見出し画像

恋とか愛とか

恋とか愛とかに生きてるわけじゃないけれど。

有休を取って大学時代の銀行口座を解約し、恋人に別れを告げた。
ぼーっと温泉に入って、たらたら運転して帰ってきた。
そんなあの日が遠い昔のよう。

結局いてもいなくても変わらない存在になっていたのかもしれない。

会って話せば楽しかったし、別れは切り出しづらかったし、泣いてしまった。
だけどそれも一時的。

私が別れようって言わなければまだ続いていたのだろうかなんて思うけれど、まぁどのみち無理だったなと冷静になるのが早い。

借りていたビデオデッキのリモコンには新しい電池を付属しておいた。
あけおめも送らなかった来なかったLINE。私の誕生日にメッセージを送るか迷わないように、誕生日前にお別れした私はやさしいでしょ。

一緒に飲もうと買った日本酒、あなたが勝手に買ってきた卵焼き器とお皿、スリッパ。
私には捨てられないから、全部そっと押し付けてさようなら。

きっともう会うことはない。
後輩に話を聞いてもらいながら、あなたにも話せる人がいればいいなと言う私はやさしいでしょ。
あなたの不満も悪口も言わない私はやさしいでしょ。

ありがとう楽しかった、とだけ。
最後に何も不満も悪口も言わなかった私はやさしいでしょ。

そんなわたしだから、きっと幸せになるよ。
そんなこというわたしは、やさしくないよ。

恋とか愛とかに生きてるわけじゃないけれど、
ひとつ生きる理由が無くなったなと思う。

死んでも迷惑をかける人がひとりいなくなった。
親兄弟は仕方ない、仕事も仕方ない。

でも、例えば今死んだら、恋人に連絡がいくことはあるだろうか、
このビデオデッキは恋人にきちんと返されるだろうか。
そんなことばかり気にしていた。

往路、会う約束をしているからまだここで事故るにはいかない、
ここで事故ると連絡が行かず待ちぼうけをくらわせてしまうかもしれない。後部座席のビデオデッキを返さなければいけない。
だから事故るわけにはいかない、そんな気持ちだった。

すべてを終え、復路。
もうやらなきゃいけないことは終わった、もうここで終わっても大丈夫、そんな気持ち。

そんな話をしたら、よく無事に帰って来てくれたね、そう後輩が言ってくれたこと、嬉しかった

自分の家に帰ってきて、今自分の住んでいる街を歩いて、私が住む街はここだと実感する瞬間は好き。

その前の週の私の唐突なカミングアウト、アポを取る背中を押してくれたこと、
帰ってきてたくさん話を聞いてくれたこと、後輩には感謝している。

いろいろ思うことがあって書こうとしたけど、筋が何本かあるからまとまらない。
気が向いたらそれぞれでまた書けばいいかということでとっ散らかしておく。

恋とか愛とかに生きてるわけじゃないけれど、
ひとりはさみしい。
ひとりで生きていきたいけれど、このさき何十年もひとりで耐えられる自信はない。

最後まで不満も悪口も言わなかったあなたは、相変わらずやさしいよ。
幸せに生きてね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?