セッション参加から持ち帰ったもの

お店のセッションって、正直行きたくないって思いませんか?
ホストが厳しい人かもしれないし、上手い常連が集まったら委縮しちゃうな…とか、せっかく交通費かけて行ったのに3曲しか演奏できなかったら嫌だな…とか。

昔からよく「セッションに行かないと上手くならない」みたいな言説を聞きましたが、別にセッションに行ったら上手くなるってものでもないでしょって思っていたので私も全然行っていませんでした。

そんな私もある時、経緯は忘れましたが「毎週セッションに行こう」という目標を立て、目標を立てたからには守らなければいけないという強迫観念のもと、1年間ジャズセッションに週一以上通う生活を送りました。

その結果得られたのは、「セッションに行くと上手くなる」要素は確かにいくつかあるなということでした。
それらを書いていきたいと思います。

■苦手な部分がモロに出る
セッション参加で得られる一番の教訓はこれに尽きると思います。
自宅で練習している時に上手く弾けないな…と感じる部分、例えば曲のイントロを自宅で練習していても2回に1回失敗するようだと、セッションでは100%失敗します。

また、曲のエンディングを考えずにセッションに臨むと、これも100%失敗します。(まぁエンディングくらいなら別にいいと思いますが)
あるいは、曲のテーマが通しでなんとなく弾けるくらいの練度だと、これも高確率でつっかえつっかえになります。

上記はよくあるネタですが、それ以外でも自分でも予想していなかったところでつまずくこともあるので、そういった意味ではセッションに行くことで得られる気づきは多いです。

■強制的な参加がモチベーションにつながる
セッションに参加して苦手な部分を再発見することで、日々の練習がより具体的になりモチベーションもアップしますが、これが月1の参加になるとどうでしょうか。

例えば土曜日のセッションに参加してモチベーションが上がり、日曜日はその勢いで練習はするものの、平日に突入することでモチベーションが下がり、結局モチベーションが再度上がってくるのは一か月後のセッションの数日前、というような感じになるのではないでしょうか。

これだと毎週セッションに行くのと比べてモチベーションは単純計算で1/4なわけですから、例えば私が1年間で得た経験を4年かけてようやく得るみたいなこともあり得るわけで、効率という意味ではよくありません。

人間は意味のないことに対してモチベーションが上がらないので、ただでさえギターを弾くことなんて意味は少ないですし、セッションに備えて練習するというのは苦痛でしかないので、強制的な動機付けにより意味を付加することが実はとても重要になるのではないかと思います。
(逆に言うと、意味があるとそれなりにやる気が出てきます)

■緊張の対処方法
いざセッションに行くとなるとめちゃくちゃ緊張しますよね。
私も初めて行くお店の時は、最寄り駅に着いたあたりから心拍数がめちゃくちゃ上がります。

セッション参加についてはこちらのサイトにも記事を投稿しています。
(口調が謎にフレンドリーに改変されていたりします)

人前で演奏すると緊張してしまう…というようなことを人に相談すると、ドヤ顔で「場慣れするしかないよw」みたいな、何も得られるもののないアドバイスを頂戴することが多いですよね。

私は、場慣れというものの本質は「諦め」であるという結論に達しました。
当初は、何回かセッションに参加し場慣れしてきたはずなのに、やはり上手く弾けない…ということに悩んでいましたが、ある時気が付いたことがありました。

それは、「人前で演奏した時の実力が、人前で演奏した時に出せる実力の上限」であるということです。

意味不明な言い回しですが、つまり緊張していて上手く実力が出ない、というのは、無意識に一番実力が出せる状態(つまり自宅での練習時)と比較していて、そのギャップに苦しんでいるわけです。

ですが、まず大前提として、人前で弾く時に実力の上限は出ない、ということを押さえ、その上で「緊張状態で弾けるのはこんなもん」という諦めを受け入れてしまえば、過度な緊張状態に陥ることはなくなります。
(予想ですが、ライブでもバリバリに弾きこなすプロミュージシャンは、自宅ではさらにすごいんじゃないかと思います。予想ですが)

もちろん、緊張して上手く弾けなかったところは、自宅できちんと練習して対策する必要があります。

■アンサンブル参加の意義
自宅でカラオケ相手に練習するのと、セッションでアンサンブルに入って演奏することの一番の違いは「音量」です。

自宅でばかり練習していると、セッションでアンプからでかい音を出すだけでビビりますし、その音量でのコントロールが大変だということに気が付きます。
小さい音の設定では自分の音が聞こえないですし、大きくしてしまうとちょっと触っただけで爆音が出てしまうので、この辺りは試行錯誤する経験が必要になります。

それに加えて、アンサンブルにはドラムという音量モンスターがいるので、カラオケ相手の感覚で弾いていても、ドンドンボリュームが上がってきて上手く弾けなくなる、ということが起こりがちだと思います。

こういったことはアンサンブルに入らないと経験できないので(もちろん他の要素もたくさんありますが)、そういった意味でもセッション参加は意義があります。

■セッション仲間とのつながり
この間セッションに行ったら初心者の人が来ていて、ホストの方が「初心者でもいいからセッションに参加するようにしていくと、人脈が広がってそれが財産になる(うろ覚え)」というようなことをおっしゃっていました。

私はセッションに行っても極力誰とも話さないタイプなので大変驚きましたが、確かにセッション仲間が増えると楽しそうですし、バンドを組んだりもしやすくなってプラスの要素が多そうですよね。
ドンドンやっていきましょう。

余談ですが、顔見知りが多くなると緊張感がなくなってしまうので、私はできるだけ色々なお店に行くようにしています。


どうでしょうか。こうして並べてみると、セッションというのは参加するだけの意義があるような気持ちになってきたのではないでしょうか。

ただ、身も蓋もないような話ですが、完全な初心者の方は、セッションに参加してもつらい気持ちになるだけだと思いますので、まずは5曲くらいレパートリーができてから行くのが良いと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?