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4年かけて実績STPでとらえたシリーズAはセカンドステージでしかなかったから結局これからDAY1スタート


はじめまして、株式会社Srush代表取締役樋口です。

先日、シリーズAの資金調達プレスリリースを発表致しました。日経新聞や日刊工業新聞にも取り上げて頂き、データ分析スタートアップとして本格的に市場参入するフェーズへと移行しました。

長ったらしいタイトルですが、本noteはPMFとかよくわからん中進んできて、もはやそんなもんないだろって斜に構えていたところ、あ、これPMFだ、ってなったお話しです。そこに至るまでたくさんの失敗を積み重ねましたので、その軌跡を赤裸々に語る失敗談noteです。

Srushとしては創業から丸4年かかり、ここまで来れまして、本当に色々あってハードシングスをハードシングスに感じない耐性までつきました。

この1年で起きたことをピックアップ

⚫︎Srush

  • 正社員が突然来なくなり退職(3名)

  • 離職率50%(社員番号13にして現在6名)

⚫︎プライベート

  • 佐野厄除け大師に行った帰りの自家用車運転中に樋口家(妻娘私)が居眠り運転していた乗用車に激突される

  • シリーズAファイナンス決まった翌日の歩行中に樋口が自転車に轢かれて転んで眼窩底骨折

突然来なくなった3名の理由は様々なのですが、一時はハートメモリがゼロになりました。完全に連絡取れない方が1名いるだけで、関係性は良好なのでいいのですが、人が辞めるって悲しいです。
私の交通事故と眼窩底骨折はどちらも被害者なので、辛いし痛い。

あまりにもあまりにもなので、調べてみるとSrushを創業してからずっと大殺界とやらだったようです。

  • Srush起業直後にコロナ禍緊急事態宣言

  • SaaSバブル全盛期にOEM+コンサルソリューションで全然評価されず

  • コンサル事業クローズしてSaaS事業にプロダクトピボットしたらSaaSバブルはじける

お世話になってる精神科の先生には、樋口さんが厄除け大使ですねとニヒルなジョークで笑われました。

ついてねーなーが口癖になり、ちょっとした事にも幸運を感じ、ラッキーと言う事も増えました。
人生の幸福度は喜怒哀楽の総量であると、誰かが言ってたので、これからが楽しみです。一周回ってスーパーポジティブ人間になってます。そんな中でも一緒にSrushを信じ、共にしてくれる関係者の方々は神様に思える時もあります。Srushを利用して下さってるお客様、山崎さんをはじめとするSrushの仲間、株主の皆様、本当に本当に有難う御座います。

4周年記念をお祝いしました。楽しかったー🛥️🍤

そんな話は置いといて本題であるシリーズAについて、私見を述べたいと思います。あくまで、私個人の意見で所属する組織とはなんら関係ない事をご了承ください。(なんら関係ないは無理あるか)

想定する読者

読んでSrushにご興味あれば是非連絡ください。色々話しましょう。

  • データ分析の事業に関わりたい未来の仲間

  • シード期の経営者の方々

  • Srushに興味ないけどシリーズAについて興味ある


それぞれの立場におけるシリーズAとは

大々的にシリーズAと公表させて頂いておりますが、そもそもシリーズAの定義ってあるようでないような感じなので、スタートアップにとって、私にとって、Srushにとっての3つの視点のシリーズAとはなんなのかを失敗談を交えつつ書きたいと思います。

立場としてはこんな感じですので共感頂ける方も多いんじゃないかと思います。

  • スタートアップ=未上場資本市場

  • 私にとって=シード期長い創業者

  • Srush=ピボット何回もしてるスタートアップ


スタートアップ=未上場資本市場にとってのシリーズA

これは、著名な方々の見解があるので、そちらを参考に。基本的に投資家の方の意見が当てはまってると思います。特にグロービスキャピタルのエムレさんのこちらのnoteを私は推します。

シリーズA=PMFは揺るがない事実かなと思います。これを読んだ上で私のPMFの理解は以下の通りです。

  • 明確なターゲットに対して再現性の高いセールスサイクルが回る

  • 収益化可能な熱狂的なユーザー群がいる

  • 原則カスタマイズ不要なスケール性を持ったプロダクトの展開

他方で、ここ数年見てるとPMFしてないスタートアップがシリーズAっていうケースもあるので、投資ラウンドとしての位置付けもあるかと思います。これは一定スタートアップへの投資が増えてる事に起因しますが、ファーストステージにいるのにセカンドステージのような事業展開をするとファーストステージの停滞期間が長期化します。ファーストステージとセカンドステージの違いは次の章で触れます。


