V界隈の過去にした予想と現在を比較した答え合わせ~2018年予想との比較~


はじめに

2018年初頭、まだバーチャルyoutuber(vtuber)という単語が出てきて間もない頃、何かの折に以下のようなアイデアを思いつきました。

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 思いついたきっかけはvtuberへの敷居が低くなることで参入者の幅が広がり、様々なジャンルでvtuberが台頭してほしいという考えからでした。同時にもしvtuberへの敷居を下げるツールやアプリを開発する会社があれば、それらの業界が競い合って発展し、やがてはvtuberといえばこのアプリでしょうといったプラットフォームになるかもしれないと予想しました。

しかしこの予想はある意味当たり、ある意味では外れています

2020年末における現状との比較

 2020年末現在において、まず特筆すべきはvtuberの参入者でしょうか。これに関しては2018年の比にならないほどの人数が参入してきており、企業勢、個人勢それぞれが台頭してきたと思います。また、2D主体の生配信が増えたことでしょうか。2018年のvtuberといえば3Dでの動画メインだったと思います。これだとスタジオや設備や技術等のハードルが高いため、高頻度の生配信はまずできないと考えられます。また個人勢に関しては3Dキャプチャに関して更に高いハードルがあると思います。2Dメインであればスマホかwebカメラの表情キャプチャさえできれば良いのでコスト的にも3Dに比べて安価なため、普及につながったと考えます。2D生配信の文化が根付いたことで、個人勢も比較的気軽に配信ができる環境が整ったのが大きなところでしょうか。これにより、普段は2Dで生配信を行い、ライブイベントなど大規模なイベントには3Dを使うような運用方法ができるようになったのも大きな変化でしょうか。

次に、予想のうち当たっていた部分と外れていた部分についてまとめます。

当たっていた予想

 当たっていた予想、それはvtuber人口が増えたことやvtuberになるためのアプリを開発する会社が現れたことです。そしてその理由が2D配信といった参入コストや敷居を下げる技術が発達したことに起因するのであれば、ここに至る予想はあっていたなと思います。

外れていた予想

 外れていた予想に関してですが、「vtuberといえばこのアプリ」といったものや、「会社Aと会社Bのツールでしのぎを削っている」様子は表面には出てきていない印象です。ここは調査不足かもしれません。目で見える技術競争ではなくvtuberのチャネル登録者数や人気度の上昇の裏に技術の発達があるのかもしれません。また例外はどこにでもあり、それこそが今後を見るうえでのカギかもしれません。それらについて「予想さえしなかったこと」という項目にまとめようと思います。

予想さえしなかったこと

 予想できなかったことして、技術とvtuber事務所のような事業が一緒に発達したことでした。会社名は挙げませんが、とある会社は最初vtuberに気軽になれるようする向けアプリを開発していましたが、やがてそのアプリを使った配信者をまとめたvtuberの事務所を立ち上げるに至りました。

 この動向を読めなかった要因としては、私自身が技術屋である背景から、技術の発展とマネジメントの発展はあくまでも平行に、そして別々に進んでいくものだと勝手に思っていたのがその背景です。ただ、考えてみればこれらをまとめて一つの会社でやっていた方が、vtuber側からの意見を直接的に技術要素として反映できる方が都合がよい上に独自技術として発展できるので、これができる会社に関してはこの路線になると思います。すると、vtuberの配信やライブはいわば技術展示会の側面を兼ねるものかもしれません。

今後の予想

 2018年の予想を振り返り、2020年との比較をまとめてきましたがそこでしなくてはならないと思ったのが今後の予想です。vtuberが発展して数々のいい例や悪い例が散見されてきたのも記憶に新しいかもしれません。予想は複数あるので、一つずつ紹介します

予想1~技術的な部分~

 まずは技術的な部分です。これに関しては現行の2D主体を継続しつつも、より表情豊かになったり、身振り手振りが反映されるところがあるかもしれません。表情に関しては推定技術が進んで、スキャンした実際の表情に近い表情をLive2Dモデルを基にAIが推定して、自動生成されるのではと思います。身振り手振りに関しても同様です。

