【人間汚い】世界をリセットしたいラスボスさんにお勧めする本１選【意識高い系エルフ】

久しぶりの更新なんだけど、単純にめんどくさかったのと、公開する必要性とは？って書くだけで満足して下書きに突っ込むってのを繰り返してた。俺はツイートとかもそういうのが多い。リア垢の下書きとか8割上司への愚痴。あいつらにはいつか一生心に残るダメージ負わせないと気が済まない。

年末は実家にいたんだけど、その時読んでた本が久しぶりに当たりだった。から読書感想文書きます。ちなみに、高校時代の夏休みの読書感想文は中学の友達と中学時代のそれをローテして流用していたくらい苦手です。

馳星周の『黄金旅程(エゴンウレア)』

去年あたりに『少年と犬』で直木取った人の受賞後一作目。自称犬好きで『少年と犬』は読んでないのはエアプだから、急いで読んでね。馳星周自体はサスペンスとかも有名だから知ってる人もいると思う。

中身を簡単にまとめると、馬産地の原点だけどあんま勝てない町にパワプロの天才型みたいな馬が誕生して、そいつが有馬勝つために町総出で応援する！みたいな感じ。2013年の日本シリーズ楽天制覇みたいな空気感とかをイメージしてもらえれば。

その馬の名前がタイトルのエゴンウレアなんだけど、競馬分かる人はステイゴールドみたいな感じと思ってほしい。天賦の筋肉を持っているのにも関わらず本気で走らないシルバーコレクター。

実際エゴンが重賞制覇したかどうかも面白いけど、あーそうかーって思ったのは、サラブレッドってのが人工物だってこと。

主人公の平野は馬に蹄鉄を打つ装蹄師の傍ら、引退した競走馬を引き取る養老牧場を一人で切り盛りしてる。親の仇のようにケツシバかれまくって、無限に走り込みをさせられた馬が誰にも文句言われずのんびり余生を過ごすための牧場。知らなかったんだけど他にも若馬用とか調教用とか輸送前の待機所とか牧場にも沢山あるみたい。

蹄鉄もｍｍ単位で調整して馬の筋肉とか歩く癖とかに合わせて4足すべてをハンマーで打ったりカンナみたいなので削ったりして整える。なんとなくそうなんかなとか思ってたけどやばくない？服も畳めない俺には想像もできないむずすぎるでしょ。ｍｍ単位の調整をミスるとケガして最悪安楽死。4足の内１本でもケガすると400キロの体重が支えられないから死を選ぶしかない。

悪天候とかもちろん地震とか、程度にもよるけど人間ならある程度は耐えられる自然も競走馬は耐えられない。野生ならともかく、競走馬は地震とか雷とかでパニックになって柵に頭ぶつけて死んじゃったりすることもあるみたい。

他にも食べ物、匂いとか色々あるけど、要は競走馬はビビるくらい繊細。んで、サラブレッドは野生でもなんでもなく人間の娯楽のためだけに生まれ、命を燃やしていく。競馬発祥の馬産地といっても町の経済面で競馬は欠かせないもの。そんな町で生まれ、馬のおかげで自分は暮らせる。しかし自分たちの暮らしのためにある生き物が苦しんだり亡くなったりもする。人間が「暇やしお馬さんを走らせて遊ぼう！w」とか大学生の飲みゲーみたいなこと思いつかなければ、苦しむ馬も、それを見て葛藤することもない。ガチの人間の娯楽に生き物の生き死にを付き合わせてるのってどうなのっていうのが、エゴンのレースの裏でいろんな角度、いろんな深さで問いかけられる話。

一頭の勝利のために多くの人が人生を懸ける。一頭養うだけで考えられないくらいの労力と金がかかる。結構関わる人みんなお金持ちみたいなイメージあったけど、牧場をはじめ、馬主も馬が勝つ前提で育成環境や種馬とか投資するから結構自転車操業。１レース勝てるかどうかで、来月食えるかどうか決まるようなもん。人の手で作られたサラブレッドは人の手がないと生きられないし、人も競馬がないとサラブレッドを養えない。

といっても暗い描写ばかりなわけではなくて、登場人物の深さが良くも悪くもリアルでご都合主義じゃないあたり読後感もすっきり。エゴンが走るパートは臨場感溢れる描写とテンポでアツいし、登場人物それぞれが色々な想いをエゴンの勝利に託しているのとかは感情移入出来る人も多いと思う。結構分厚いから読むのは時間がかかるけど、鬼滅〇刃無限顔射篇とかでヘリウム並みに軽い涙流すよりよっぽど有意義なので、ぜひ読んでほしい。

秋の田の〜とか死ぬ気で覚えた

実家から東京まで向かう新幹線の窓は大体田園風景。秋ごろの田んぼの一面黄色で稲に赤とんぼが止まってるのとか日本ならではの風景だけど、これって自然でもあるし人工物でもある。小岩井農場とかでかめの公園とか行ったとき、自然が豊かで気持ちいなあって絶対思う。

人間は自然を消費もすれば生産もする。けど、その動植物のどこまでがどの「自然」なんだろうねって。渋谷のごみを漁るネズミも頭を垂れる稲穂もある文脈では同じと言えるのかな？とか。ちなみに金魚も金持ちのステータスだけの為にフナをより珍しい形にジョグレス進化させまくったものらしい。すみだ水族館で彼女と一緒にお勉強した。

友達の家とかで日常的に犬と遊んでた経験はあるけど、ペットとして飼った経験がないから、正直生命倫理みたいな話に触れたことなくて新鮮だった。唯一、父親が子供のころ犬を飼ってたらしいんだけど、ある日遊びから帰ってきたら犬はいなくなってて、ばあちゃんがご近所さんが持ってきたカップラーメンと交換したらしい。俺の血統には悪魔の血が流れている。