私にとって=シード期長い創業者

私はSrushより前に1社COOとして会社を共同創業し、1年程度COOを務めていましたが、私が在籍している間にシリーズAに進む事はできませんでした。その後、Srushを立ち上げる事になり、シリーズAまで4年かかったので、直近の5-6年はシードステージをうろちょろしてた事になります。シードを5-6年やってるのは、RPGのファーストステージから抜け出せない感覚に似てます。ずっと同じような問題や敵と戦い続ける感じで会社としてはたいした成長は起きません。

じゃあ私=創業者にとってのシリーズAとはなにかというとこれは完全にPMFです。ただしスタートアップから見るPMFの定義が当てはまるかというと、創業者の感覚に落ちにくい所もあるので、バーニングニーズ、プロダクトないけど売れる、オーガニックの問い合わせがわんさか来るとか色々ある気がします。
スタートアップの定義に当てはめると出来てるかもと思いますが、私にとってはようやく捉えられたSTPがPMFだと考えてます。SrushのSTPは以下です。

セグメンテーション
ターゲティング
ポジショニング


戦略的にはもっと細かく色々ありますが、方向性的にはこんな感じで社員株主全員が納得してます。
ホリゾンタルSaaSゆえに、ターゲティングは最も解像度が上がりづらかったです。しかもこのSTPは実績が積み上がらないと見えないので、仮説STPと実績を行ったりきたりする事で、実績STPとなります。このいったりきたりがいわゆる、ファーストステージです。

そしてセカンドステージに進める指標=実績STPしてるかどうかを見極める指標としては、毎日同じセグメントのターゲットに対して同じポジショニングのプロダクト紹介をして刺さり、受注出来ているかどうかです。

ここで最も多いミスリードは熱狂的なユーザーです。毎日利用され費用を頂いていても解決手段によっては再現性がなく、全然PMFしてません。Srushには熱狂的ユーザーがいましたが、今の熱狂的ユーザーとはまるで違う気がしてます。Srushが勘違いした熱狂的ユーザーは次の章で触れたいと思います。

話を戻し、Srushの場合はBIツールとして市場はあるけど、それが日本においてはハマってない状況に対するイノベーションが提供価値です。
ゆえに、そのイノベーションがBIツールの市場にフィットするかが最も苦労した検証ポイントでした。

ここ半年間毎日同じターゲットに同じプロダクトプレゼンを行い、同じ課題で同じリアクションを貰い受注を積み上げてます。

  • BIツールじゃ解決できないんだよね〜

  • データを集めて集計する事が課題なんだよね〜

ある時、3日間連続で同じような業種で全く同じ悩みのお問い合わせが続き確信しました。
それからというもの、何百回と聞き、それらに対する解決策としてオールインワン型データ分析ツール、データ統一クラウドSrushを提供してきました。

これは完全に実績STP=PMFです。

業界や部署や職種や職位がまたがるスーパーウルトラホリゾンタルSaaSは特にこの仮説STPを何回も何回も何回も繰り返して検証することで実績STPとなります。Srushはこれに4年かかりました。

実際、昨年のプレシリーズAから1年程度は仮説STPと検証を繰り返しており、苦しい停滞期間でした。セカンドステージに進んだと勘違いし、中途半端に組織の戦い方に移行した事が最大の失敗でした。そのあたりは次の章に記載します。

そして、最も確度の高い仮説STPに辿り着き、検証を回せて実績STPとなったのがここ半年間のイメージです。


Srush=ピボット何回もしてるスタートアップ

Srushはセールステックとして創業し、PLG型のSaaSを開発していました。しかしながらローンチしてすぐに撤退し、コストと時間を大きく無駄にしました。詳細はこちら。

このnoteにあるように、ヒポット後の事業であるSalesRushBoardをローンチし、プレシリーズAを発表し、PMFしてると勘違いしてファーストステージから抜けてないにも関わらず、セカンドステージの戦い方に移行し始めます。

