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「日本人らしくない日本代表に」-羅針盤#4-2

✔ 「私」きっかけで,日本を好きになってもらえたら.
✔ 日本人らしくない「日本代表」で,日本の多様な側面を知ってもらいたい.

※前回の記事はこちら

「私」を通して日本を好きになってもらいたい

———前回の記事のところで,4つ目標挙げてもらったんですけど,その目標,参加してどのくらい達成できたと思いますか?

トミー:うーん,いい意味で全く分かんなかったですね.日本を知ることについては,ディスカッションプログラムとかローカルプログラム(注)とかで特に痛感したんですけど,案の定答えられないことが多かったですね.勉強しようと思いました.
 東南アジアに関しては,外から見ているだけではわからないことを色々知れましたし,築いた人間関係も一生ものです.それでも,さらに深い関係にならないと,本音の部分とかは知れないなって思いました.例えばホームステイ.実際に現地に住んでる方のお家に数日泊まって,いろんな人と出会うんですけど,それも言ってしまえば事業の一部で,外交的な関係じゃないですか.表の顔というか. もっとディープなところは,たぶん気持ちの面でもドロドロしてるだろうし,ホームステイ中に連れて行ってくれるところももっと普通の観光地とかではない場所になると思うんですよね.そういうディープなところまで,お酒の力を使って知り合ってる人はいたんですけど,私はそこまでできなかった.もう一歩先までは踏み込めなかったのが,いい意味で反省に繋がりました.

———なるほど.日本を好きになってもらうことに関してはどうでしたか?

 特に各地でのホームステイですごい気を付けました.気を付けたというか,ホームステイではちゃんと日本を好きになってもらおうとずっと思ってました.さっき少し触れたんですけど,アメリカに住んでた時は,私は人から「日本」というレンズを通して見られてた.その経験があったからこそ,ステレオタイプの持つ力はすごいなってことがわかってて,だからそれを逆手に取るじゃないですけど,逆に「私」というレンズを通して日本を好きになってもらえたらって思って,積極的に打ち解けてもらおうと努力しました.例えば英語をなるべく使わないで,簡単なものでも相手方の言語を使うとか.大体「おいしい」「暑い」「おなか一杯」「ありがとう」「きれい」「とても〜」あと挨拶ができれば,簡単な会話はできるんですよ.あとは,例えば「くすぐったい」とか,変なやつ1つ知ってると面白がってくれるので(笑)それを教えてもらって,それを連発しながら会話をすると,向こうの人もかわいがってくれて心を開いてくれますね.

———それすごいいい作戦ですね.

 あとは「何が来てもオッケー!」っていう態度を取ることですね.コオロギ食べようって言われても「オッケー!」だし,私辛い物苦手なんですけど,これ辛いけどおいしいよって言われたら「オッケー!」みたいな(笑)そうやってイエスマンになることによって,「期間限定だけど,この子は私たちの文化を知ろうとしている,私の国を理解しようとしている」って思ってもらえば,心を開いてもらって、私を気に入ってもらえて,間接的に日本を好きになってもらえるんじゃないかな,って思ってました.

———うわー,その姿勢すごいいいですね.やっぱり,何か国について知る時って,一番大きい動機というか要因って「その国の人」だったりするじゃないですか.自分も大学にいろんな国から来た留学生がたくさんいて,彼らと話す機会も多いんですが,「お前どこだよそれ!(笑)」みたいな国から来てる人って正直いるんですよ.なんでわざわざ日本に?みたいな.けどそういう人と話してはじめて,ちょっとその国のことについて調べてみるとか,その人にその国のこと聞いてみるとかするんですよね.

 そうそうそう!やっぱ人はきっかけですよね.あとはその人から喚起されるイメージも大きいですよね.「なんか日本からハッピーな子が来たな」って思ってもらえばいいなと思ってました(笑)そうすれば、「こういう子がいる日本ってハッピーな国なのかな」っていう風にいいイメージを持ってもらえるというか.それが果たして正しいかはわからないですけど(笑)

———さっきの「ステレオタイプを逆手に取る」,みたいな感じですかね.

 だから,日本代表青年44期は「日本人らしくない集団」になりたいと思ったんですよね.例えば44期の日本人全員が「丁寧で,親切で,つつましい」みたいな感じだったらいわゆるザ・日本人で,「やっぱり日本人らしさはそういうものなのか」と思われるじゃないですか.でも日本人って当たり前ですけどいろんな人がいて,そのいろんな日本人を代表するわけですから,いろんな色や側面を持った日本代表にしたかったんです.一人ひとりの個性から,日本の多様なイメージを持ってもらうというか.まあ実際参加してみると、私たちは逆にキャラが濃すぎるくらいで全くその心配はいらなかったですけどね(笑)その意味で「日本人らしくない」集団でいたかったですね.

———そういうステレオタイプって,持ってしまう側の人間の問題なんですかね.それとも,人間の脳構造的にしょうがないんですかね.

 人間って簡略化したがるじゃないですか.いろんな情報がある中で,それをわかりやすくするために.

———一般化しがちですもんね.

 そうそうそう,だからやっぱりステレオタイプってできちゃうんじゃないかな.別に悪い意味ではなくて,カテゴライズしないと頭の整理が追い付かないというか.

———確かに.一億通りの日本人がいます,なんて言われても知る気失せますもんね(笑)

 そうそう(笑)だから共通項さがして,それがステレオタイプになってしまう.けどステレオタイプってあながち間違いでもないですよね.それはそれで一理あって,多分共通項ではあるんですけど,そこに当てはまらない人もいる.だから過度な一般化は危険なんですよね.

注)ローカルプログラム
 日本国内で行われるプログラム.東南アジア青年の船は,日本から始まる.まず東南アジア10カ国の青年が空路で来日し,都内での参集式を終えた後,11グループに分かれて日本国内の地方を訪れる.これをローカルプログラムと呼んでいる.行先はグループによって異なる.第44回は,宮城県・群馬県・栃木県・新潟県・福井県・長野県・三重県・大阪府・徳島県・長崎県・北九州市の1府9県1市.これら11か所の行先も,年によって変わる.

>次回,#4-3「「魅力的な人」を学んだ52日間」に続きます! 

(編集後記~ざーたくの戯言#4-2~)
 トミーがホームステイで心がけていた「イエスマン」の姿勢,とても重要でよいことだと思われますが,これが実際かなり難しいです.特にストリートフードは気を付けるようにとしょっちゅう言われてるので,実際に勧められたときかなりの心理的なハードルが伴います.中には断り通したという方も散見されました.ざーたくはというと,トミーほどまではいかなくてもストリートフードとかは勧められたらガンガン食べてました(笑)「あー,しばらくは下痢との闘いかなあ」なんて思いながら(実際大丈夫でしたが).ですが,現地の食べ物に対して「とりあえず挑戦してみる」と,現地の方は「自分たちの文化を受け入れてくれてる」と思うので,自然と心理的な距離が縮まるように感じます.もしホームステイなどで現地の方々と触れ合う機会があれば,自身の体調と相談しつつ「イエスマン」になることをお勧めします.

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※東南アジア青年の船に関する詳細は,こちら内閣府のウェブサイトをチェック!
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※本note,及び「羅針盤」ウェブサイトに掲載されている内容の一切は,「東南アジア青年の船」事業主催である内閣府の公式見解ではありません.