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なぜ今、「健康経営」なのか?

「健康経営」勉強会(2022年2月15日)より抜粋記事

昨今、経済産業省や各自治体でも後押しがあり、取り組みが増えているものに「健康経営」があります。

企業が健康経営を取り組むことによって、インセンティブやプラスになることも増えています。例えば、自治体が行う公共工事の入札審査で加点になることや、銀行や自治体から提供される融資や保証料についても優遇される制度が増えつつあります。

では、なぜ今、「健康経営」なのか?という点について考えてみたいと思います。

と、その前に「健康経営」とはそもそも何でしょうか。それは、「人という資源を最大限に活かし、持続的に成長していく経営」ということです。その根底にあるのは、経営において最も大切なものは「人」であり、「人」が財産で宝である、という考え方です。「人」は取り替え可能な歯車や部品ではなく、かけがえのない存在なのです。ここを出発点にして経営していこうと考えているのが「健康経営」なのです。

人の力を最大限に活かすための3つの要素

「人を活かす」ことに対しての取り組みは様々ありますが、何が健康経営の取り組みとなるのかを整理しておきたいと思います。ただ、すっきりき綺麗に分けられるものではないこともご理解ください。

人の力を最大限に活かすためには3つの要素がいります。
一つ目は、「働きがい」。仕事を通じてやりがいを感じることです。働きがいは、その人の強みの活用や成長、居場所感やつながりを感じることにより増していきます。昨今ではこの働きがいを増やすための指標として「エンゲージメント」も注目されてきています。エンゲージメントは「人(従業員)と会社とのつながりの深さ」と言え、事業のパフォーマンスや離職率などと相関があります。

二つ目は、「働きやすさ」です。仕事をしていくうえでの環境や制度に関することで、昨今では、「ワークライフバランス」や「働き方改革」も主にこの働きやすさの向上に資する取り組みです。

最後の三つ目が「心身コンディション」。これは文字通り、心と身体の健康のことです。疲労やストレス、様々な不安がこれに当たります。

この3つの要素がバランスよくあることによって、その人の個性や能力が発揮されることにつながります。その点で「健康経営」はこの3つの土台である「心身コンディション」に注目した取り組みといえるでしょう。

マイナス状態の「プレゼンティズム」と「アブセンティズム」

「心身コンディション」と一口に言っても、人によって、また日によっても様々です。

このコンディションの中で、普段の状態を±0として、マイナスにふれている状態が2つあります。「プレゼンティズム」と「アブセンティズム」です。この2つを簡単に分けるとするなら、会社に出勤できる心身の状態か、否か、です。

「プレゼンティズム」とは、出勤しているにも関わらず、心身の健康上の問題が作用して、パフォーマンスが上がらない状態のことです。例えば、鼻づまりで頭がボーッとして仕事に集中できない、二日酔い、寝不足、頭痛などです。出勤はできるのですが、本来のパフォーマンスは発揮できていない状態です。

一方、「アブセンティズム」とは、心身の体調不良が原因による遅刻や早退、就労が困難な欠勤、休職など、業務自体が行えない状態です。ここまでいくと回復にも時間がかかることが多く、本人も辛いですし、企業としても痛手になります。

健康経営の取り組みとしても大切なことは、まず一人ひとりの心身のコンディションを本人はもとより、企業側でもなるべく精密に把握し、予防や対策を打てるようにすることです。

経営の財産は「人」です。であるならば、その人のパフォーマンスを最大化することが経営上最も大切なことだと言えますし、「プレゼンティズム」と「アブセンティズム」のように、本来その人が持っている力がマイナスの状態にあることは、本当にもったいないことだとご理解いただけると思います。

だからこそ、「健康経営」はただのお題目ではなく、経営戦略の中に位置づける優先順位の高い取り組みなのです。


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