愛とはなんだ その3

年取ると、若い頃に思いもつかなかったことに興味をもつ。
例えば、料理、これがおもしろい。
自分の好みの味で色々なものが食べられる。
そして、意外にも時間はかからない。
生活が格段に豊かになる感じ。

例えば、髪のカットも、
独りで簡単にできるようになる。
時間もかからない。
好みのスタイルができる。

私は、若い頃、活動と政治にしか興味がなかった。
世の中を変えようとする思い。

中年になり、学校の勉強にも関心を抱くようになった。
そして老年は、別の生き方。

愛も、年齢と共に、様々に変化する。
対象は同じでも、愛し方は変わっていく。

初恋は忘れがたい。
あのトキメキは得難い思い出。

しかし、相手の顔などの特徴は思い出せなくなっている。
その頃、自分が抱いた強い思いはいつまでも残っているが。

中学3年の頃のこと。
休み時間になると、渡り廊下に出て、彼女を探した。
ひと目みるだけで、その日は充実。
一学年下なので、校舎が違う。

何故、彼女を好きになったのか、理由は分からない。
過去体験の何かが関連しているのだろう。
理由は不明でも、一目惚れは強烈。

しかし、具体的なアプローチは全くしていない。
ラブレターくらい出しても良かったと思うけど。
その頃の私は、自分の思いだけで満たされていた。
彼女が同じ校舎の中にいるという事実だけで、
充分に満足していた。

初恋はそんなものだろう。
まだ、異性関係に入る前の、あこがれの段階。

その後、人生体験を重ねて、
異性関係を知っていくと、
愛がより具体的になっていく。

収入や子育ても愛に加わっていく。
愛が重層的で複雑になっていくのが普通の愛し方。

老齢になれば、セックスも不要となり、
プラトニックな関係に。

最後は精神性だけが残るのだろう。
愛は変わっていく。
人生と同様に。

つづく

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