マッチングアプリ

 マッチングアプリは就職活動に似ている。プロフィールがESで、通話が一次面接、初デートが2次面接、以下略、といった具合である。お互いに就活生であり面接官でもある。ただ女性のほうが選ぶ側であると言う意識が強いのは確かだ。
 マッチングアプリを始めて10日が経過した。現在2名の女性とアポイントを取って対面を果たすことに成功した。これは平均的な男性と比較すれば良いペースだろう。とは言えそれは私が優れているのではなく、指導をしてくれた友人たちの力である。何かを始めるときはまず先人に学ぶことが大事だ。トライアンドエラーを繰り返すことも大事だが、正しい方向で努力する必要がある。
 例えばプロフィール。これはどんなものを設定するべきか?大きく二つの方向性があるだろう。目立つようにユニークで興味を持ってもらいやすい写真を使う、あるいは特に悪いところのない無難なものを選ぶ。私は当初ライバルの中で埋もれるよりはユニークで面白い内容にすべきだと考えていた。ところがこれは不正解。正しくは無難で減点する要素がないものを選ぶべきなのだ。もし私がユニークで興味を持ってもらいやすい方向で色々な努力をしても、それは一向に効果を出さなかっただろう。無難さを極める努力ならば間違いはない。実際無難さを極めた私のプロフィールはコンスタントに一次選考を通過して次のステップに進める。持ち駒を増やすためのES通過は多ければ多いほどに良いのだ。
 選ばれることにばかり集中して選ぶことを忘れるのも良くない。実際に入社して見たら想像と違った、なんてのは就活ではよくあるパターンだ。当然マッチングアプリも同じ。短期的な付き合いならばともかく、結婚は一生だ。どんな相手でもいいわけではない。しかしどこかで必ず妥協する必要も出てくる。給料も良くて、仕事も楽で、やりがいもあって、職場環境も良くて、なおかつ将来安泰で…なんて企業はなかなか見つからない。同様に顔も良くて性格も良くて収入も良くて、、、なんて人はめったにいないのだ。
 そんな時に自分が相手を選ぶうえで大事にする軸を持っておくと便利だ。パートナーに求めることは色々ある。その中で自分が譲れない部分と、妥協できる部分に分けるのだ。譲れない部分を大きな軸として持つ。そうやって判断するのが大事になってくる。
 終身雇用制も崩壊しつつあり、離婚率も高くなっている今日、マッチングアプリはより需要が高まるだろう。ユーザーも増えて、今まで以上に関わることのできる人の数が増えて行く。そんな中で、我々は果たして自分が選ばれる人間かどうかを日々よく考えながら過ごさなければならない。恋愛市場の熾烈な競争を勝ち抜いたものだけが生き残り、それ以外は淘汰される。
 就職活動を終えて新卒1年目の私は、10年先を見据えて、今マッチングアプリと向き合っている。


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