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DEATH STRANDINGレビュー 善意の賞賛とつながることから生まれるポジティブさ

待ちに待ったDEATH STRANDINGが発売され、一気にプレイしてエンディングを迎えた。ストーリーのネタバレをしないように、あくまでゲームそのものに対しての感想をつらつらと書いて行こうと思います。

ほどよくつながりが表現され、それを実感できる、ゲーム体験としては良ゲー

DEATH STRANDING(以下DS)は「つながり」を強く意識したゲームになっている。ストーリーとしても、ゲーム性としても人と人のつながりや、ネットワークでつながるということや、物流網で繋がるということなど、様々なところでつながりを実感できる作りになっている。敵だって臍帯でビーチとつながっているし、プレイヤーはそれを断つことだってできる。

ネットワークプレイになると、別の世界線のサム(つまりは別のオンラインプレイヤー)がプレイした軌跡が自身のフィールドに登場する。プレイヤー直接的に登場はしないがその軌跡によって間接的に助けられ「わー、まじでここに橋建ててくれた人ありがとう」とか「メッセージ看板作ってくれてほんと助かる」というありがたみの実感が起きる。そして建てた側には誰かがその橋を通ったりすると「XXが橋を使いました」と出てきて、建てた本人は「あー、どっかの誰かの役にたってるんだなあ」と実感できる。

その建物やメッセージが、自分のためであれ、他人のためであれ、何かしらで助かっていく世界が構築されていて、見えない誰かの仕事で世の中は快適になっていくんだなー、ありがたいわーとなんだか感慨深いものになる

そして誰かのやったこと(建物建設やメッセージなど)にたいして「いいね」を送ることができるんだけど、SNSのいいねとちょっと味が違う。

「あなたの行動によって助かったよ!」というような、善意の賞賛に近いものが多いである点だとおもう。

善意の称賛のやり取りから生まれるポジティブな世界観

このゲームにはお金の概念はない。

荷物を頼まれて運んでも「いいね」がもらえるだけであり「いいね」が大きく自分の役に立つわけでもない。

あくまで「称賛し合う」「助け合う」ことを大前提に世界が作られていて、荷物を運んだ人からメールで「おかげでこんなふうに助かったよ!本当にありがとう!」というのが送られてきてほんわかした気持ちになったり、頑張ろうという気持ちが起きる。

DSの中の人たちは荷物が届られ、ネットワークにつながることで、主人公に強く感謝し、未来に希望を感じ、とてもポジティブになっていく。つながることで人は大きいことができ、寂しさが減り、希望を抱き、前に進むことができるというような製作者からのメッセージが実感できるようになる。

ゲームそのものとしては結構平凡になる

しかし、ゲームとしては基本お使いゲー。

頼まれた荷物を困難を乗り越えながら指定された場所まで届けるというのが任務だ。

新しい、険しい気候条件などに任務を依頼されると「お、次はどんなところだ?」とワクワクした気持ちになるが、障害は基本的にはBTと呼ばれるオバケや、ミュールと呼ばれる野盗のようなもの、地形の3種類で、乗り越え方が分かってしまうと最初にあったハラハラ感は中盤には薄れ「なんかだるくなってきたなー」と感じてしまう。

基本の部分が飽きてきてしまうが故に、重要なのは先にも書いた「つながり」に対しておもしろみをかんじられるかどうかがおおきくかかわってくるとおもう。

ほかの人の役に立つことや、後の効率を考えられるかが楽しいかどうかキモ

飽きてくると、ほかの楽しみを見出さないと正直しんどくなってくる。

僕は途中から「どうせまたこの場所に行くことになるんだ。同じ険しい道を歩くことになるくらいだったら効率的に次行けるように準備をしながら進もう」と考えて、必要以上の機材を持ち、「帰りが楽なように」とか「また来るとき楽なように」というふうに様々な建築を立てながら進むことにした。

そうすると帰りがびっくりするほど楽になったり、「これ作ってればきっとほかの人も楽になるだろうなー」とひっそりと役に立つことを夢見ながら楽しむことができる。

中盤にこうなることを予期されていたのかどうかわからないが、飽きてくるとこういうプレイがどんどん楽しくなっていく。不思議。

残念だった点は、イマイチ盛り上がりに欠けるところ

ゲーム体験としては今までにない何かを得たような気がする。しかし、もっとBTを脅威的に思いたかったし、運ぶ以外のミッションもやりたかったし、どこかメタルギア的要素を期待していたのでステルス要素ももうちょっと欲しかった。

ストーリーも小島秀夫ゲームによくある「本来の目的を達成してからが本番」なのは変わらず、最終的に「世界は今こうで、こういう風にして行きたいよね」というのを伝えられる。

ボスも意外と簡単に倒せてしまうし、だからと言ってハードでやりたいかと言われれば「うーん、なんだかめんどくさい」と考えてしまう。ゲームのバランスって難しいね。

個人的には良ゲー、きっとつながりを楽しめない人にはつまらないゲームになってしまうのかもなって思う。

上記が最終的な感想。

ゲームの楽しさを求めて入ると、おそらく飽きてしまう。

僕が考えるこのゲームの本質は、つながりとその助け合いとその賞賛の交換。それを楽しめない場合は、おそらく「なんだこのお使いゲー。クソゲーじゃん」と思ってしまうと思う。

僕個人としては「コンソールで善意に包まれたソーシャルネットワークゲームが出てきた」という実感だったので、そっちに意識が行けて楽しめたのかもしれない。

何にせよ、今までになかったカテゴリのものだなって思うので、評価が分かれるのはそういうことかなーと感じました。

恐らくここから更に進化した小島秀夫作品が再び開発されるのでしょうし、これからの小島プロダクション作品も楽しみにしてます!

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