そこからさらにピボットし、データ統一クラウドSrushをローンチし、なんとか確度の高い仮説STPに辿り着き、PMFを達成しました。

今だからわかりますが、セカンドステージは戦う事がPMFではなくなり、組織との戦いに変わると実感してます。

ファーストステージは創業者や創業メンバーによる総合格闘技で乗り越えていきます。少数精鋭によるハードコミットメントでなければ、絶対辿りつきません。売る人創る人による仮説検証実績のサイクルをどれだけ高速に何回も回せるかでファーストステージの期間が決まります。

そしてセカンドステージに行くと、今度は誰でもこのSTPで実績を積み上げられるのかが問われます。

つまりシリーズAでやることは、再現性の完全証明です。

仮説STPが実績STPに変わり、PMFとして一定の証明を達成してる事にはなりますが、まだまだ完全証明には遠いです。
もちろん企業それぞれのKGI/KPIに依存しますが、BtoBとかであれば100社の有料契約とかがあると完全証明なんじゃないかと予想してます。

加えてそれだけの数を追うとなると少数精鋭では達成が難しくなるため、今度は創業者や創業メンバー以外でどれだけ実績を積めるかが鍵となります。つまりは実績STPの完全証明が行える組織を走りながら最短で構築していく必要があります。

SrushはPMFも達成してないプレシリーズAの段階で組織の戦い方に移行してしまいました。要は私がマーケセールスCSプロダクトの現場から離れて、採用に専念してしまった事です。これは反省すべき点もたくさんありますがPMFってスタートアップの最初の目標なので、夢バイアスがかかっちゃうんですよね。

夢バイアス=夢に見すぎてるので、自分の都合よい解釈にとらえる

ピボットを繰り返せば繰り返すほどそのハードルは乱高下するのでもう何が何だかわからなくなります。

なのでSrushは勘違いPMF沼にハマってしまいました。

勘違いPMF沼にハマるシグナル

  • 売れてるけど属性バラバラ

  • 単価高いけどかなりの人力工数かかってる

  • プロダクトのUIに関する長時間会議がある

一例ですし、Srushだからかもわかりませんが、

意地でも受注するという考えからSTPが定まりにくくセールスに再現性が生まれず。
売上は全てを癒すという考えからお客様の課題をプロダクトじゃなくて人が解決してしまう。
プロダクトのUIなんてまだどうでもいいのに議論していいもの創った気になってる。

という感じです。

これの危険なところは、売上と顧客があり、プロダクトが微妙に進化も遂げているところです。これらを熱狂的なユーザーと勘違いして、さらにこれに夢バイアスがかかり、勘違いPMF沼にずぶずぶとハマります。

仮説STPの種にはなったので、失敗は成功の種であると胸を張って言いたい気持ちはあるもののファーストステージが長くなった要因だと考えてます。

改めて夢バイアスがかかってない今は、過去のやってきた事は踏み台にしつつ、PMFは甘くないなと痛感させられます。

Srushの場合は、

  • 確度の高い仮説STPに属さない企業には無理に売らない

  • 売上はガクンと落ちるが、人力解決を撤退する意思決定を行う

  • プロダクトの全ての意思決定をCTOに集中してとにかく高速にリリース

このようにして実績STPが実現されました。

今書いてみると、当然でしょ、と思いますが当事者はなかなかそれが出来ないんですかね。

これらの意思決定によって、仮説STPへ向けた機能開発と検証がぐんぐん進みオールインワン型という他社にはない価値と実績STPが生まれました。

また、これによって熱狂的ユーザーの質が変わりました。

人を介さずプロダクトが価値提供することにより担保されるアクティブ率が熱狂的なユーザーです。

もちろんオンボーディングなどに人は介在してよいのですが、ずっと人がつきっきりみたいな状況は定例会前後の時のみアクティブ率があがるみたいな状況になります。

そして勘違いPMF沼を抜けた今、いかに人を採用出来るかのステージになった気がしてます。

もちろんファーストステージにおいても人は重要なのですが、ファーストステージにおける採用は再現性はありません。
これは説明するまでもなく、運命の出会いが作り出す組織です。

