意識のもとは皮膚感覚
人の意識は、どのようにして生まれるのか、その7。
意識が鮮明になるには、
脳の記憶情報が一定以上になるのが条件だろう。
過去の体験(感覚情報)が積み重なっていく。
感覚情報の中心は、皮膚からの情報。
生きものは、外界から身を守らないと生存できない。
表皮のバリアーが不可欠。
その役目は、皮膚が行う。
免疫機能や傷の修復機能など色々ある。
脊椎動物の表皮のバリアーが確立されたのは、
両性類、約3億年前という。
単細胞生物の細胞膜が進化して、
多細胞生物の表皮となっていく。
表皮は、周囲の環境の変化を感じ取るセンサーでもある。
最古の生きものは、水の酸性・アルカリ性の度合いや塩分濃度を感知。
その後、表皮は、圧力、温度、光などを感じるようになり、
神経網が複雑化、
情報が膨大となり、処理専門の器官として脳のような中枢が誕生した。
人の表皮には、音や光を感知する聴覚や視覚の能力があると言われている。
人の皮膚は、体毛やウロコがない。
むきだしで環境に向かう。
そのため環境の微小な刺激も感知可能になった。
他の生物に比べて、格段に大量の情報を収集できるようになった。
ヒトは体毛をいつ失ったのか、
遺伝子解析で、その時期が分かるという。
「皮膚感覚と人間のこころ」新潮選書によれば、
体毛を失えば、太陽光線から皮膚を守るために、
メラニン色素が不可欠となる。
黒い皮膚を生み出す遺伝子を調べると。
だいたい、120万年前らしい。
遺伝子解析というのは、すばらしいスキル。
ハダカになった人類が、
寒い環境に適応するために衣服をまとうようになった。
この時期も、遺伝子解析で分かるようだ。
シラミの研究による。
サルにつくシラミは一種類。
しかし、人のシラミは2種類。
頭と衣服につく。
衣服のシラミは、当然、人体から養分をもらう。
このシラミの遺伝子解析で、
頭ジラミとコロモジラミの別れた時期が特定できる。
10万7000年前だという。
まさにその後、人類はユーラシア大陸に拡散していった。
寒冷の環境に耐えるようになった。
つづく
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