでしょうか。


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