見出し画像

エアコン、ファンヒーターなしで冬を過ごせってか?

「日本は資源小国である」。地球環境問題を論じるときの前提条件になっているが、これは大間違いでほんとうは潜在的な有資源国であるのだが…。

下に掲げたのは新潟新聞の社説。どの新聞の大同小異のことを主張している。同紙を題材にしたのはたまたま手元にあったから。
「炭酸ガスが増えて気温が上昇して多くの地域で人類は暮らせなくなる。わが日本国民は大量消費を反省して、化石燃料、すなわち石油、石炭、天然ガスの消費削減に率先協力しよう」というもの。
「そりゃ大変。なんとかしなくちゃ。熱すぎて暮らせない熱帯域や国土が海中に没する島しょ国の人は難民になる。温帯域の日本が住めない土地になるのはまだ先だろうが、エゴイスティックではいけない。地球人類は皆兄弟姉妹。日本人として、日本政府としてなにをすべきかを真剣に考えなければ!」
まじめな日本国民はそう考えるだろう。言説は正しい。
ではどうするのか。具体的行動に移さなければ無責任。

日本から離れて”地球市民”という客観的公正な立場を想定して、地球人類の大多数を救う方法を考えてみよう。
まずまっとうな対策。石油・石炭・天然ガスは偏在している。そしてそれが埋蔵している区域を占領している国の所有物とされている。これがおかしいので正そう。すなわち化石燃料に関しては「一国所有をやめて全人類の共有財産にして消費の計画を行う」。ただし採用されないだろう。偏在先には独善的な軍事大国があるものだから、拒否権によってボツになる。
彼らの側から出される対案は、「地球温暖化阻止の観点から、資源保有国に輸出規制をかける方が簡単だ。とりあえず輸入国の国民当たり化石燃料消費量を調査して、輸入上限を設定する。多い国に対する輸出価格は特別超過料金を国連が賦課する。…」

そんな手前勝手な主張している国は、今のところはない。だが今後もないと言えるだろうか。化石燃料の国際流通が一気にしぼむから地球温暖化は一挙に解決に向かう”妙案”と思っている人がけっこういるのではないか。
この場合に困るのはだれか。一人当たり化石燃料輸入量が多い国の国民である。だれか。聞くまでもないよね。国内で化石燃料を掘り出いくせに消費量は突出して大きい国、その代表格がわが日本。

特定国を狙い撃ちにした策が国際会議で認められるわけがない?
それは楽観過ぎるというもの。日本国民自身が「日本は批判を受け止め、脱炭素に有効な取り組みを急ぐべきだ」と言っているではないかと、国内新聞の社説を持ち出されればグーの音も出ない。
化石燃料輸入量を制限され、しかもそれに特別課徴金を課せられたらどうなる。第一次石油危機(昭和48年暮れ)の折、石油ストーブが使えなくなり(当時エアコンはなかった)、寒さで震えたことを思い出す。

ではどうしろと言うのか。発言力を得るためにも、化石燃料を買い集めているという批判にまず対処する必要がある。
「日本は化石燃料資源がない」と思い込んでいる人が多いが、これが間違い。四方を見ると太平洋(南鳥島近海)、東シナ海(尖閣近辺)、日本海(竹島周辺)、オホーツク海(北方領土近隣)のすべてで大規模資源の埋蔵が確認されている。技術的に採掘能力を高めなければならないけれど、政府や国内企業が本気になれば実用化できないわけはあるまい。国会議員の青山繁晴さんのSNS発信などで確認できる。本気で開発しないのは、なにかを怖れているか、なにかの利権に絡んでいる与党政治家たちの無気力である。

日本同様の島国イギリスは北海油田開発で資源小国からエネルギー国産国になっている。本気の国策にすれば実現することだ。

日本が地球環境保全で一人前のことを言いたいならば、まず化石燃料の国内自給を実現する構えを示す。そうしてはじめて「化石燃料採掘量削減をわが国は率先し、太平洋島しょ国が国土水没する危機を防止する」と大見えを切る土台ができる。資源外交とはこういうことではないのか。
新聞の論説委員諸氏は、心の内ではどう思っているのだろう。

COP28 化石燃料からの脱却急げ2023/12/17 6:00

 化石燃料依存からの脱却を打ち出したことは前進だ。各国は、地球温暖化対策を合意だけで終わらせず、実行に移さねばならない。 国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は、気温上昇を産業革命前から1・5度に抑えるパリ協定の目標実現へ「化石燃料からの脱却」などを進めるとした成果文書を採択した。 ただ、成果文書の当初案にあった「化石燃料の段階的廃止」との文言は産油国の反発もあって削られた。これに島しょ国が反対し「脱却」との表現で合意に至った。 今回の合意は、石炭火力発電の段階的削減を打ち出した過去の合意より前進し、石油や天然ガスを含めた化石燃料全体に広げた。より踏み込んだ姿勢を表すものだ。 後押ししたのは、気温上昇に対する各国の強い危機感だ。 開幕前には今年が最も暑い年になり、平均気温が産業革命前を約1・4度上回り、パリ協定の目標に迫っていると発表されていた。 寒冷地の氷の融解が進み、海面上昇が加速し、大雨や干ばつ、山火事といった異常気象による災害も多くの国で起きている。 国連のグテレス事務総長が「全ての化石燃料を段階的に廃止し、エネルギー転換を加速させる必要がある」と訴えたのは当然だ。 成果文書は、現状ではパリ協定の目標は到底実現できないとし、温室効果ガス排出量を2019年と比べ30年に43%、35年に60%減らすことが必要だとしている。 各国が取る具体策として、化石燃料からの脱却を20年代に加速することや、排出削減対策が取られていない石炭火力発電施設の段階的削減への努力の加速を挙げた。 世界の再生可能エネルギーの発電能力を30年に3倍にするとの数値も初めて示した。 各国は、文書を踏まえて作る新たな排出削減目標で積極的な方針を示してもらいたい。 日本は、燃焼時に二酸化炭素(CO2)が出ないアンモニアなどを燃料に混ぜる技術も「対策」に当たるとの解釈で、石炭火力を今後も使う方針だ。 しかし、この方法は当面、ガス火力より排出が多い見込みだ。 世界の環境団体は「グリーンウォッシュ(見せかけの環境対応)だ」と批判している。 気になるのは、COP28に合わせて米国や日本など計23カ国が、脱炭素への貢献を理由に、50年までに世界の原発の発電能力を3倍に増やすと宣言したことだ。 原発は、計画から運転開始まで長い時間がかかり、建設コストも高い。「原発3倍」は、再生エネ導入を妨げることにもなりかねない選択だとの指摘もある。 再生エネを30年までに3倍にする誓約に123カ国が合意したのに比べ、広がりを欠いている。 日本は批判を受け止め、脱炭素に有効な取り組みを急ぐべきだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?