メンズコーチ☆

 男性は女性を「可愛い」で評価するのに対し、女性は男性を「かっこいい」で評価する。かっこいいとは、概ねヒエラルキーの上位に君臨する要素を指して言う。足が早いとか頭が良いとかコミュニケーション能力が高いとか収入が高いとか。ただこのことは裏返せば、女性からの評価を気にして行動することが、そのまま自身の社会的地位の向上につながると言うことも意味する。男は愚直に女からかっこいいと思われるように振る舞えば大抵のことがうまくいくようにできている。
 ただ女性の場合はこうもいかない。女性の足の速さ、頭の良さ、収入の高さといった要素は、今のところ男性から見て直接的な魅力にはなかなかなり得ない。男性は女性を「可愛い」と思うことで好きになるが、足が速い=可愛い、頭が良い=可愛い、収入が高い=可愛い、のような等式は成立しないのである。可愛いとは一般に保護すべき対象であるものに対して抱く感覚である。足が速いことは、かっこよさには還元できても、可愛さに還元できない。知能の高さに関しても、「アホの子」という言葉が表すように、むしろ低いほうが可愛さに結びつく。つまり女性は男性からの「可愛い評価軸」を気にして振る舞うほど、社会的ステータスを下落させるのである。この「可愛い」と「それ以外のステータス」が二律背反であることが男女の社会的性差をあらゆる文明で生み出した諸悪の根源であるようにさえ思える。
 ただこの傾向は今後変わる可能性が高い。すでに男性の評価軸に「可愛い」が取り入れられている側面もあるし、クールな女性像が一定の評価を得るのは女性にもかっこいい評価軸が取り入れられているからにほかならない。
 

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