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479 コオロギを食べたらエエヤン

わが国は資源小国。国民を養うための食料自給率は先進国最低。それだけではない、石油、天然ガスのエネルギーを算出しない。原発の素材ウランも同様。最新電子機器に必要な希少アースでは、産出国からの脅し手段に使わるありさまだ。これから先も資源大国に振り回され続けなければならないのか。
そんな情けないことでどうする。切歯扼腕する国民に朗報だ。資源がないなら、作り出せばよい。発想を変えればよい。そんな思いを強くしたのが昨日の新聞。産経新聞(2021年12月5日)の「コオロギ食が世界を救う」。簡単に言えば、昆虫を食べようということ。コウモリとか、ヘビとか、スッポンとかのいわゆるゲテモノ食いではない。科学の粋を尽くして、おいしい現代料理の材料にするのだ。しかもおいしく、栄養価高く。以下は記事の紹介と感想。
食料の中でも自給絶望は牛、ブタなどの肉類。ベジタリアン(菜食主義)では必須栄養素のうちの動物タンパク質を補えない。ここで発想が止まっているのが、国民を導くべき立場の政治家の面々。必要は発明の母という。食料面だけでも国内自給を本気で実現しようではないか。例えば、植物の成長に必要な、水、肥料、太陽光。周囲から遮断した建物内でこれらを管理供給すれば、害虫被害なしに大量生産できる。ブロイラー飼育などと変わらず、野菜工場などと呼ばれている。これは民間の努力で実現中。それを発展させればよいのだ。
記事によると。昆虫の大量人工飼育での技術的ハードルは高くない。子どもの頃のコオロギやカブトムシ飼育を思い出すと分かるだろうが、労力投入も少ない。システム整備次第で低コストの大量生産が可能なのである。
課題は味。記事ではすでに解決段階であることが示されている。コオロギラーメン、コオロギカレー、コオロギパン…、コオロギビールまで実用化されているという。コオロギせんべいは作る端から売り切れになる国内企業もある。
人間が直接食べる食料に限らない。マグロ等の養殖にイワシなどの小魚を与えるのは、食糧安保の観点では逆効率。コオロギから作った餌に切り替えれば、イワシも人間の食材になる。
さらに地球温暖化対策への効果。牧場の牛の呼吸やゲップによる二酸化炭素やメタンの排出量が懸念されるが、コオロギ飼育では二酸化炭素が1580分の1、メタンが1270分の1にとどまる。そのくせタンパク質量は牛の3倍もある。コオロギ食に切り替えることで、温暖化への歯止めになり、国民の栄養価も上がる一石二鳥。
ここに至って政治家がすべきことは何か。食料、エネルギー、希少資源、温暖化…に翻弄される国の状況を正しく伝え、これに対処するために国民に何を求めるかを、率直に語ることだ。説得による国民に行動を促すのが本来の政治である。バラマキと違って巨額財政支出を伴わない。
国会議論の結果が「コオロギを食べよう」でもいいではないか。そして日本人食材構成が変わり、食料自給を達成し、温暖化ガス計算で良好な結果がでるようになれば、それを外交攻勢に使うことができる。「わが国にはわが国の道がある」と総理や外相は言うが、その言葉を使用すべき場を間違えてはならない。

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