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イイ奴

今回はかつての相方の話をしようと思う。

1年目としてデビューしてから3年目まで、「ブルタルト」というコンビで活動していた。

厳密にはNSC生だった時の11月からの結成になる。

この時の相方が江木という男だ。

身長は僕とさほど変わらぬ164cmだが、とにかく顔が良い。ハンサム。

ノリとかボケなしで「かっこええなぁ」と褒められるし、写真も撮る。
今考えても相方の取る反応ではないと自分でも思う。

そんな江木の男前エピソードを紹介したい。

数年前のある時、某先輩が僕に対してブチギレているという話を耳にした。

事情を聞けば、どうやらその先輩はとあるファンの方と最近付き合いだしたらしいのだが、その事を僕があちこちに言いふらしているというのだ。

知らん。んなもん知るか。濡れ衣も甚だしい。

とにかく「次佐々木に会ったら何するかわからん」と息巻いているらしい。

その先輩とバイト先が同じだったのが江木であり、他にも多くの芸人が働いているところだった。

他の芸人たちはその話を聞き、「あり得ない」「どう考えてもその佐々木が悪い」と言っていたらしい。

そりゃそうだ。ただし事実ならの話だ。

そんな中、江木だけは「そうっすかねぇ」「そんな事するやつじゃないですけどねぇ」と最後まで僕の肩を持ってくれていたらしい。

江木からも事実確認の為に電話が掛かってきたが、きっぱり「違う」と答えた。

そして後日、情報の漏れた原因が別の人間だった事が明るみになる。

江木がかっこいいのはここからである。

僕の潔白が晴れ、バイト先に出勤した江木は開口一番、

「全員佐々木に謝ってくださいよ!!」

と、すごい剣幕で突っかかったらしい。

相方として肩を持つことはある程度できるだろう。
でも、当時まだ2年目か3年目だったペーペーが先輩芸人だらけの場でそんな事が言えるだろうか。

僕にはできない。「ね、違ったでしょ」と、やんわり場を収める事しか。

結局他の芸人からは特に何もなかったが、当事者の先輩からは連絡と直接の謝罪をもらった。

何か被害を受けた訳じゃないし、「まぁまぁ、別にいいっすよ」と事を終わらせた。

今でもその先輩とたまに楽屋などで顔を合わすと、どこか気まずい顔をされる。

何年前の話引き摺っとんねん。もうええわ。


佐々木スクイズ

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