 更に自宅で3D配信するvtuberも増えるかもしれません。設備的にはモーションキャプチャーが必要ですがKinectのようなデバイスを使うことでそれらを達成できると思います。マイクや部屋の広さが課題でしょうか。

 後は昔あった脳波ネコミミのようなデバイスを用いてアバターに反映するなどは需要があるか不明ですがあるかもしれません。脳波などはバーチャル技術全体として、新たなコミュニケーションツールとして今後の発展があればよいと思います。

予想2~vtuberのブランドや事務所に関する部分~

 恐らく今後も企業勢や事務所単位、要はマルチプレイで組織だって行動する動きがますます加速すると思っています。一方で個人勢に関しては読めないところがありますが、恐らくリスナーの有限な時間を組織だって運営されているvtuberのコンテンツを見る時間に埋め尽くされていくため難しくなってくるのかと思っています。

 また、組織だった行動においてカギとなるのは「全体感を持っているvtuber」の存在ではないかと思っています。とりわけ個の部分が重要なこの分野ですが、組織だった行動をしていくときにはこの「全体感」が大事だったりします。全体感とは「この組織全体のために自分はどう動けば良いのか」を見極める感覚だとここでは定義します。この感覚は恐らく個の世界に生きた場合、身につけることは非常に難しいのかと思います。例えば、自分の生配信の中で他の同組織所属のライバーの配信について紹介や宣伝をするライバーはどのくらいいるでしょうか?そういった観点で見ると、また違った側面が見えてくると思います。誰かがその行動を起こすことで、それは組織内に伝播して、全体的にそういった流れが作れるのかもしれません。逆にそういった動きが無い場合、組織内でもパイの奪い合いになり最終的には全体的に衰退するかもしれません。

 この全体感を持っているvtuberを要する組織が今後も伸び続けると考えます。

予想3~企業の方向性~

 企業に関してはさまざまですが、要は「何をリソース(資源)とするか」を差別化していくと考えられます。現状はもとより動画配信者だった人にバーチャルというツールと技術サポートを行うことで個性をより発揮してもらいファンを増やし、企業としても利益を上げるような流れになっているかと思います。こういう言い方をして良いのかは不明ですがこれらの企業は、動画配信者のスキルをリソースとして利益をあげていくスタイルとなります。これはちなみにどの企業も雇っている人の技術なり才能なり時間なりをリソースとしているのは共通です。

 今後はどの部分をリソースとしてvtuberのプロデュースを行うのかがより多様化すると思われ、例えば演技力や声の質など声優的な側面やそれとはまったく別の分野の資質をリソースとするところも出てくるかもしれません。なお、グローバル化については言わずもがなであるため触れません。

予想4~出てくる課題など~

 これに関してはいろいろな分野で挙げればキリが無いと思っています。ただ、一つ確信していることとしては起きうる問題はすべからく「人と人」の関係から発生することで、技術的なことが原因の問題に関しては比較的少ないのかと感じています。私がいつも意識している教えの中に「技術がどれだけ進んでも最後は人と人」というものがあります。これはvtuberに関しても的確に言い表していると思いました。結局バーチャルは人と人をつなぐツールでしかなく、それを使う個々人の発言によって起きる問題まではカバーできないところにその本質が見えていると思います。

 例のアプリ作ってその後vtuberの事務所を作った会社の社長のコメントなども読んでみて感じたのは、ツールによって容姿、性別、年齢などの要素を取り払うことでいわば「その人の魂としての本質」みたいなところで勝負する環境を作ることができるということでした。その人の本質が出てくるので、むしろ対面のコミュニケーションよりも難しいところが出てくるとも予測しています。

最後に

 色々まとめてきましたが、やはり予想は難しいところなのが正直なところです。理由としては、予測に必要な情報や要因が多岐に渡り過ぎるということが大きいですが、一つ言えることは今見えているものは少なくとも「誰かが思い描いた数年前のビジョンが皆の需要と一致した」結果かもしれないことです。

また、結果が分かったなと思った頃に答え合わせしてみようと思います

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