なので、ファーストステージに再現性ある採用が出来てると、停滞期間が絶対長くなります。事業がPMFしてない中で採用や教育に使う時間はないです。

私が犯した過ちです。

事業を最も幅広く見てる人がPMFしてないのに離れて採用専念って、今なら思います。

なので、ファーストステージからセカンドステージに移行するくらいのタイミングで採用責任者がいるのがベストと考えています。

そしてSrushは今年の2月に入社頂いた採用責任者の方を中心に組織への戦いに挑戦し、完全なる再現性の証明を目指しています。

セカンドステージDAY1スタート。


最後に。

結局シリーズAとはなんなのか。私にとってシリーズAは追い続けた夢であったと同時に頭を殴られる場所でもありました。

夢にまで見たシリーズAですが、たかがシリーズAでした。マーケットという大きな視点で見ればシリーズA到達によって成し遂げてる事なんてないし、成し遂げる事はこれからなんで成果として祝いつつも、うーん、という感じです。

格闘技で全国大会ベスト8の経験があるのですが、今思い出すと全国大会決まってからがめっちゃしんどかったし、こんだけやって優勝できねーのかよ、と嘆きました。

そんな感じで会社としてステージ変わった気はしますが、スタート地点に立っただけなので、なんだったらもっと加速しなきゃいけないし、しんどい思いもこれから先たくさんするだろうなと思ってます。

ぶっちゃけ、ゾッとします。笑

Srushは他のスタートアップと比較すると、貧しさや無限に働くとかとは無縁な企業カルチャーです。(このnoteは土日の夜中に書いてます)

今っぽいとかではなく、シードやシリーズAの創業者も家族や生活があり、全てを投げ打って事業に打ち込むとか無理なのが事実です。PMFしてようがしてなかろうがシードだろうが家族や生活は守るべきです。

やりたい事やってるんだからいいでしょとかたまに言われますが、

やりたい事やれてれば貧乏でも家族蔑ろでもいい訳ないやん。少なくとも他人じゃなくて自分が決める事やん。

個人の幸せが劣後する事は絶対に有り得ません。それでもスタートアップはやっていいんだと思います。

別に裕福まで求めませんが、激務貧乏の起業家だけでスタートアップ大国にはなりそうもない気がしますし、続かないんですよね。これは前職のCOO時代に痛感してます。

継続するのが本当に難しい事だと実感してます。

張り詰めた状況を続けるとなにかがキッカケでぷつっと緊張の糸がきれちゃいます。

こんな失敗をしながら成長を紡ぎ、真剣に真摯に至誠に市場と顧客に向き合い、自分の大切な時間も守っていくのがSrush流です。

これからも、長期戦と失敗を見越してSrushなりの戦い方で顧客と市場に向き合っていきたいと思ってます。

私のような決して優秀ではない起業家も市場の課題を解決し、社会貢献出来ます。

と、色々偉そうに語ってしまいましたが、我々はまだまだで、結局のところこれからなので、

めっちゃ働きます。

面接では、候補者の皆さんが引くくらいいつも念を押してます。

言ってる事矛盾だらけですが、スタートアップなんてそんなもんですよね。

Srushはめっちゃ働きますが、強制されて働いてる方はいません。

働き方も休み方も個人の裁量に任せてます。なので、修行僧の様に働く方もいれば、時間あたり生産量を限界値まで極める方もいます。

それは個人のやりたい事とSrushで実現する未来が一致している事が大前提となります。

私はいつも面接で夢はなんですか?とお聞きします。人の夢を聞くのが好きです、それがSrushを踏み台に実現されるなら最高です。


最後に、、Srushは全然まだまだでこれからもハードコミットメントが必要です。

正直しんどいです。だから、それを楽しいと思える環境は最大限提供する事に努めます。

それでもご興味ある方はこちらをご覧ください↓
超素敵なSrush大好き人事の古谷さんに会えます。

セカンドステージのDAY1を一緒にやりましょう。そして、まだよくわからないサードステージに一緒にいきましょう。キャリアのハイライトをSrushで一緒に創りましょう。退職が続いた事もあり、古参メンバーがいない組織です。

Srushを第二の名字にしましょう。

最近入社頂いた方はサードステージにSrushを導いてくれる気がします。そんな方と一緒に働けて幸せだなと日々思ってます。

プレス用写真のオフショット

以上、ありがとうございました。
ちなみに、冒頭大殺界とか書きましたが、今年で抜けて来年は年男で最強開運です。
この船に乗るなら今です🛥️🐲

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