ロールモデル1

イジるーイジられるという会話におけるロールプレイは、一般に広く行われるが、人によってどちらが得意か分かれる。適切に行われればコミュニケーションは円滑になるが、人によっては不快感を生じる場合もあり、運用には注意を要する。今回は2つのロールモデルのうち、イジられる側の対応に着目して体系化する。

 複数人いる局面でイジられる側に回るのは少数派である。特定の要素を比較して、それが多数派にとり劣後するとみなされる場合、いじりの対象として選択されやすい。いじりとはある種の攻撃であるため、多数派、少数派という区分が明確でない場合は発生し得ない。笑いは数的優位が確保されているからこそ成立する。一つの例を取って見ると、ある集団において、地方出身者が2名、都心出身者が6名の場合は、地方出身者への攻撃をしても数的優位が確保される。しかしちょうど4対4であれば勢力は均衡し、単なる派閥争いになる。この場合もしある1名が地方出身者であることをいじりのネタに用いれば、残りの3名も同様のいじりをうけた気分に陥るため、いじりをした側が不利になる。

 数的均衡が崩れている場合でかつ、それが明白な状況でなければならないとすれば、集団内である程度互いの認知度が深くなければ成立しない。これがイジるイジられるというロールモデルの特徴だ。

 次にイジる側の期待する反応に着目してイジられる側の適切な応答を考える。これはイジりがマイルドないじめであると考えれば見えてくる。いじめは大抵相手が怒ったり、悲しんだりする様子を楽しむ。そのためイジられた場合も怒ったり悲しんだりする方がいいということになる。そしげ

てその順番は、まず最初に怒り、その後悲しむという手順がよい。一旦挑発を受け勝負し、その後負けを認めるという手順である。ただし当然であるがあくまでこれはロールモデルであるから、あくまで冗談として行う必要がある。(攻撃→反撃→再攻撃→敗北)

 この場合反撃は本気では怒っていないことを提示する必要があるから、多少ひねりのあるコミカルな切り返しが要求される。

 ただし、仮に冗談だとしても受け入れがたい場合には、単純な無視でキャンセルするのがよい。ムキになって本気で対応すると、ロールモデルに於いては反撃と解釈されるため、再攻撃が続く。実際の敗北は心理的負担になるため、早い段階でロールモデルを抜け出す必要がある。大抵反撃のためのうまい返しが思いつかない場合は回避すべきと判断する。受け流しはシンプルな相槌でよい。

 


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