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766国連の武力制裁 文部省教科『民主主義』に照らして考える

国際連合の無力についての失望は日本中に広まっています。でもその懸念は昔も変わりませんでした。文部省作成の中高生用教科書ではどう書かれているかを探ってみましょう。『民主主義』は昭和23年に作成されています。当時の文部省の姿勢がよくわかります。今の中高生への教科書として復活させることを提案したいです。

まず国際連合への期待です。第一次世界大戦後にできた国際連盟が機能不全で内部瓦解していったことは歴史教科書で学ぶとおりです。『民主主義』から抜粋しましょう。
「今度できた国際連合は、国際連盟に比べると、「安全保障」という点ではるかに強力な制度を備えている。・・・もしも平和を破壊するようなことが起り、安全保障理事会がこれに武力制裁を加える必要があると決めた場合には、加盟国は共同してその武力行動に協力しなければならない。」

ロシアの侵略にウクライナが単独で抵抗していますが、これは国連憲章の正しい姿ではありません。国連加盟国による連合軍が東西南北からロシアに攻め込むことですウクライナを解放しなければならないのです。ウクライナは国連に加盟し分担金を納付しています。国際連合は債務不履行をしているのです。その怠慢を責めることは、大口分担金拠出をしているわが国の責務ではないでしょうか。

問題の元凶が五大国の拒否権です。「国際連合は、安全保障理事会の決議について、原則として民主主義的な多数決原理を採用したにもかかわらず、五つの常任理事国に関する限り、全員一致を必要としているのである。この拒否権があるため、安全保障理事会がその機能をじゅうぶんに発揮しえないことはまことに遺憾である。」

『民主主義』の記述は続きます。「安全保障理事会において五大国の拒否権が認められたのは、国際連合の掲げる主権平等の原則が、国際社会では強い実力が物をいうという政治の現実と妥協した結果にほかならない。」
しかしそれでよしとするのでは国際連合の趣旨が泣くことになります。
完全な多数決原理によって運用される(国際連合の)総会が、実際上国際紛争の解決に重要な役割を演ずるようになれば、拒否権の発動はそれだけ避けられるようになる。のみならず、もっと根本的に拒否権そのものを制限しようという強い意見もあって、新たな加盟国の推薦や紛争の平和的解決のための勧告を行う場合には、安全保障理事会の決定においても拒否権を取り除くという案が研究されている。」

わが国の安全保障が厳しい状況にあります。ウクライナは明日の我が身かもしれません。自国防衛力を高めようと模索する与党に対し、野党は外交力で安全保障を図れと主張しています。では外交力をどう発揮するのか、それが課題です。国際連合の安全保障理事会における常任理事国の拒否権を制限することという提案は一つの外交政策になるでしょう。与野党問わず、わが国は総合的には大国であると言います。ならば国力にふさわしい外交をどう展開するのか。国会では口先ではなく、具体的方向性をもった議論を期待したいものです。
国際連合が機能するようになったとしましょう。国際連合として例えばロシアに武力制裁をする場合、加盟国はそれに応じなければなりません。制裁参加は国際連合加盟国の契約義務になっています。非武装を主張する人たちは国際連合から除名され、国際孤立する恐怖を考えないのでしょうか。

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