美しいハンドアックス

人類史上、最も長く使用された道具は、何だろう。
なんと、160万年も使われた道具がある。

道具の分布は、ほぼ世界中に満遍なくある。
もちろん、日本列島でも発見されている。
それがハンドアックス。

さらに、スゴイのは、
その美しさだという。
大きいものでは長さが40cm、3kg以上ある。

体重150kgのゴリラ、その握力は約500Kgと推定されている。
チンパンジーでも握力は250kgはあるようだ。

400万年前に草深いサバンナで生きるヒトの祖先は、
オスで最大70kg、身長は150cmくらい。
性差は大きく、メスはオスよりもかなり小さい。
オスの数匹がリーダーとなり、約50人程度の集団で暮らす。

その主食は、骨である。骨は果実よりも栄養が豊富。
その後、ホモ・エレクトスとして世界中に広がっていった。

サバンナには無数の草食動物がいて、
捕食動物も無数にいる。
ホモ・エレクトスは、ホモ・サピエンスよりも身長は低いが、腕力は強い。
手が発達して、歯も骨を砕ける。

頑丈な手を使い、石を武器にして草原で暮らしていた。
ホモ・エレクトスの武器は、ハンドアックスである。
アメリカを除く世界に広く見つかっている。
大きさは40cmから10cmの石の武器である。
人類史上最も長い間、製作された道具で、
その期間は約160万年。日本列島でも発見されている。
一見して美しさに圧倒される石器だという。
重いものは3kg以上になる。

これを武器にするホモ・エレクトスは、
身長は現代人と同じくらいだが、全身の骨格は一回り大きい。
現代の重量級の格闘技の達人と対等くらいの戦闘能力があったようだ。

ハンドアックスを使い、ライオンと対等に立ち向かえる体力があったようだ。
ケニアのホモ・エレクトスの化石から、ビタミンAの取り過ぎの証拠が残っている。
これは、捕食者である肉食獣の肝臓の食べ過ぎだという。
肉食獣を食べ過ぎるほど、強かったようだ。
まさに、サバンナの王者であったのが、人類の祖先。

その後、小型化して、骨をすりつぶして食べる能力をさらに発達した原人たちと、
大型化して脳が大きくなり、身体も一回り大きくなった原人、ホモ・エレクトスに分かれた。
それ以外に沢山の原人たちが生まれている。

ネコ科の動物は群れをつくらない。
しかし、ライオンは群れで暮らす。
何故、集団となるのか、獲物を捕獲したとき、他の捕食動物が集まってくる。
一番危険なのは、同じ種の動物。横取りを防ぐためには、集団が必要となる。
しかし、集団が大きいと、獲物を充分に分け与えられない。
だから、集団は大きくなれない。

ホモ・エレクトスもライオンと同様に、集団で暮らしていたようだ。

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?