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研究会まとめ 2020-11-09 渡辺ー片上の研究

今回は実際のプロの対局をもとにした指定局面戦です。下図が指定局面です(2020-11-19 渡辺ー片上戦、36手目)。実際の対局では▲3五歩から先手が仕掛けていき複雑な攻防の末、後手勝ち。

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研究会では55手目▲3四歩を別の手に変えた将棋が三局、もっと前の局面で分岐した将棋が一局になりました。まずは前者から見ていきたいと思います。

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上が渡辺名人が55手目▲3四歩と指した局面。AIにかけると▲3四歩も含め優秀な候補手が多くある局面なのでここに目をつけた人が多かったのも納得できます。

①4三歩、4四歩(55手目)
展開が似ている将棋が二局あったのでまとめて書こうと思います。以下56手目から△同飛▲7七角△4七飛成と進みました。(下図)
後手からは△6九銀、△5九角成や端攻めなど狙いが多く、先手は受けを一手間違えると穴熊が一気に崩壊しかねない局面です。
評価値的にはほぼ互角ですが、アマチュア同士の対局なら後手が指しやすいのではないでしょうか。

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②▲7七角(55手目)
▲4三歩、4四歩に比べると評価値的には後手有利。しかし、後手がまとめづらい局面。以下、△4五桂▲4一龍△4四歩が研究会で話題になった手順。先手は角が成りづらい代わりに龍の効きが一段目に通ってくる。
①の将棋は後手が一方的に攻める展開だったが、今回は攻め合いの展開となる。

③最後の一局
最後にこれまでの将棋とは全く違う流れになった棋譜を紹介。
基本図からお互い仕掛けることなく様子を見ながらの駆け引きが続き50手目9二香(下図)。この局面から端攻めを見せるアクロバティックな構想。端攻めが見えるだけに先手としては焦る展開。

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これをうけて先手も51手目▲3八飛から猛攻を開始。ここから3筋を巡る攻防が続く。その後、67手目▲3三飛成で先手の攻めが成功。

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ここから先手が一方的に攻める展開でそのまま押し切った。後手としては3筋を手抜いてもっと早く△9一飛と回った方が良かったかもしれない。
一枚目の図の時点では評価値は互角だったので後手にも十分勝機があった局面だと思う。


【結論】
プロの実戦では、四間飛車を指した片上先生の勝利となりましたが、駒がぶつかってからの中盤戦では有力な手が多いため、研究しがいのあるテーマでした。

また、分岐が多く、緩い手を指してしまわないように、実際に対局で指す前には十分に研究したいと思います。

【棋譜】



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