休み明けのパフォーマンステストの落とし穴

こんにちは。佐々木です。

東京のトレーニングジムでトレーニングを教えるS&Cコーチです。速く走る、高く跳ぶ、切り返しを速くするなどパフォーマンスを高めるためのトレーニングを教えるのが得意です。

さて、今回は「休み明けのパフォーマンステストの落とし穴」というテーマでお話しします。スポーツに関わっている方の参考になれば嬉しいです。

多くの人が何かを始めるときはだいたいテストをして今の実力を知ろうとしますよね?例えば、英語の1番最初の授業で単語テストをしてみんなの単語力を確かめるみたいに。

単語テストと体力テストの違いは、単語テストは「頭」を使っているけど、体力テストは「身体」を使っているということです。頭を使うテストは全力でやっても頭が疲れるだけだけど、身体を使うテストは全力でやると身体が壊れてしまうことがある。つまり体力テストは他のテストと違って怪我をするリスクがあります。

いきなり運動会で全力疾走して怪我をしちゃうお父さんがいるように、準備していないのにいきなり全力で運動するって結構危険なことなんです。

特に運動をしていない期間が長ければ長いほど注意しなくちゃいけません。

人間の身体は車にすごく似ていて、長い期間乗らないでいると動きにくくなります。例えば、いろんな部品についている潤滑オイルが流れ落ちてギヤが動きにくくなったり、エンジンがかかりにくくなったりします。そんな状態でいきなり全力で動かすと当然車は壊れます。

人間も同じで、普段運動をしていなかったり休んでいる期間が長い状態でいきなり全力で動いてしまうと怪我をするリスクが無茶苦茶高い。だからこそ休み明けに体力テストをやるのはオススメできないんです。

練習を始めるにあたってまず今の体力レベルを知りたい、という理由でテストを行いたい気持ちはわかります。だけれど、体力テストは他のテストとは違って頭ではなく身体を使っていて、怪我のリスクがあるからいきなりテストするのは危ないよってことを抑えておかなければいけません。

じゃあ今の体力レベルがわからないのにどうやってトレーニングを進めればいいの?という話になりますね。

これについては、現時点での体力レベル、この先試合までにどれくらい期間があるのか、どれくらいの頻度で練習できるのかなど、実際の状況を踏まえて考えなければならないから一言でいうのは結構難しいです。

ただ、休み明けに僕がプログラムを作る上で意識していることは「絶対にこの量なら問題なくこなせる」というトレーニングを考えること。

ここでいう問題なくこなせるというのは、このトレーニングをした後に「全然余裕です」とか「まだまだできます」といったような返事が選手から返ってくるという程度の強度に設定するということ。もちろんこれまでのトレーニングの数値などを参考にしてプログラムを組むのだけれど、そこは絶対に抑えるようにしています。

一言で言うと追い込み足りないくらいがちょうどいいということです。

トレーニングが終わった後は全然余裕と思っていても家に帰ると意外と疲れたな、ということは間々あるから全然余裕と思っていても意外とそうじゃないことも多いです。

また、特に休み明けは身体の準備ができていないけれど休んでいるからモチベーションは結構高いということがあります。

身体の準備ができていないけれど、もっとトレーニングしたいという気持ちが先行してしまう選手も多いです。ここでやりすぎてしまうと怪我に繋がるので、しっかりとコミュニケーションをとりながら進めることを大事にしています。

ちなみに長い間休んでいた後にトレーニングを再開する上で参考になる資料が、NSCAという団体から出ています。(詳しくはこちら)よかったら読んでみてください。

また、コロナの影響もあって、各競技団体から練習再開の時に参考となるガイドラインが出ています。ぜひこちらも調べてみてください。

練習再開のガイドラインは試合が終わって完全休養明けにも参考になる考え方がたくさん載っています。

今回、コロナによる休み明けの練習再開の資料などは、今後くるであろう休み明けの練習をどう組み立てるかの参考にもなると思っています。

休み明けにいきなり練習をしすぎて怪我をするという事例も耳にします。ガイドラインも参考にして不必要な怪我をする選手が減ることを祈っています。

今回のガイドラインを上手に生かして選手がより良い競技生活を送れるようみなさん一緒に頑張りましょう!

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