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方向音痴
方向音痴というジャンルに帰属する人間がいる。
自分もその一人だ。
18歳まで地元である島根県は浜田市という港町に住んでいたのだが、その時には方向音痴を自認することは無かった。
道に迷うほど町が複雑な構造をしていなかったからだろう。
目的地に対しての方角や距離が大体正確に掴めていた。
高校を卒業し、大学進学にあたって大阪に出てくると、すぐにそいつは顔を出してきた。
行きたい場所への最短ルートがわからない。
どっちの方向へ進めばいいかが掴めない。
現在地から右へ進むか左へ進むかで必ず二択を間違える。
50%を毎回間違えるのだ。
これは寧ろ正解がわかっていて、敢えて逆を選んで外しにいっていないと引けない確率だ。
今ではパチンコにおける期待度50%なんかで高揚するなよ、という教訓にしている。
そんな我々方向音痴の敵は案内表示や路線図ばかりではない。
会話の中で躊躇なく方角をぶち込んでくるタイプの人間。
「こっから北に〜」「東の方向にまっすぐ〜」「南に下っていけば〜」
どういうつもりなのかと問いたい。
何故こちらがすぐに方角を把握できる前提で話しているのか。
そもそも道を聞いている時点でその能力が欠如している事ぐらい察してほしい。
だが親切を仇で返すような事を言える訳もなく。
そうしてまた東とはどっちで北とはどっちなのか。
それを理解せぬまま己の感覚だけを信じ歩き始め、
今日も時間を無駄にする事になる。
佐々木スクイズ
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