大切の仕方


子供の頃から俺はいつもそうだ
もらった飴や自分で買った飴すら
大切に食べれずに
途中で粉々に噛み砕く癖が抜けなくて
今になって思えば
この頃から何事も最後まで大切には
出来た事がなかったのかもしれない

今だってそうだ
君が俺のせいで傷ついて泣いてるのに
どう言葉をかけたら
どう行動したら
いいのか正解がわからない

別に冷めてるわけじゃなくて
初めて大切にしたいと想えた
君だからなおさら
どうすべきかわからないんだ

大切な物も人も何も作る気がなかった
俺に唯一この人だけは
大切にしたい
守らせて欲しい
そう思わせてくれたのに
昔の俺の考えが今更になって
お互いを苦しめると思わなかった

昔に噛み砕いた飴の様に
君の心まで砕いてしまったのだろうか?
そう思った時に俺は初めて
自分の中途半端さに腹が立つと同時に
君の心の痛みを想像して
俺が君を傷つけたのに心が張り裂けそうに
痛んだ
自分の立場に置きかえたら
どれだけ辛い事なのか想像して
君の痛みが伝わったからだ

その時に俺は自然と泣きじゃくる君を
ぎゅっと抱きしめた
すると縋る様に君は俺に抱きついた
そして小さな声で君は言った
『捨てないで…愛してるの』と
華奢な君の身体は不安で俺の腕の中で
震えていた
それでも伝えてくれた君の姿に
俺は初めてを理由に
君をわかりきれてない事を
自分の落ち度ではないと言い訳して
逃げていた事に気づく

そして今度は君をそっと抱きしめて
『愛してる…不安にさせてごめん』
と今度こそ間違わない様に君に伝える

すると君は泣いて目元が赤くなってるのに
さらに泣きだした
一瞬あわてる俺に君はやっと笑顔になり
ほっとすると君は俺に
『初めてハッキリと言葉で言ってくれたね』
と言った
そう言った君はまだ涙を流していたけど
表情はとても嬉しそうで今まで見た
どの表情よりも綺麗だった

流れている涙を君の目元から指で拭って
そっと赤くなっている目元に口づけ
『もう泣かせないから大切に守らせて』
と俺は決意を初めて君に言葉で伝える

君は一瞬だけ驚いた後に花が咲いたように
綺麗に微笑んだ
『貴方からその言葉を貰えて幸せだわ』
今度は君からぎゅっと俺を抱きしめて
『でも私にも貴方を大切に守らせてね』
そう言われていつの間にか心の痛みが
連鎖したせいか俺まで涙を流していた
事に気づいて照れ臭くて
急いで俺が涙を拭っていると
君はクスクスと笑った
でも不思議と怒りはわかずに
無邪気に笑う君が愛らしくて
一生たぶん俺は君に敵わないな…
と悔しさなく幸せだが思ってしまった

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