破滅衝動と理性について
たまに、というか毎朝くらいの頻度で「人混みの中でいきなり前転したい」という衝動に襲われる。他には紙コップに満ちた水を手に持っているときに「今この水を思いっきりひっくり返して横にいる人にかけたい」と思ったり、静かなオフィスとか銀行とかで並んでるパーテーションを片っ端からなぎ倒したりしたくなる。あと人生で一番嫌なのが死ぬことな割に、高いところから飛び降りたり電車のホームから飛び込んだりしたくなる。
これは別に今特別精神が病んでるとかではなく、定常的に湧き上がる衝動である。分析したら「周りの人を思い切りビビらせたらどうなるか」という嫌すぎる好奇心と「不可逆な状況に飛び込んでみたい」という破滅衝動じみたものがこの思想を支えている気がする。
私はかつて「みんなこの衝動を理性で抑えて生きてるのか。人間は理性的な生き物だっていうけど本当なんだなぁ」と感心して生きていた。ところがここ何年かで友達なり親なりに聞いたら、ほとんどの人は別にそんな理性は働かせていないことが分かって愕然とした。小学生の時に「寝てる間に死ぬことを想像して朝まで眠れない、という状況は全人類が体験することではない」というのを知った時くらい驚いた。思ってたより人間の生きづらさは多様だった。
でもこういう衝動抱えてる人も少なくないはずだ。だって世界には金を払って合法的に破壊活動ができる施設が結構あるらしいし(日本にも最近できたらしいし)、衝動を抑えきれなかった結果バグっちゃった人みたいな事件もたまにあるし……
だとしたらやっぱり、理性がすごい人間がこの世にはたくさんいるんだなぁと思う。不安定な人間の理性が寄り集まって出来ている社会、いい意味でも悪い意味でも奇跡な側面が大きすぎてすごい。
あと前転に関しては単に運動不足を体が危惧してるのかと今思った。きっと、ビタミンが足りないときに、無性にトマトに塩かけて食べたくなるようなものだろう。
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